「捨て変態 ゆるりまい」×「ミニマリスト 佐々木典士」対談<br />第1回 ミニマリスト、捨て変態のお宅を訪問する!!

「捨て変態 ゆるりまい」×「ミニマリスト 佐々木典士」対談
第1回 ミニマリスト、捨て変態のお宅を訪問する!!


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BOOKOUTジャーナルとは
 
知られざる想いを知る―。
いまいちばん会いたい人に、
いちばん聞きたいことを聞く、
ヒューマンインタビュー。
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撮影・文/佐々木  典士

 

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……ついに、辿り着いた。

『わたしのウチには、なんにもない。』ゆるりまいさんのご自宅。ガラーンとしたあの素敵なお家にどれほどの影響を受けたことか……。ぼくにとっては、まさに聖地巡礼。三蔵法師にとっての、天竺なのでございます。

 しかし、ぼくだってちょっぴりモノが少なめな、ミニマリスト。そしてミニマリストのお宅もたくさん取材してきました。つまり、ただのモノの少ないお家には、もう驚かないというわけなんですよ、ゆるりさん! 

 ピンポンを押し、憧れのゆるりさんと対面。

 (……かわいくて、おしゃれだ!!)

 ま、まぁ、そうでしょう、驚きませんよ!

 

佐々木 まず、お家の中を見せてもらっていいですか?(家の広さにビビりながら)

ゆるり どうぞどうぞ~。

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想像してたより、すっごい広いリビング!

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なんにもないキッチンとミリ単位で揃ったカトラリー!

 

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時計もこの通り。分数は心眼で把握するのだとか!

 

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ため息の出るような、整った仕事部屋。

 

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猫かわいい!

 

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日用品ですら、この通りの美貌(右側の陶器には柔軟剤!)

 

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猫かわいい!

 

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息子くんが気持ちよさそうに寝る寝室。

 

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あぁ~、落ち着く〜。

 

 

……なんなんですか、この家はッ!!

とにかくどこもかしこもガラッガラだよ!!

あと、猫かわいい!

 

ゆるりさんって、やっぱりおかしい……。

捨て変態というか……ただの変態だったんですね!

ちょっとお話聞かせてください!

 

 

捨て変態とミニマリストに歴史あり!

 佐々木 お会いできてとても光栄です! ぼくがミニマリストとして、最初にテレビに出たときゆるりさんも見てくださったみたいで。

ゆるり 母が「すごい人いたよ!」って言って録画してくれていて。それで見たら「すっご」と思って。

佐々木 フローリングに正座してご飯食べている映像を見て、自分でも「これはあかん、誤解される」と思ったんですよ(笑)。ネットの反応を見ても散々なものもあって、軽く落ち込んだりもしたんですけど、ゆるりさんがTwitterで「ミニマリスト、ゾクゾクした、いいなー」という感想を書かれていて、「ゆるりさんに喜んでもらえたなら、まぁ、いいか!」と慰められたんです。

ゆるり でも、「なんにもないって、もう言えなくなっちゃったな」とも思いましたけど(笑)。

佐々木 いえ、ゆるりさんのお家に来て「モノの人口密度」という考え方もあるかもしれないと思いました。ぼくの家よりも、ゆるりさんのお家は、遥かにモノの密度が小さくて、収納の中まで気持ちがいいですよね。ミニマリストは単にモノが少ない人のことじゃなくて、「自分の必要なものがわかっている人」のことが大事だと思っているので、ゆるりさんは、まさに元祖ミニマリストだと思うんです。

ゆるり 私自身がミニマリストかどうかはわからないんですけど。……ミニマリストの人って、オフ会とかして集まったり、団結力がすごくないですか?

佐々木 確かに、なんだかみんな仲良くて、よく遊んだりしてますね。

ゆるり コミュニケーション力高いですよね。私は「捨て変態オフ会」なんてしたことないですもん。だから私がミニマリストなんて言ったら、ミニマリスト界からクレームが来るんじゃないかと(笑)。

佐々木 そんなことないですよ! ミニマリストはちょっとかっこいい横文字だし、名乗りやすかったと思うんですよね。「捨て変態」だとなかなか名乗りにくいじゃないですか(笑)。

ゆるり でも前から、2ちゃんねるで、極限までモノを持たない人たちの集まりみたいなのはありましたよね。仙人みたいに暮らす人もいたし、歴史は長いですよね。その人たちも、捨て変態/ミニマリストだったと思いますし。

モノが大好きな捨て変態&ミニマリスト?

佐々木 単にわかりやすい言葉がなかっただけですよね、それが言葉が出てきたことでまとめやすくなった。ミニマリストでもいろんなタイプがいるんですけど、ぼくとゆるりさんに共通するのは「モノが大好きなタイプ」ということですね。

ゆるり もともとそうですね、今も物欲は強いと思います。

佐々木 でも、ゆるりさんの「おみせやさん」(※カバンの中身を全部出して、ただじっと眺めてニヤニヤ)とか「妄想ショッピング」(※自分のクローゼットから、お店に来たかのようにお気に入りのものを選びだしていく)とか見てると、ぼくとはレベルの違うモノへの愛情を感じました。

ゆるり モノの写真を撮るのもそうですね。「ここの角度からいいねぇ」とか、「ここもかわいいよ」とか同じモノに何回も何回も惚れ直しちゃう。私以外にやっている人を見たことがないんですけど(笑)。

