「どうして欲しいかわからない男」への「チラベルト作戦」

「どうして欲しいかわからない男」への「チラベルト作戦」


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ここは夜更けの隠れ家的カフェ
「イチルノノゾミ」。
今夜も普通の恋ができなくてジタバタしてる女が、恋愛マスターのサブカルママ「めだかちゃん」に助けを求めに来ました。
めだかちゃんは自分のことを“恋愛の救世主”だと言うのですが…
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プリント

 

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sakana  
「ああ・・男って何なの・・・」

medaka
「またやり逃げされたの?」
「やり逃げされてません!」
「やり逃げもしてもらえないのね」
「違います!デートするんです。これから」
「じゃあいいじゃない。何が不満なのよ」
「それがさあ・・この前の合コンで会った男がまあまあだったから、1度ご飯にでも行こうって話になったんだけどさあ」
「偉そうだこと」
「だって、そいつお店も決めないんだよ。どこでもいいです、とか言って」
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「決めたらいいじゃない」
「だって何が食べたいとか、どの辺の場所がいいとか、全部お任せってどうなの?」
「センス試されてる感じね」
「そうよね! そもそもどれくらい脈があるのかもわかんないじゃん」
「暇つぶしかもしれないしね」
「……」
「他に女が何人もいるかもしれないしね」
「……」
「あんたじゃなくて、あんたの女友達狙いかもしれないしね」
「でも! 少なくとも男には、どうして欲しいかくらい言って欲しい!」

「まあ、そうよね」
「そこは察してよ、っていうのってどうなの?」
「向こうも怖いのよ」
「何が怖いの?」
「こいつこの程度のセンスか、って思われる事よ」
「う・・」
「つまんない店で、イマイチな料理とかだったりすると、あんた達必ず影で文句言うじゃない」
めだか

「それは・・」
「だから女にまかせておけば馬鹿にされるリスクがないってこと」
「それくらいのリスクは抱えろよ!壁ドンくらいして来いっての!男ならっ」
「ほら」
「何よ!」
「それが怖いのよ」

「えー…じゃあどうしたらいいの?」
「そんなもんチラベルトになればいいだけよ」
「は?」
「チラベルトよ!チラベルト!」
「何よチラベルトって?意味わかんないんですけど!」
「そんなもんサッカー選手に決まってるでしょ!パラグアイ代表のゴールキーパーよ!」
「なんであたしがパラグアイ代表のゴールキーパーにならなきゃいけないのよっ!」

「そんなもの決まってるでしょ!チラベルトは自分でシュート決めんのよ!」

「はあ?」
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「いいからシュート決めてこいって言ってんの!あんたも、その男も自分のゴール前で動かないで、つまんないプライド守ってんのよ」

「つまんないプライド……」

「ゴールキーパー対ゴールキーパーで、硬直してたら何も始まらないまま試合は終わるわよ」

「何でサッカー例え?」

「やってたのよあたし。サッカー」
「マジで?」
「さかつく」
「……」
「ウイイレもやり込んだものよ」
「ゲームかよ…てか、デートするだけなんだけど、この場合の得点って何なわけ?」

「誘った方がまずゴールでしょ。1点。で、お店決めて1点。手を握って1点」
「そこは3点ね」
「そうね。じゃあその握った手を自分のポケットにインは?」
「ごっ、5点…」
「そのままホテルにインは?」
「ご…50点…」
「あんた、やっぱり乾いてんのね・・」

「うっ!でもさ、自分がシュート決めに行ってばっかだと、自分のゴールはどうなんの?ガラ空きじゃん」
「それがいいんじゃない」
「何で!?」
「攻めてる時に隙ができるもんなのよ」
「隙?」
「その隙ってのが男をその気にさせるの。ゴールしたくなるし、ゴールしやすい」
「意味分かんない」
「握ってきた手が汗ばんでたりね」
「あっ」
「酔っ払って変なLINE送ったりね」
「そんなの最悪じゃん」

