東村アキコ×山田玲司 豪華対談!【前編】漫画みたいな恋って本当にできるの…?とか言ってて彼氏ができない人は、すぐにこれを読んでください。

東村アキコ×山田玲司 豪華対談!【前編】漫画みたいな恋って本当にできるの…?とか言ってて彼氏ができない人は、すぐにこれを読んでください。


 世の女性の恋愛パターンは2種類!
あなたはどっち?

-山田先生はフィクションに影響されて恋愛観が形成されたご経験はありますか?

山田:俺はさ、『スタンド・バイ・ミー』みたいな「少年の世界」が大好きだったの。恐竜が大好きで、動物が大好きで、女の子のことなんて知らない、みたいな。それなのに、いきなり女の子に「せんぱーい!」とか言われてドーン!って介入して来られて、どうリアクションしたらいいかわかんなかったよ(笑)

-フィクションよりも先に現実がやって来ちゃったんですね。

山田:そう。俺はずっと生身の女の子に育ててもらって、今に至ってる。ただ、女の子の方はフィクションに影響されてて、それこそ「少女漫画の呪い」にかかってたりするんだよね。理想の先輩像があったりしてさ。

でも、派手な先輩を演じるのが好きだったの。全校生徒が集まるところにギター持って行ったりして。で、それをやると、同級生は「お前クラスでは地味じゃん」ってなるから騙せないんだけど(笑)、下級生はなんにも知らないから「キャー♡」ってなる。それが楽しいんだよ。アキコもお祭り人間なんだけど、俺もお祭り人間。なんか、つねに盛り上がっていたいんだよね。

東村:そうだね。素に戻りたくないみたいな(笑)。戻っても別に大丈夫なのに。なんだろね。もうね、寒い瞬間が1秒でもあると嫌なの(笑)。私、居酒屋とかカラオケでもそうだもん。

山田:ほんとアキコずっと踊ってるから。カラオケの時も基本ずっと歌い踊ってる。歌いながら廊下出てくよね(笑)。

東村:うん、間が怖い。あと間奏でだれるのが怖い(笑)。

-エンターテイナーなんですね。

山田:そう。俺たちはエンターテイナーで、みんなが楽しいのが一番だから漫画家になったんだと思うよ。

東村:ああ!そうだねそうだね!私、こういう性格じゃなかったら他の仕事でも楽しかったと思うもん! 普通に9時〜5時で働いて、漫画は趣味でよかった。でも、やっぱりみんなが喜ぶから描く、みたいな感じ。原動力って結局そこしかないじゃん?

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山田:そうだね。俺が番組やったりイベントやったりするのも、漫画と同じ。そういう道を進まざるを得ない宿命なのかな(笑)。

-漫画を描くだけでも大変なのに、そのほかのお仕事もされるのって大変じゃないですか?しかも人前に出るお仕事が多いですし。

山田:盛り上がる瞬間を想像しながら、用意してる時間が好きなんだよね。漫画もさ、「読者が笑ってくれる瞬間までに、これをこう仕込んでやろう」って考えるのが好きで。でも、ほんとの自分は暗かったりするんだよ。だから、お祭り気分で恋愛しちゃうと、虚像の方だけを見ている女の子には対応しきれなくなる。

-お祭りは仕掛けてみたものの……

山田:そのあとどうしたらいいかがわからない(笑)。

東村:私はお祭り人間すぎて、ほんとにモテなくって。

山田:マジで!?

東村:マジで。ゲロモテなかった。私は「少女漫画の呪い」に早めに気づいたから、桂正和先生が描くような細っこい美女じゃないってわかった瞬間「岡田あ~みん派です!」って言ってのり切ったタイプなんだよね。もう恋も愛も関係ない、岡田あ~みん先生のためだけに生きる、みたいな(笑)。

そういうポジションの女子がクラスに2人くらいいて。もうね、照れくさいわけですよ、少女漫画的な恋とかそういうのが。恥ずかしくって仕方ないの。だから、好きな先輩にクッキーあげたりとかもしない。
なぜなら私は岡田あ~みんチルドレンだから!みたいな感じ。

で、私は中学高校とその暴走が止まらなくって……高校の時とか一番めちゃくちゃで。今から考えれば馬鹿だなって思うし、消したい思い出なんだけど、家から付けっ鼻つけて学校行ったりとかして。

<爆笑>

東村:もうね、家から付けて出かけちゃってるから。そんなことしてるうちに、完全に「学年で一番おもしろい子」に登り詰めちゃって、天下獲ったよね(笑)。けど、それだと全くモテないわけ。

-少しはモテたいって気持ちもあったんですか?それとも「面白さで天下獲ったる!」っていう気持ちの方が大きい?

