
大人の浴衣
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季節ごとの小さな幸せ、家族と楽しむ年中行事。
杉浦さやかさんがスケッチする折々の暮らし。
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10年ほど前から、夏になるとちょこちょこ浴衣を着るようになりました。
普段履きなれない草履や下駄で靴ずれをおこして、
何度かひどい目にあったので、だいたい足袋を履いての浴衣散歩です。
そうなると、ちょっとかしこまった着こなしにしないと踊り手さんのようになってしまうので、たいがい帯締めも締めることになります。
若い女性なら、湯上りのようにさらっとシンプルに着こなして、足もとは涼しげな裸足のほうが断然かわいいけど、歳を重ねると、浴衣でもそういうちょっと大人びた装いのほうがしっくりくるようになります。
さて、そんな浴衣を夏着物風に着こなすのによいお手本になるのが、往年の日本映画。
”浴衣に帯締め”スタイルの先生は成瀬巳喜男の『流れる』(1956)。
花柳界のお話なので、出てくるのは女性ばかり。
浴衣も帯もハッキリした柄物の組み合わせで、
40代以降の女性たちは、家着の浴衣にもキリッと帯締めを締めています。
それがまぁ、なんと粋なこと。
浴衣にも応用できそうな、美しい夏着物がたくさん出てくる小津安二郎の『彼岸花』(1958)も、
見目麗しく大好きな映画です。
女性たちの美しい着物の所作にうっとり。
妊娠中に着て以来、3年間のご無沙汰だった浴衣。
今年はたくさん楽しもう、と思っていたところに、
グループ展のイベントでスナックのママをやることに。
こけしがテーマの展覧会で、こけし柄の浴衣を持っている私は迷わず浴衣を着ることにしました。
”ママ”といえば、着物でしょう!
白地にポップな色合いの生地なので、
今ひとつママ感は足りなかったけど、
久しぶりの浴衣に胸が躍りました。
それで勢いづいて、去年は甚平だった3歳の娘にも浴衣を新調(古着ですが)。
花火大会にお祭り、浴衣で一緒にお出かけしたいな。
*次回は7月22日(金)更新予定です。