佐々木 人に対してもそういう風に接したいですね。「君のここがかわいいんだよ」とか(笑)。

ゆるり モノを捨てることに、「もったいない」「モノに対しての愛情を軽視している」という見方をされるかたもいらっしゃるんですけど、捨てることによって、本当に好きなものがわかることもあるんですよね。私の場合もモノを捨てなかった頃より、捨てた後のほうがモノに対する愛情が、半端なく大きくなったんです。私は、出不精であんまり旅行が好きじゃないのもあって、家にいるほうが好きなのもあるんですけど。

佐々木 ぼくは事あるごとに「モノより経験」ということを言ってきたんですね。たとえば、5年前に買った服と、5年前に行った旅行とを思い出して、今も楽しいのは後者の思い出のはずだと、だから経験を大事にしましょうと。でも今回ゆるりさんの本を改めて読んで思ったのは、ゆるりさんはきっと5年前に買ったモノを今でも楽しんでいる。その秘訣は「お手入れ」にあるんじゃないかと思いました。カバンや、財布をせっせと磨かれていて、その度にそのモノを改めて好きになっているような感覚があるんじゃないかと思いました。

ゆるり モノって乱暴に扱えば壊れちゃうし、すごく儚いじゃないですか? 捨てたからこそわかった自分が本当に好きなモノ、その美しい姿をいかに維持するか、そういうことを考えるので、モノに対する愛情は増えたと思います。

 モノを「育てる」楽しみとは? 

佐々木 ぼくもモノが大好きなほうですけど、ゆるりさんのモノへの愛情はほんとにすごいと思います。

ゆるり モノがキレイに整った収納を何回も開けて、にやにやしたりしてますからね。すごく開けちゃうんですよ。「あぁ、いいわー」ってパワースポット化しちゃうんですよね。

佐々木 収納のパワースポット化(笑)。厳選した少ないモノだからこそ、お手入れの時間をしっかりとることもできるんでしょうね。

ゆるり たとえば、プラスチックなんかだと買ったときが「ピーク」で、そこから汚くなっていきますよね。でも私が好きなカゴは買ったときが「スタート」で、育成ゲームみたいなんですよ。手で撫でていくと、ツヤが出て、色が濃くなって、だんだんしなやかになっていく。今買うと30年後にいい感じになるだろうという、そういう楽しみがありますね。

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ゆるりさんのカゴ置き場。一番左のスペースは、「今日のお気に入り」が陳列されるための場所!(驚)

佐々木 だんだんツヤツヤになるんですか?

ゆるり ツヤッツヤになるんですよ。たまにおばあちゃんでいるんですよ。「これ何十年使われたんですか?」という方が。買ったときがスタートというのが面白くて、カゴの世界にはハマってしまってるんですけど。でもお手入れの楽しみは、汚部屋時代には知らなかったから、おもしろいですよね。

佐々木 おもしろいですね。モノが本当に大好きなのに、同時に捨て変態でもある。

ゆるり モノは好きなんですけど、自分はモノを少なくしか持てない人間だと思うことがあるんです。モノの管理能力が低いから、こういう方法でしか暮らせないんだと思うことがあって。

佐々木 とってもよくわかります。友人のミニマリストを見てもそういう人はいますね。電車に2駅ぐらい乗っただけで、切符をなくしたりとか。ぼくもまったく同じですけど(笑)。

ゆるり 私の適正量が、こういう少なさだというだけなんですよね。でもたとえば、私はバッグが好きで、それなりの量はあるんです。読者からも「バッグは捨てないんですか?」って聞かれることもあるんですけど。私にとってのバッグの適正量はある程度多くて、あれより多いと暮らしにくいし、少なくても、幸せじゃないと思うんです。

佐々木 でもかなりの人が、その人の適正量より、多く持ってしまっているような気がするんですよ。だから減らす中で適正量を見つけたり、減らしすぎてしまったら、そこから増やすことで適正量を探してもいいんだと思います。

ゆるり モノの数を数えているミニマリストを見てびっくりしたことがあって。私も実際に試しにやってみようと思ったら、すっごいことになって。でも、佐々木さんの本で「モノが少ない対決をしない」ということが書かれてあって、ほっとしました。

佐々木 当たり前ですけど、モノの量は「勝ち負け」ではないですよね。ミニマリスト=モノがすっごい少ない人のことだと思われている節があって、自分で誤解を招き寄せているところもあるんですけど(笑)。自分が本当に必要なモノや、自分が管理できる適正量を把握していることが、ミニマリストの肝だと思ってます。

 

 

次回、ゆるりまい×佐々木典士の対談第2回。

「捨て変態&ミニマリストも人間です!」

 

 

【PROFILE】
ゆるり まい
1985年生まれ。仙台市在住。漫画家、イラストレーター。母、夫、息子の家族4人+猫4匹暮らし。「わたしのウチには、なんにもない。」シリーズは累計20万部を突破! NHK‐BSにてドラマ化もされる。汚屋敷で育った反動から、3度の飯よりモノを捨てることが好きな、捨て変態に! 現在cakesにて「ゆるりまいにち猫日和」「赤すぐみんなの体験記」にて連載中。ブログ「なんにもないぶろぐ」も更新中。

佐々木 典士(sasaki fumio)
1979年生まれ。東京都在住。編集者、中道ミニマリスト。初の著書「ぼくたちに、もうモノは必要ない。」は16万部突破、海外12カ国でも翻訳される。ワニブックスで手がけたミニマリストシリーズは累計26万部突破。クリエイティブ・ディレクターの沼畑直樹氏と、ブログ「minimal&ism」を運営。