【自律神経セルフケア】「体質診断」であなたにぴったりなケアが見つかる!【東洋医学の気滞・瘀血とは?】

【自律神経セルフケア】「体質診断」であなたにぴったりなケアが見つかる!【東洋医学の気滞・瘀血とは?】


こんにちは。TC鍼灸マッサージ院院長の森田遼介と申します。鍼灸・あん摩マッサージ指圧師として訪問治療をしながら、書籍やテレビ、SNSなどを通じて自律神経の整え方やツボの取り方、不調との向き合い方を発信しています。

本連載「大人女子を整える」では、とくに40〜50代の大人の女性にみられる“更年期”などの不調を改善するセルフケアを、体質・症状別にご紹介していきたいと思います。

連載第1回に続き、ご自分の体質を分析して正しく理解することからはじめましょう。ご自分の体質を知ることは本当に必要なケアや治療のヒントに繋がるので、不調を改善するための大切な“最初の一歩”となるはずです。

まずは、第1回にある「体質診断」チェックリストを行い、「気虚(ききょ)」「血虚(けっきょ)」「気滞(きたい)」「瘀血(おけつ)」「陰虚(いんきょ)」「水滞(すいたい)」という計6つの体質――これらのうち、自分にはどれが一番当てはまるかをチェックしてみてください。

*「気虚」「血虚」については、第1回ですでにご紹介済みですので、こちらをご参照ください。
*「陰虚」「水滞」については、第3回(2025年4月18日公開)に続きます。

 

「気滞・瘀血タイプ」の不調と、その改善法

気滞(きたい)・瘀血(おけつ)は、血(けつ)の巡りが悪い血流悪化タイプです。更年期における気滞と瘀血は、中医学では密接に関連する状態とされています。

気滞は「気」の流れが滞る状態を指し、これが進行すると血液の流れにも影響を与え、瘀血という「血」の停滞が生じることがあるのです。

ここでは気滞と瘀血を“血流の滞り”として一括りにしてくわしく説明していきます。五臓では、血流の勢いを助ける「肺」の働きが重要になります。

 

気滞・瘀血タイプのよくある日常

【気滞タイプのよくある日常】

食事後に便が出ない

気圧の変動時に偏頭痛が起こりやすい

お腹が張って仕事や家事に集中できない

周りの言動にイライラしやすく、つい余計なことを言ってしまう

生理前は普段の自分でなくなる感覚に陥る

脳が覚醒してなかなか寝付けない

【瘀血タイプのよくある日常】

朝起きて化粧をするときに目のクマやシミが気になる

生理痛が重く仕事に行きたくても動けない

職場が冷えていて本当につらい

生理中の血液の色が赤黒く、レバーのような塊があることに気がつく

お風呂で体を洗っていると、静脈瘤(じょうみゃくりゅう)や細絡(さいらく/赤紫色の糸ミミズのような細かい血管)に気づき不安になる


(イメージ:写真AC)

 

気滞・瘀血とは

気滞

気滞とは「気」がスムーズに巡らず、滞りが生じた状態です。特にストレスや感情の抑圧が原因となり、更年期ではホルモンの変化と相まって発生しやすいとされています。

瘀血

気滞が進行すると、気の停滞によって血液の循環も悪くなり、血の滞りが発生し瘀血を引き起こします。
瘀血とは血液がドロドロしている状態、あるいは局所的に停滞している状態で、中医学では慢性化しやすい問題とされています。細絡という赤紫色の糸ミミズのような細かい血管が浮き出ることもあります。

 

気滞・瘀血の対策方法

(1)生活習慣の改善

・運動
気血の巡りを良くするために軽い運動(ウォーキング、ヨガ、太極拳、かかと上げ)をするなどし、日常的に筋ポンプ作用を促すよう意識してみましょう。

・ストレス解消
呼吸法や瞑想、リラクゼーションを日常に取り入れてみてください。散歩やサイクリングなど、足を使いながら気分転換できる趣味なら特におすすめです。

・温活
体を冷やさないように注意し、足首など触れて冷たいところを中心に温めるセルフケアを行いましょう。

(2)食事による改善

体を動かす習慣を身につけながら気滞や瘀血を改善する食材を積極的に摂り、血行を促進させましょう。ストレスや冷えは気や血の流れを悪くし、痛みや不調を引き起こします。

おすすめの食材
・柑橘類:香り成分(リモネンなど)が気の流れを良くし、体をリフレッシュさせます。
・ミント、しそ、セロリ:香り高い食材は「気」を巡らせ、ストレスを緩和します。
・玉ねぎ、ニンニク:血行を促進し、瘀血を改善します。
・ウコン、黒酢、鮭、青魚、赤ワイン:血液をサラサラにし、瘀血の改善に効果的です。
・羊肉や鶏肉、シナモン、クルミ:体を温める働きがあります。

避けたい食材
・脂肪分の多い肉類や乳製品(ベーコン、チーズ、ラードなど)
・アルコール類
・甘いお菓子や清涼飲料水(チョコレート、菓子パン、砂糖入りジュースなど)
・加工食品・インスタント食品(ソーセージ、カップ麺、冷凍食品など)
・冷たいものや寒性の食材(生野菜、スイカ、梨、冷たい飲み物など)


(イメージ:写真AC)

 

気滞・瘀血を放置した場合のリスク

【気滞の放置】

精神的不調が悪化し、不安感やうつ状態に発展しやすくなります。消化機能の低下や慢性的な筋肉のコリが続き、ギックリ腰や坐骨神経痛などに発展しやすくなることもあります。

【瘀血の放置】

慢性的な痛みや冷えが悪化し、皮膚の状態も悪化しやすくなるでしょう。動脈硬化や高血圧、脳梗塞、婦人科系の病気を引き起こすリスクも高まるので体質の改善が必要です。

 

まとめ…「気滞・瘀血タイプ」のあなたへ

気滞や瘀血は、更年期女性に多い症状ですが、自分の体力に見合った量の運動を日常生活に取り入れたり、ストレスケアや血流促進を意識することがポイントになります。

冷えで気になる箇所がある場合、全身のバランスや内臓の乱れから局所に血流の不調をきたしている可能性があるため、全身メニューのマッサージや鍼灸治療を早めに受けることをおすすめします。

 

*「気虚」「血虚」タイプの方へのアドバイスは連載第1回で公開中です。
*「陰虚」「水滞」タイプの方へのアドバイスは連載第3回(2025年4月18日公開)に続きます。

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著:森田遼介


Written by 森田 遼介
森田 遼介

TC鍼灸マッサージ院 院長
国家資格:はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧師。鍼灸院などに勤めながら、勤務後や休日に個人で訪問治療を行う。予約1年待ちが続いたタイミングで2023年2月に独立し、4か月で予約満杯となる。現在は埼玉・東京エリアの訪問自費治療を中心に活動。
治療の特徴としては、全身の筋肉や内臓の調整をしつつ、不調の改善以降は再発の防止や他の大きな病気にかかるリスクを最小限にする、「未病」に対する治療で人生100年時代をできるだけQOL(生活の質)を落とさない目的の治療が需要として高い。
2021年2月NHK特番「東洋医学ホントのチカラ」・2021年4月NHK「あさイチ」・2024年4月フジテレビ「ホンマでっか!?TV」出演。
初の書籍『自律神経にいいこと大全100』(ワニブックス)のほか、『しんどい低気圧とのつきあいかた』(新潮社)ツボ監修。
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note @harikyumorita 

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