【INTERVIEW】野村麻純 ドラマ『嘘の戦争』に出演し、注目を集めた女優・野村麻純。デビューから5年。「苦悩の連続だった」と語る現在の胸中とは?

【INTERVIEW】野村麻純 ドラマ『嘘の戦争』に出演し、注目を集めた女優・野村麻純。デビューから5年。「苦悩の連続だった」と語る現在の胸中とは?


連続テレビ小説『とと姉ちゃん』、『11人もいる!』などのテレビドラマに出演、今年1月からは『嘘の戦争』にも出演した野村麻純が、デビュー5年目を迎えた今、新しい世界へ飛び出そうとしている。そのきっかけは、昨年11月に発表された写真集「As Is Nomura Masumi」(WEB限定/写真・丸谷嘉長)だった。「自分が嫌い」で、自分を表現できなかった彼女が、今は「スッキリしている」と語る。その真意とは…。

 撮影/浦田大作 文/池上愛

――『嘘の戦争』、回が進むに連れてハラハラドキドキする内容ですね。

「あっという間の展開ですよね。観ていると他の事考える余裕がないというか、見入ってしまいます。話の道筋は序盤でわかっているに見逃せない展開なのが、本当に凄いです。最終話までどんでん返し、の連続です!」

――先程の写真撮影では凄く楽しそうに臨んでらっしゃったのが印象的でした。昨年の11月発表された写真集「As Is Nomura Masumi」(WEB限定/写真・丸谷嘉長)のメイキング映像では、「写真が苦手」と仰っていたので、ちょっとびっくりして。

「本当ですか? まだまだ苦手なんですけど、この写真集をきっかけに変化できたのかもしれません」

――写真集の最初と最後、表情が全然違いましたよね。

「全然違います。最初は撮られた写真を見るのが凄く嫌でした。もっとこうしよう、ああしようで解決出来るような簡単な話ではなくて。自分の苦悩みたいなのものが写真に物凄く表れていて…カメラマンの丸谷さんも、“写真は論理じゃなくて理屈でもない、心に近いものがあるんだ”と仰っていて、だからこそ今の自分の心が出ていると思うと、嫌で仕方なかったです」

――自分の心が写真から見えた?
「見えてきました。最初は丸谷さんに対しても、周りの人に対しても、カメラに対しても自分がいる空間に対しても…心開いていませんでした。自分の殻の中から出ず、その場にいたような感覚。そこから徐々に殻を破って、自分の嫌なところをちゃんと受け入れるのに、物凄く時間がかかったと思います。この写真集は1年をかけて撮影しているのですが、ようやく最後のシーンで心が開けたかなと思います」

――答えるのが嫌かもしれないのですが…。自分の嫌なところって、具体的にはどういうところですか?

「嫌なところ……ですか。お芝居を始めてからこれを撮り始めた時はちょうど5年目で、この時期は自分がお芝居をすることをもう一度立ち止まって考えていた時期でした。私は、笑ってごまかす癖があったり、“しているつもり”で色んな仕事をこなしていたことが多くて。そういう部分が自分にはあるぞというのはわかってはいるものの、見ないふりをしていました。そんな期間が続いて、この1年、自分を見つめ直す期間を設けていたんです。それが写真集撮影の最初のころ。だからもう心がボロボロな中撮影していました。自分では嫌な部分がわかっているんだけど、人に言われると凄くショックというか、認めたくない! と思ってしまって。受け入れなきゃ進まないけれど受け入れられない、そんな期間が長いことありました。マネージャーさんには特に迷惑をかけたと思います」

――この5年間、モヤモヤを抱えつつ女優業をやっていた?

「そうですね。ありがたいことに私はお仕事がもらえていて、本当に恵まれた環境だったのに、いつのまにか自分の中でそれが当たり前になっていた部分がありました。それに、演じる役が物凄く明るい女の子だったり、ぶっ飛んでる要素がある役が多く、自分自身がその役に追いつけないことへの不安もあって。そうすると、いつの間にか、その溝を埋めるために頭でお芝居をするようになってしまっていたんですね。そこをマネージャーさんが見抜いたんです。それを指摘された時は本当につらかったけど、自分の頑張り方がちょっと間違ってたんだなと気づき、もう一度自分と向き合う時間を作るきっかけになりました」

――見つめ直す期間というのは、そんなことをして過ごされていたんですか?