東村:いやもう、モテたくないよね。モテたくないっていうか、恥ずかしいからそういうのに関わりたくない、みたいな感じになっちゃってて。

-でも、ウケたら「もっと面白いことやらなければ!」っていうので、どんどんハードルが上がっていっちゃうから、それはそれで辛いですよね。もし地元を離れずにいたら、大変なことになっていたのでは……。

東村:もう大事故だよ(笑)。「モテたい」より「ウケたい」だから、自分を美しく保とうともしなかっただろうし。でも、私は『かくかくしかじか』にも描いた通り、地元を離れて、大学に入って、好きな人ができた。彼と一生に一度くらいの恋愛をしたことで「あ、恋愛って、漫画に描いてあったようにいいものなんだな」って気持ちになれた。

そこから真面目に女子として生きようって思うようにもなったし。やっぱり出逢いだよね。
それがなかったら、ずっと地元で三枚目をやってたかもしれない。

-お話を伺っていると、おふたりとも「これが理想の恋愛だ!」と思えるものを探すのではなく、偶然の出逢いを通して学んでいったり変わっていったりするタイプですよね。まるで事故みたいに誰かとぶつかって、人生が大きく変わっていくみたいな。

東村:「世の中の人、特に女は二種類に分かれていて、理想の恋愛に当てはまる人を探すタイプと、そういうのが全くなくって、身近な人の中から相手を見つけるタイプがいる」……これはね、とある少女漫画の編集さんが言ってたんですよ。前者は理想の相手が見つかるまで、いろんな人を切り捨てちゃうけど、後者は「身の回りでこの人が一番好き!」って感じだから結婚できるし、なんなら何回だって結婚できる。

私はわりと後者なんだよね。なんていうか、身近な人で大丈夫なんだよ。傍からみると「え、その人でいいの?」みたいな感じでも、自分の身の周りでこの人が一番のお気に入りだからOK、って考える。だから「私の理想の人はこのクラスにいない、というか、この学校にいない!」とか言いだす女の子とは、ルールが全然違うんだよね。

-山田先生はどうですか?

山田:後者だね。しかも俺、面倒見のいい長男なんで、何も出来ない子に惹かれるんだよ。いい気になって「俺が何とかしてあげるよ」とか言ってしまう、一番やっちゃダメなパターン。

東村:作家とかに多いよね、そういう人。「神の視点」から全体を見て、バランスを取ろうとするというか。あと、何かが欠けてる人を面白がっちゃう、っていうのもあるし。

山田:ああ、それはあるね。

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東村:やっぱ完璧な人ってつまんなくってさ。欠けてるやつほど、なんでこうなっちゃうんだろうって考えて、原因を追究したくなるし、解決策を提示したくなる。

山田:でも、わざわざ欠けてる子を選んでるわけじゃないんだよ。たまたま出会った子に何か問題があったら、お兄ちゃんとしての自分が出てきてしまって「なんとかしてあげたいな」って思って、結果その戦いが何年も続く。あと、俺は自分がそんなにモテると思ってないんで。俺を好きになってくれる人はこの子でもう最後かも知れない、って思い込んじゃうから、付き合いが長引くんだよね。

-山田先生の場合、交際というより治療みたいな感じですね。

山田:俺の恋愛は、ビートルズの『We Can Work It Out』なんだよ。あれって「僕のやり方にしてみなよ、多分うまくいくよ」っていう歌で。作詞したポール・マッカートニーのマインドが、俺にはすごくよくわかる。「俺のやり方でやってみ?」っていう気持ちがあって、それが正しいどうかわかんないけど、なぜか自信があるわけ。そんな感じで俺はずっとポールみたいなマインドの人だったんだけど、今はそういうの全部やめました(笑)。

-もうそういう交際はしないと。

山田:なんかね、もう、どうにもなんないなと思って。相手を変えることなんかできないし、全部ご縁なんで。今は「起こったことに関しては全力で対処しますが、あとのことは神様にお任せします」っていうステージにいるから、相手に理想なんか……

-求めない?

山田:求めないし「あなたはそのまんまでいいんじゃないすか?」ってところまでやっと来た(笑)。

 


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