「つまんないプライド守って何もしない女の方が最悪よ」
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「……」

「とにかく序盤は攻撃的にいったほうがいいもんなのよ」
「そんなのズルくない?女ばっかりリスク抱えて、フラれるかもしれないし」
「本当にズルい女は、序盤に尽くして、相手を油断させて、いきなり自分のゴールを守りだす女よ」
「あ」
「わーって来て、温めたり、気持良くしてあげたりして、いきなりいなくなる作戦とかね」
「形勢逆転しそう」
「わかってる女は最初はチラベルトやるのよ」
「パラグアイの代表ね」
「時々チラベルト対イギータって試合もあるわね」
「……」
「前半はブラジル型攻撃サッカーで、後半はカテナチオとかいいわね」
「完全に意味分かんない」
「もういい。ラモスに聞いて」

<山田玲司の解説>
 「あいつキモい」の呪い

学生時代というものは残酷な時代です。
女の人も「デリカシーのない男子」に酷いことを言われたりした経験があると思います。

本当に学校は、どうでもいい方程式だの年号だのを詰め込む前に、まずは「デリカシー大切さ」を教育してもらいたいものです。
その方がはるかに国民は幸福になれます。

誤字脱字は勝ち誇ったように指摘してくるくせに、デリカシーのない発言を平気で言っているおバカさんが平然と教師やら親やらになっているんで、困ったもんです。

そんな「デリカシーを学ばない学校の子供達の世界」では、女子が男子に傷つけられるのと同様に、男子も「ガラスのハート」を女子に傷つけられています。
本当に「お互い様」ではあるんですが、この時代に女子が男子に言う「あいつキモいよね」という言葉の破壊力は凄まじいものがあります。

それを食らった「自意識の塊のガラスの少年時代」は、この時点で女が怖くなり、2次元やアイドルなど「安全な女の子の世界」に逃げていきます。

「この人はそうは見えない」と思える男でも、その手の「女への恐怖心」を抱えているのです。
なので、オラオラ系は高圧的に心を守り(基本的にオラオラ系は小心者です)理系や文系の普通男子は「様子を見る」のです。

そんなわけで普通系の男子は「自分はこうしたい」とか「ここへ行って何がしたい」などとは言いません。
「えー、何それつまんない」とか「センスないなこいつ」とか言われるのが怖いのです。

そこまで言わなくても、女の人は心の中で採点しているのを男達は知っています。表では笑顔でいても裏では「あいつキモい」とか言っているのがバレているのです。
「本当に日本の男ってダメだよね」と思うのもごもっともです。

でも、日本の男と付き合うのであれば、まずは歩み寄って、相手を否定せずに時間を共有して「私は怖くないよ」と、ナウシカのように微笑んであげて下さい。

1度心を開いた男は可愛いものです。それで、「違うな」と思ったらやめたらいいんです。
まずは自分のゴール前から相手のゴール前に歩き出してみてください。

 

 

『おそらく彼は「もう1度話し合おう(涙)」 と来ます。でも実は、「しばらくほっておいたら、 どうにかなるだろ」と思っています。~男の本音を密告する「恋の男子更衣室」~』

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Written by yamadareiji
yamadareiji

山田玲司(やまだ・れいじ)/漫画家 1966年東京都生まれ。20歳で漫画家デビューし、恋愛のマニュアル化を風刺した『Bバージン』で一気にブレイク。近年は“モテ”の絶対理論を語った注目作『モテない女は罪である』を発表。大人の恋愛サイト「AM」で様々なケースの恋愛相談を受けるなど、「いったい男は何考えてんの?」の問いに答えられる稀有な存在となる。著名人との魂の対談漫画『絶望に効く薬』シリーズや、『非属の才能』(本屋大賞、中2賞受賞)といった新書でも知られる。「山田玲司のヤングサンデー」(ニコニコチャンネル)、「スーパースーパーブルーハーツ」(クラブサンデー)連載中。

»http://yamada-reiji.com/

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