
【前編】「ごめん、寝てた」は、信じていいのか?
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ここは夜更けの隠れ家的カフェ
「イチルノノゾミ」。
今夜も普通の恋ができなくてジタバタしてる女が、恋愛マスターのサブカルママ「めだかちゃん」に助けを求めに来ました。
めだかちゃんは自分のことを“恋愛の救世主”だと言うのですが…
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彼が「怪しい」
「ごめん、寝てた」は、信じていいのか?
「きた…」
「何?通販?」
「通販の通知じゃないです。彼からのLINEです」
「バイブでも買った?」
「ホント、下品な上に昭和のオヤジ風セクハラ、ありがとうございます」
「彼から連絡がなかったのね」
「……あったもん」
「でも、昨夜はなかった…と」
「既読スルーいただいております」
「で、1日たったと」
「………」
「で、その男、”ごめん寝てた”って言ってきた?」
「え……まさにそれ!」
「ふふ」
「”ふふ”じゃないでしょ!何それ?ヤバいのこれ?信じてていいんだよね!?これ!!それが余裕のある”いい女”なのよね?!!」
「余裕のある女の顔には見えないわよねえwww」
「ここで草生やすのやめて!!!!」
地獄のSNS調査隊
「そんなの騒ぐような事じゃないじゃないわよ」
「でもさ、あの人基本マメなんだよね。連絡も普通に返してくれるし、だから何か突然の既読スルーとかされるとイライラすんのよね。できない子じゃないから。あの人」
「上から言うこと」
「だって、怪しいんだもん。あいつタバコ吸わない職場も禁煙なのに、たまにすごくタバコ臭い日があるし、絶対クラブとか行ってると思う、行ったとか言わないけど」
「彼ってどんな人なの?」
「33歳で独身のSE、1人暮らし。それはいいんだけど、元カノが近くに住んでるみたいなんだよね」
「最強の敵が近くにいるわね」
「やっぱそうよね!! なんか別れたくせにその女、バレンタインにチョコとか渡してきたみたいなんだよね。それをFacebookで……」
「あ」
「あ?」
「やっちゃってるわね」
「……やっぱり?ダメ?彼のSNS調査隊」
「確実に地獄行きの調査隊よ、それ」
「いいじゃん、これって非公開じゃないし、そもそも彼女に公開できないような事はしないって信じてるし! あとはスマホのチェックすれば…」
「あはははは」
「え?……やっちゃってる?私?ヤバイ女?」
「いいんじゃない?不幸が好きなんでしょ?中島みゆきの夜会の行こ。オカマ仲間呼んで」
「わーーーーん!!!!絶対ダメってことじゃん!もー!何で“そういうのは止めろ”って言ってくんないのよ!人が不幸になるのがそんなに見たい?!」
「やめろって言ったって、見る女は見るから言っても意味ないだけよ。つか、何で男のスマホ見たがるの?バカだから?」
「だって!被害は最小限にしておきたいじゃん!ずっと騙されてたとかの方が嫌じゃん!」
「それでもし“クロ”だったら別れる?」
「は、反省させる…」
「“うざい女”って思われたら?」
「えーー!!! だってそんなの自分が悪いんじゃん!」
「人のスマホを勝手に見るのは悪くないの?」
「きーーーーーーー!!!!」
「まあ、こうなるわね」
「何がよ?」
「見たらダメになる女ほど、スマホを見たがるのよ」
「う…」
「もし彼のスマホに知らない女の画像があったら、彼はその女と寝てると思う?」
「え?うん、多分」
「相手に別れを言われる前に、自分から言いたい派?」
「う~~~うん…」
「ほらね」
「何が?何が?」
「あんたは自分から幸せを壊したいタイプの女なのよ」
「どーーーーーーーん」