はじめての「ぬか漬け」

はじめての「ぬか漬け」


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これは、いろんなものを手放し、身も心も身軽になったミニマリストが、「やりたいこと」に挑戦していくお話。
ぼくは明日死んでしまうかもしれない。
だから「やりたいことはやった」という手応えをいつも持っていたい。
いざ、心の思うままに。

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「糟糠の妻」と言う言葉がある。
糟糠《そうこう》とは米かすと、米ぬか。

転じて、貧しいときから連れ添ってきた妻のことを意味する

そして男が成功すると、支えてくれた妻を捨てたりするんだと。

そして「ぬかみそ臭い」というのは女性が所帯じみているという蔑称です。
そんなひどい例えとして使われる「ぬか」。

しかしそんな時代はもう過去のもの。

今「ぬか漬け」がいちばんヒップな食べ物なのです!!

 

ぬか床は計画的に!! 

やりたいやりたいと思っていたぬか漬け。

その理由のひとつは「にんじんが食べたい」ということ。

にんじんの食べ方、しりしりか、キャロットラペしかわからんのですよ。

「ぬか漬け作りたいな~」と実家で言っていたら、毎日精米しているということで母からぬかをゲット。

旨味のために必要な昆布と、防腐、酸化防止作用のある唐辛子はすでに入れてくれていました。

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そして、ぬかを漬ける容器は、安定の野田琺瑯!! 

野田琺瑯さんにまかせておけば、悩みの9割は解決するよね!!

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旅に出ることも多いので、冷蔵庫に入れられるサイズで!!

いつものように、書籍で知識を身につける!!

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容器に、ぬか約1kgを入れて……。

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京都人らしく、思わず枯山水を作り……

塩を入れます!!

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測りがないので、目分量でやってたら入れすぎた!!

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40度ぐらいのお湯をいれて、味噌ぐらいの硬さになるように混ぜる!

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そしてぬか床を熟成させるために必要な「捨て漬け」!!

おすすめはキャベツの外葉みたい。面積も大きくて、乳酸菌もたくさんついているそう!!

 

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取り替えながら10日から2週間ほど、熟成を待ちます。

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ぬか漬けといえば、毎日かき混ぜることで有名。

「は!? ウザッ。別に毎日じゃなくてよくない?」

と思わず自分の中の女子高生の声が聞こえましたが、まずはその理由を知ることがいちばん。

 

ぬか漬けの表面には、酸素の好きな産膜酵母と、底面には酸素が苦手な酪酸菌が繁殖しやすいそう。これを放っておくと、繁殖しすぎてぬかの状態が悪くなってしまう。

だから、混ぜることによってお互いが繁殖しにくい環境に追いやると。なるほど、わかりやすい。じゃあ混ぜなきゃね。 

ふるえて眠れ

そしてぬか床の状態も万全に。

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産膜酵母が、ラルクの曲のように降り注ぎ(2回め)真っ白に。

いよいよ待望のにんじんを埋めます。

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気分はもう冷酷な殺し屋。

「あんた運がなかったんだよ……ふるえて眠れ」

といいながら人参を乳酸菌の海に沈めます。

1日たって、いざにんじんを試食!!

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酸味もあり、お酒のような芳しい香りもあり、発酵が生み出す複雑で豊かな味! うまい!!

同じ環境、材料で作っても手についてる乳酸菌が人によって違うから味も変わるんですってよ。

ぼく、ぬかえもん

しかし、ぬかに野菜埋めたり取り出したりするの楽しすぎ!

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取り出すときに、

「探せ!! すべてをそこに置いてきた!!」

という1人ワンピースがはじまります。お宝はすぐ見つかるよ!

きゅうりも安定の美味しさ。

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しいたけは、味の染み込み方がはんぱなく完全にお酒のつまみ。

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お酒やめてなかったら、日本酒との永久機関が完成(2回め)してたところよ。

たいがいのものはぬか漬けにできます。

肉や魚はもちろん、変わったところでは、たこやアボカドもぬか漬けにできるんですって。

スーパーで違う種類の野菜を買ってきては

「ぬかえもーん!!」

とのび太のように帰宅し、ぬか床を4次元ポケットのようにまさぐる毎日。

しかも味がぜんぶ「ぬか漬け」一色になるわけではなく、素材との共演で味が作られる。

素材と出会ったぬかは、主題を少しずつ変え「ぬか変奏曲」が毎日キッチンで奏でられるのです。

そしてやってみたかった、じゃがいもの、ぬか漬け。

茹でてから漬けると、なんとじゃがいもがチーズのようになるという。

まずはじゃがいもを茹でます。

「なるほど……竹串がささるぐらいの固さまで茹でるって、竹串持ってないし、そこまで一般的なものじゃねぇよ!!」

 

男子高校生のような世の中への怒りが湧いてきます。

勘で茹で、そして漬けること1日……

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できあがりは……なるほど、これはやばい。

 

チーズも発酵だもんね。そうだよね、だいたい一緒だよね。発酵おそるべし!!

 

ぬかえもんが我が家に来てからというもの、食卓は色鮮やかに、野菜もたっぷりとれるようになりました。

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そんなわけで、すっかり「ぬか味噌くさい」男になってしまいました。

しかし野菜を干したり、ぬか漬けつけたり、花嫁修業か何かでしょうか?

 

かつて岡本太郎はこう言いました。

「ぼくは子供を持つ必要がない。なぜかというと、ぼくはぼくの息子であり、孫であり、父親であるから……」

ぼくはこう言います。

「ぼ、ぼくはぼくの息子であり、父親であり、よ、嫁でもあるんだな」

おにぎりも食べたくなりました。

 

【ぬか漬けのコツ】

・かきまぜる理由を把握する
・名前をつけると愛着がわく

・「変奏曲 ぬか」が楽しめる

Written by sasaki fumio
sasaki fumio

編集者・中道ミニマリスト/1979年生まれ。香川県出身。出版社2社を経てワニブックス勤務後2016年退社。すべてを保存し何も捨てられない元マキシマリスト。2014年クリエイティブディレクターの沼畑直樹とともに、ミニマリズムについて記すサイト『ミニマル&イズム』を開設。初の著書『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』(小社刊)は、2017年4月現在、世界13言語に翻訳されることが決定し、NYで講演会も開催。国内16万部を超えるベストセラーとなる。

»http://minimalism.jp/

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