【INTERVIEW】阪本一樹 映画初出演にして主演! 映画『サイモン&タダタカシ』で役者デビューを飾った阪本一樹に、役者としての思いを訊く。

【INTERVIEW】阪本一樹 映画初出演にして主演! 映画『サイモン&タダタカシ』で役者デビューを飾った阪本一樹に、役者としての思いを訊く。


2015年「第28回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でフォトジェニック賞を受賞した俳優・阪本一樹。3月24日に公開の映画「サイモン&タダタカシ」では、映画初出演にして主演に抜擢された。同じクラスの男子高生に淡い恋心を抱くという役どころにどう立ち向かっていったのか?

撮影/中根佑子 文/池上愛

 
――映画を拝見しました。とても初めての演技だとは思えなくて。お芝居のレッスンも数回しかやったことがない中での挑戦だったと言うことでしたが、映画「サイモン&タダタカシ」主演が決まった時はどんな気持ちでしたか?

「正直にいうと、一番最初に思ったのは、ラッキー!  という気持ちでした。初めてのお芝居で映画主演。こんな機会はそうそうありませんから」 

――プレッシャーよりも楽しみの方が強い?

「それはもちろん不安の方が大きかったです(笑)。でも監督にマンツーマンで指導して頂くうちに、サイモンはどういう人なのか、段々と理解が深まっていきました。そういう準備をしていただいたので、クランクインの時点では”もうやるしかない”と覚悟ができました。監督と学んだことを出していこうと思って」 

――指導はどういうことを?

「クランクイン前に、一カ月ほどかけて本読みをしたり、タダタカシ役の須賀健太さんと一緒にセリフ合わせをしたり。あとは監督が僕の近所まで来て下さって一緒に読み合わせもしました」 

――そこで監督や須賀さんからは、どんなアドバイスを受けたんですか?

「サイモンは内気な性格なんですが、自分の思っていた内気の演技が、監督が求めているよりも暗すぎた時に、”もうちょっと上げて”という指示を頂きました。あとタカシと一緒にいる時は”そこまで内向的じゃなくて、仲のいい高校生を演じたほうがいいよ”などのアドバイスをいただきました。影があるというよりは大人しいけれどその時間を楽しんでるということを心がけました」 

――サイモンを演じるにあたって、参考にしたことはありますか? 例えば同級生を想像してみたりとか。

「撮影は昨年の6月ぐらいだったので、高校卒業してから4カ月ほどしか経っていなかったということもあり、想像しやすかったです。僕は男子4人ぐらいで遊ぶことが多くて、その時のことを思い出したりしました。あとは、クラスでよく本を読んでいた子や、もの静かな子を思い出して、そういう子はどういった動きをしていたか思い出したりもしました」 

――初めての現場はどうでした?

「全員での本読みの時、当たり前ですが監督以外にもたくさんのスタッフさんがいたので、大勢を前にして読むのに緊張しました。それはもう心臓バクバクで、体もカチコチだったと思います。でも、いざ撮影となったら、本読みのときよりは緊張せず臨めました。やっぱり事前に監督と練習出来たことが大きかったです。そういった機会を設けて頂いてなかったらずっと緊張しっぱなしだったと思うんですけど、監督が付きっ切りで指導してくれたことで、安心して挑めました」 

――初めての映画の現場でびっくりしたことはありますか。

「1日の撮影の長さに驚きました」 

 

――なるほど。主演だから、一番出演時間も長いから出ずっぱりだったでしょう?

「映画を作るにはこんなにたくさん撮影があるんだ!とびっくりしました」 

――本読みよりは落ち着いたといえ、撮影初日は体力の消耗もあった?

「そうですね…全く緊張していない訳ではなかったので、緊張からくる疲れはありました。それにミスも多かったですし…」 

――セリフですか?

「セリフというか、動きの部分です。この時にこう動くという導線がなかなか上手くいきませんでした。1回ミスしてしまったら、そこからパニックになったりもして。凄く難しかったです」

――具体的にはどんなシーンですか?

「クランクインの日の撮影は、タダタカシと彼のおでんを食べるシーンでした。“食べる”という演技が凄く難しいとわかりました。喋りながら食べたり、箸を置いたり。自然に見せなくてはいけないけれど、頭の中は一杯一杯! 撮影初日というのもあって、そのシーンが凄く印象に残っています」

――演じてみて、サイモンってどういう男の子だなと感じました?

「サイモンの性格は凄く共感できます。自分の感情をあんまり出さないところが、僕と似てるなと思いました。タダタカシと旅に出ることで、自分の感情を勇気を持ってさらしていくのですが、そこは、ああ~なんか僕と感覚が似てるな~って」

――阪本さんは、自分の意見は言わない方ですか?

「そうですね。仲のいい友達は別ですけど、なんでも思ったことを言うタイプではないです」

――では出来上がった映画を見ての感想は?

