
プロポーズが嬉しくない…なんで!?
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ここは夜更けの隠れ家的カフェ
「イチルノノゾミ」。
今夜も普通の恋ができなくてジタバタしてる女が、恋愛マスターのサブカルママ「めだかちゃん」に助けを求めに来ました。
めだかちゃんは自分のことを“恋愛の救世主”だと言うのですが…
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そろそろ29歳の誕生日を迎えるこより。
30歳を目前に控え、結婚に対して焦る気持ちもあるようですが、そんな彼女に事件が…1年に渡りお送りしてきた連載、「普通の恋ができない」。
今夜、いよいよクライマックスです!
こより「大変な事がおきた・・」
めだか「もうそのパターン飽きたわ」
「プロポーズされた・・」
「あら、良かったじゃない。上手く騙せたわね」
「違うの」
「何がよ?」
「大変なの!!」
「だから何なのよっ」
「嬉しくないの…」
「あら、面白くなりそうね」
「なんで?! あれだけ結婚したかったのに。相手からちゃんと、そろそろ結婚とかする? とか言ってもらえたのに嬉しくないの?! つか、ピンとこないんだけど、みんなそうなの?」
「オカマに聞かれてもねえ」
「だからってここで断るわけには…」
「いいんじゃない?やめたら?あんた好きじゃないのよ、その男のこと」
「えーーー?!!!」
「今から呼びなさいよ、あたしが審査してあげるわよ」
「今日は彼、仕事で麻布」
「何だつまんない」
「つか、結婚したほうがいいよね?やっぱり、人として」
「ホントバカよね、あんた」
「何でよ!!普通そうでしょ!!」
「まあね。結婚しとけば、売れなかった女だと思われなくてすむしね」
「何その突き放した言い方」
「親とか親戚とか同級生にも堂々とできるしね」
「そうよ!適齢期の女の周りの人間がどんだけうるさいか知らないでしょ?!」
「要するに人の目が怖いだけでしょ?自分がないから」
「!!!!」
「自分で考える脳みそがないから」
「ちょっと!!!!!」
「まあいいじゃない。これで不倫できるし。旦那を社畜にして、楽しんだらいいじゃない。老後の孤独も回避されたし」
「あたし、そんなにひどい女? 結婚したいだけなんですけど」
「自分のためにね」
「・・・・・・・・・」
「え?まさかあんた彼を幸せにしてあげたいとか考えてた?」
「それは、少しは・・」
「家事も子育ても旦那を使って、週末はどんなに旦那が仕事で疲れててもイケアの店内を引きずり回すんでしょ?」
「そんなの普通でしょ?」
「だから男は結婚しなくなったのよ。(笑)」
「じゃあさ、じゃあさ、私って世間体と老後の不安の解消のためにあんなに結婚したがってたってこと?」
「潜在的にね」
「そんなことないもん!愛されたいだけだもん。ずっと。一生!」
「自分も一生その男を愛せる?」
「………多分」
「よくあることなのよ。こんなこと。結婚しないと一生孤独だとか、女として価値がないとか、社会に脅されてんのよ、女って」
「これ、どうすればいいと思う? 結婚」
「んーーーーー。
①彼と別れて次を待つ
②とりあえず彼はキープしたまま先延ばしして、もっといい男が現れるのを待つ
③このまま結婚する」
「………なんて雑で殺伐とした3択!!!」
「昔は結婚式がしたいからって理由で結婚したがる女もいたわよね」
「なんかもうわかんなくなってきた」
《プルルルル》
「はい、わかりました。伝えます」
「何?電話?どこから?」
「麻布警察」
「え?」
「あんたの彼、事故に巻き込まれて病院に運ばれたって」
「え。ちょっと、やめてよ」
「ここにあんたがいるからって彼が警察に伝言したんだって。タクシー呼ぶからすぐ行ってあげな」
「またまた~! …うそでしょ」
「オカマはウソつかないのよ」
「………行く、すぐ行く!」