「マネージャーさんと精神論談義といいますか、カウンセリング状態でした(笑)。私って、いつもまわりに対して明るいねとか、元気だねとか言われるんですけど、本当は凄くネガティブなんです。マネージャーさんには、“ネガティブな感情や閉塞感というものをひとりで抱えようとしていたのがいけない。まわりには一緒にお仕事しているスタッフさんがたくさんいるのに、どうして無視するのか”と、根本的な部分から教育し直して頂きました」

――自分の嫌な部分を受け入れるって、きついですね。

「きつかったです。20歳でこの仕事を始めたんですけど、もう20歳の時点で若くないじゃないですか、この業界って。10代だったら勢いで行ける部分もあると思うけど、今の私、25歳だぞと。見つめ直すと、そんな不安も押し寄せてきました。でも立ち直れたのも、写真集のお陰なんです。撮影期間、心の波がとても激しかったので。この写真はつらいことを乗り越えてきた証でもあります」

――撮影の序盤はまだ殻に篭っていたとのことですが、殻が破れてきたのはどういうところから?

「本当に些細なことなんですけど、自分に太陽の光が当たって“あったかい”って思ったとします。それを、“日が当たって凄いあったかいんですよ”と言葉で伝えるのではなく、言わずとも伝えることが出来た瞬間があって。それがちゃんと写真で表われていたんです。こうしたら他の楽しそうに見えるでしょ? じゃなくて、本当に楽しいなぁと感じるみたいな。時間は凄くかかったんですけれど」

――1年をかけて、ですもんね。

「相当長い時間、丸谷さんが寄り添ってくれました」

――第2弾もあるんですよね?

「はい。絶賛撮影中です!」

――きっと、第1弾のこの写真集とは全然表情が違うんでしょうね。

「そうですね。第1弾は、“そのまま”がテーマ。まだ心を開いてない自分もそのまま残っています。だから写真集を見た人は、“麻純は凄く笑っている印象が多いのに、なんで写真には無いの?”って言われることが多かったんです。だから次の写真集では、笑った顔
を残したいですと丸谷さんに伝えました。あとは、“そのまま”の自分だけど、もっと何かを伝えるということを意識したいです」

――今の野村さん、凄く楽しそうです。

「楽しいです。それは自身を持って言えます。2017年は色んなことにチャレンジしたいなっていう目標もあるんです。以前の自分自身の嫌なところと向き合っている時は、光がちょっとは見えるんだけどつかめない位置にいましたが、今は、手を伸ばして進むことが出来たら、その光がつかめるぐらいの位置には立てているかなと思うので。その光が自分の味方になるように、これからはたくさんお芝居していきたいって心から思います」

――そんな気持ちで『嘘の戦争』に取り組めたのはよかったですね。

「現場ってやっぱり楽しいなって再認識しました。役者さんの目線だったり、ちょっとした仕草だったりとか、間近で見られるのが刺激になります。…って、自分自身も役者なんですけどね(笑)」

――今年挑戦したいことは?

「時代物とコメディーです」

――意外です! どちらも経験があるのかなと思っていました。

「時代物は未経験です。くすっと笑えるテイストのある作品はやったことがありますが、完全なコメディーはないんですよね」

――ちなみに時代物はどうしてやりたいんですか?

「単純な理由なんですが、おばあちゃんが喜んでくれるからです(笑)」

――凄く素敵な理由だと思います(笑)! それと、ブログを拝見したのですが、よく美術館や本の紹介をされていますよね。

「美術館で展示されているものって誰が点数をつける訳でもないし、損得つける訳でもない。そこが好きでよく足を運んでいます。全然派手な絵じゃないのに水墨画とか、墨一色の濃淡でなんかここに儚さがあってとか、絵を見て心が動いた瞬間があるたびに、その感覚がお芝居に滲み出たらなぁと。本も同じで、読んだ時に、言葉のチョイスが素敵なものに出会うと“くぅ~!”という気分になるんです(笑)。」

――くぅ~(笑)! たとえば?

「吉原幸子さんという詩人の本で、“私はひき肉のように疲れた”という一文があるのですが、これはどういうことだ!? とワクワクしました。私は詩人の穂村弘さんが大好きなのですが、彼の著書に“人の心が動く時は、シンパシーとワンダーだ”ということが載っていました。シンパシーは共感。ワンダーは興味。“自分も同じ気持ち”と“え! そうなの!?”という驚きで心が動くのだと。彼の本を読むまでそんなこと考えたことがありませんでした。ドラマや映画を観た時の感動も、確かにそうだよなと。エンターテインメントの世界では物凄く大事な言葉だな~って学んだというか。物凄くお芝居に通じるようなことが、本にはたくさん書いてあるんですよね」

――お話を聞いていると、一皮むけた野村さん、すぐ見れそうな気がしていて、今後の活躍が凄く楽しみです。

「本当ですか? そうだと嬉しいです、肩肘も張らず、気負わず、平常心に。自分の駄目なところも、素直に認められるようになった今なら、なんでも出来るかもしれません(笑)」
 


 ●プロフィール
野村麻純/のむら・ますみ

1990年10月10日生まれ、鹿児島県出身。 2011年、ドラマ『華和家の四姉妹』でデビュー。2016年は連続テレビ小説『とと姉ちゃん』(NHK総合)に出演。2017年1月より連続ドラマ『嘘の戦争』に出演。


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