「自分の演技への反省が目立ちました。でも、先日舞台挨拶に出させて頂いたあとに観客の皆さんと一緒に客席で観たんですが、笑って欲しい場面でみんな笑っていて、少し安心しました」

――そうやってお客さんの反応をダイレクトに知れたのは良かったですね。

「こういった機会はなかなかないので、嬉しかったです。2年前までは普通の高校生だったので、まさか自分が主演を務めさせて頂いて、こうやってたくさんの人に観ていただけるということが嬉しいと同時に、不思議な感覚です」

 
――阪本さんが俳優を目指すきっかけは、どういうものだったのでしょう?

「ジュノンのコンテストを受ける前に、スカウトされたことがきっかけです。それまではドラマや映画を見ることはあっても、「俳優になりたい!」とは思っていませんでした。野球をやっていたので『ROOKIES』はすごく好きでした。あとは『ブラッディ・マンデイ』。三浦春馬さんや佐藤健さんを見て「かっこいい!」と思って。でも、まさか俳優をやることになるとは…という感じです(笑)」

――俳優デビューした感想はどうですか?

「まだ何もわからないです。楽しいというよりも難しいという気持ちが圧倒的に大きいですし。役になりきるというのは、セリフだけ覚えても駄目なんだなと。まだ役になりきるということができてないと思います。例えば監督が求める『楽しそう』の度合いを見つけるのが難しいんですよね。監督の思う『楽しそう』の加減に持っていくのが難しくて」

――そういう時、先輩である須賀さんに相談はしたんですか?

「しました。ふたりで川を歩くシーンがあったんですが、そのシーンでは仲いい感じが出てたよと言って下さいました。それは凄く嬉しかったです。でも僕は、完成した映画を見るまでどうよかったのかまではわかりませんでした(苦笑)。監督がOKを出しても手応えがあったかと言われれば…不安だったこともあります」

――ちなみに須賀さんが出演されていた舞台を観に行かれたそうですが。

「須賀さん、本当に凄かったです。タダタカシとは全く違う、映画と全然イメージが違ったのでびっくりもして。「全然イメージが違う!」って思わせるって凄いことだなと。もっと僕も引き出しを増やしたいです」

――舞台裏は行かれましたか?

「挨拶に行かせて頂きました」

――第一声、須賀さんにはなんて挨拶されたんですか?

「お疲れ様ですって」

――本当にストレートに答えましたね(笑)。お疲れ様の次は?

「『サイモン&タダタカシ』の時と全然違いましたね、と」

――やっぱりそこなんですね。舞台もいいなって思いました? 映像と板の上で演技するのって違うと思うんですけど。

「舞台は凄いなとは思いました。もっと勉強しないといけないなと思いました」

 
――だからこそ逆に、須賀さんのすごさみたいなのがわかったってことですよね。

「そうです」

――役者を初めて変わったことはありますか? 例えば前よりも人間観察するようになったとか、自分の中で変化はありましたか?

「確かに人の癖だったり動きや喋ってる内容とか、役者を始めてから意識するようになったかもしれません。僕はよくカフェに一人で行くんですが、この前、ちょっと離れたところに女子大生二人組のお客さんがいて。女の子同士だとこういう話するんだなとか、自然と人間観察していました」

――それまでは意識することは少なかった?

「そうですね。あまり気にしてなかったと思います。どちらかといえば、自分中心でした。それがどんどん外に向くようになった気がします」

――色んなものがインプットの時間になったんですね。人間観察以外で、何か意識してやるようになったことは?

「映画を観るようになりました。あと最近は本を読もうと…しています」

――しています(笑)。

「苦手な訳ではないんですが、途中で辞めてしまうことが多くて。もっとたくさん本は読みたいって思っているところです」

――他に挑戦したいことはありますか? 役柄でもいいですし、個人的にやってみたいことでも。

「筋肉をつけたいです」

――でも野球やられてたんですよね。もう筋肉は落ちちゃいました?

「やめたらすぐなくなっちゃいました。役柄で挑戦してみたいのは、みんなに思われてるようなのと逆のイメージの役をやってみたい。そのほうが面白いと思うんです。あえて見た目の印象と違うようなことをやって、びっくりさせたいですね」


 ●プロフィール
阪本一樹/さかもと・いつき

1998年5月6日生まれ、兵庫県出身。15年の「第28回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でフォトジェニック賞に輝き、芸能界入り。本作が役者デビューとなる。
公開待機作に、TUBE前田亘輝が企画した映画「YOU達HAPPY 映画版 ひまわり」(18年夏公開)がある。
Twitter:@S_5itsuki6 instagram@sakamoto.itsuki


  ●作品紹介

「サイモン&タダタカシ」
監督/小田学
出演/阪本一樹  須賀健太 
間宮夕貴 井之脇海 田中日奈子 山本圭祐 大島蓉子 菅原大吉 ほか

PFFアワード2014ジェムストーン賞を受賞した小田学の長編デビュー作。高校3年生のサイモン(阪本一樹)は、親友のタダタカシ(須賀健太)に想いを寄せていた。そんなことはつゆ知らず、タダタカシは、高校最後の夏休みにサイモンを誘って“運命の女”を探す旅に出る……。

3月24日公開
(C)2017PFF パートナーズ(ぴあ ホリプロ 日活)