はじめての仮想通貨  前編

はじめての仮想通貨 前編


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これは、いろんなものを手放し、
身も心も身軽になったミニマリストが
「やりたいこと」に挑戦していくお話。
ぼくは明日死んでしまうかもしれない。
だから「やりたいことはやった」
という手応えをいつも持っていたい。

いざ、心の思うままに。

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『フォレスト・ガンプ』のなかで、当時生まれたばかりのアップルの株を手にするシーンがあった。これからの成功を暗示させるシーン。ぼくたちは今更コカ・コーラの株や、アップルの株を買っても大儲けできないかもしれないけれど、たとえばかつてのGoogleや今はなだたるIT企業の株なら自分は買える年齢だったと思う。

そのとき持っている全額を突っ込んでいればすごいことになったのかもしれない。 

仮想通貨が気になっている人が多いのは、自分が生きている同時代にビットコインが100倍になった、仮想通貨で億を儲けた「億り人」がたくさん! なんて聞くと、なんだが自分が損しているような気持ちになるからではないだろうか?

仮想通貨は今は投機の対象になっている。ビットコインでの支払いなんて、まだまだできるところが少ないのに、期待で値段がつり上がった。かつての日本のバブルは、日本には狭い土地しかないという「土地の上限」があって、そのなかで経済成長が続いていけば、土地の価格は上がっていくはずだと、みんなが思い込んだところにあるという。たとえばビットコインも発行の上限が決まっているから、今回も同じようなことを感じたのかもしれない。

ビットコインはもはや高額でうまみがないが、すでに数千種類あるという仮想通貨ならまだまだ大儲けできるかもしれない。なんでも上がる可能性があるのだから、いまのうちに買い占めろというわけだ。

「投資」や「株」というものには今までとても嫌なイメージがあって、手を出さずにいた。その企業や国を応援したいわけではないのに、ただ上がったり下がったりの差額で儲けるために投資する。クリックして資金を右から左にするだけで、たとえば肉体労働からは想像もつかない金を稼ぐ。

そういえば、人間は自らが作り出した「経済」という怪物に振り回されている。という話を聞いたことがある。株が上がろうが、仮想通貨が上がろうが、現実には何も起きていない。人間界が大恐慌に陥ろうが、自然界で暮らす動物には何も起こらない。誰かが怪我をしたり、どこかで火災が起きたりすることとは本質的に違う。

それなのに値動きに一喜一憂する。お金が欲しいのは、不安を解消し、安らかな気持ちになるためなのだろうに、ずっと憔悴していてどうするという気がする。稼いでいるが、めちゃくちゃ消耗しているトレーダーの知人もいる。どれだけ儲けたって、心理的なコストのほうが高い。そんな気持ちでいた。

しかし。最近はそれだけではない投資のおもしろさも知るようになった。

クリックだけしているかと思ったトレーダーだが、一流の人はひたすらストイックに勉強しているそうだ。株は予想がつかないギャンブルだが、その勝率を1%でもあげるために情報をかき集める。上場している企業は数千社。そしてたとえば影響力のある人の発言とか、世の中の情報すべてが価格に繁栄されるのだから、勉強は永遠に終わることがない。池上彰さんは、勉強する楽しみは、自分が立てた仮説通りに世の中が進んだときに、手応えを感じたりするところにもあるという。それと同じような楽しみが真剣に打ち込んでいる人にはあるんだろうな。

日本の今はダメダメだと思われているが、地方の無名の会社などをよくよく調べると「日本はやっぱりすごい!」と思うこともあるそうだ。

要するに株を買うことは会社を知ることであり、社会を知ることになる。株をしていて、企業を何百社と知っている人は、普段何か買い物をしたり、街を見る目線も変わるだろう。なるほど、お金は使い方で汚くも、素晴らしくもなるが、投資もそれと同じなんだろう。

今までの自分なら絶対手を出さなかったものだが、今は「まず実践してみてから!」 という気持ちになってきている。やってもいないのに非難したくない。自分には合わないとしてもやってみてから「仮想通貨? 俺には必要ないものだったね」と言いたいじゃないか。ぼくはお酒が大好きで、その後飲むのをやめた。お酒の魅力も、お酒をやめる魅力も知っているのだ。

ということで手を付けてはいけない生活費とは別の、10万円を握りしめやってみることにした。ドブに消え去ろうが、泡とはじけようが、すべて勉強代と思える程度におさめる。

仮想通貨を買うためにはまず取引所に登録する必要がある。今はいろんな取引所があるがパンク状態で新規登録が1ヶ月待ちなんてあったりする。早めに開設でき、見た目もシンプルな「コインチェック」を選んでみた。

 

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メールやパスワードの登録以外に、本人チェックもある。

免許証をアップロードし、免許証と自分が一緒に映っているセルフィーも必要。

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それが認証されると、住所にはがきが送られてくる。

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これで登録が完了。

日本円で、コンビニから払ったり、銀行振込などで「ウォレット」と呼ばれる自分の口座に振り込む。振り込む銀行が同じだったので、銀行振込を選択しスムーズに振込。10万円が口座に入った。

買いたいときが、買い時!

よし、わけがわからんが今日はじめよう!

靴紐を結ぶのは、走りはじめたあとでいい。

そう思って、ぼくが初めて仮想通貨を手にした日。

それは仮想通貨がとんでもなく暴落した日だった。

なんやねん。

 

つづく

Written by sasaki fumio
sasaki fumio

作家/編集者/ミニマリスト 1979年生まれ。香川県出身。出版社3社を経てフリーに。2014年クリエイティブディレクターの沼畑直樹とともに、『Minimal&Ism』を開設。初の著書『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』(小社刊)は、国内16万部突破、22ヶ国語に翻訳される。新刊「ぼくたちは習慣で、できている。」が発売中。

»http://minimalism.jp/

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