夏の冷房「冷え」対策に!体質別・自律神経セルフケアをご紹介【職場が寒すぎる、足元が冷たい…】

夏の冷房「冷え」対策に!体質別・自律神経セルフケアをご紹介【職場が寒すぎる、足元が冷たい…】


今年の夏も早くから厳しい暑さがつづき、エアコンなしでは命の危険すら生まれる昨今。しかし、「外では汗をダラダラとかくほど暑いのに、オフィスでは寒くて仕方がない」「体は暑さを感じているのに、足元が冷たい」……そんな“夏の冷え”に悩まされる女性が多いようです。


(イメージ:写真AC)

ここでは、鍼灸・あん摩マッサージ指圧師として訪問治療をしながら、書籍やテレビ、SNSなどを通じて自律神経の整え方やツボの取り方、不調との向き合い方を発信している、TC鍼灸マッサージ院院長・森田遼介先生に、なかでも“40〜50代の女性”の不調を改善するヒントを、体質・症状別に教えていただきます。

それでは、ご自分の体質にぴったりと合うセルフケアを見つけ、この時期特有の不調を体質別に改善していきましょう!

【※この連載では、東洋医学の観点から体質を「気虚」「血虚」「気滞」「瘀血」「陰虚」「水滞」の6つのタイプに分けてご紹介しています。まずは第1回でご自分の体質をチェックしてみてください】

 

まずは「職場の環境」を見直してみよう!

夏の冷えといえば、非常によく耳にする話の一つに、「職場が寒すぎる」というものがあります。職場の席順、つまりエアコンの位置や暑がりの人が近くにいることなどが原因で体が冷える人は、早めに上司などに相談しましょう。

というのも、暑がりの人が冷房の設定をコントロールしてしまい、寒がりの人の席に風が強く当たる場合は、席替えを提案してほしいのです。

逆に、管理する立場にいる人は、まず社員の足元に注目してください。夏でもひざ掛けをかけていたり、冬の様な恰好をしている人に冷房の風が直撃していたら、環境を見直す必要があります。不調で休みが多くなる危険性や仕事効率の低下にも繋がるはずです。


(イメージ:写真AC)

また、食事での対策も有効です。東洋医学では、体を温める性質がある食材を「陽性食材」といいますが、この陽を補う食材としては、羊肉・鶏肉・鮭・エビ・くるみ・黒ごま・黒豆があります。これらを、食事の中にバランスよく取り入れてみてください。

また、日々の臨床の現場では、「筋肉量はあるが筋肉に伸張性が無い」ケースで、そのために血流が悪くなっている人に多く出会います。

つまり、筋肉はゴムの様に伸び縮みすることで血管のポンプ作用を担うわけですが、せっかく筋肉が付いているのに上手に使えないことで血流が悪くなり、冷えているケースがあるということです。

そこで自分でできるセルフケアとしては、入浴中や入浴後に下半身の足や腰を中心に揉む、カイロなどで温める、ストレッチをする、などがあります。

自分で行うのが難しい方は、一度、鍼灸やマッサージに行ってみると間違いないかもしれません。筋肉の繋がりや内臓の働きなど、全身のバランスを診て改善のサポートをしてくれます。


(イメージ:写真AC)

それでは、夏特有の冷えにうってつけのセルフケアを、まとめてみましょう。

まとめ:必須セルフケア

1.下半身(下腹部や腰、おしり、脚全体)を冷やさず温める
2.陽を補う食材を選ぶ
3.太ももやふくらはぎを揉む・温める・ストレッチをする

 

不調が出やすい「体質別ランキング」とその改善法

次に、特にこれらの不調を感じやすい「体質と対策」をランキング形式でご紹介します。ご自身の体質に合ったセルフケアを見つけてください。

第1位:気虚タイプ

【体質】
「気」が不足して熱を生み出せない。胃腸が弱く、食べ物からエネルギーを作れない。

【対策】
手軽で使いやすい温活アイテムは、小さめのホットマット。これで5分~15分ほど、膝から足首の、脛の経絡(ツボとツボを結ぶ線)を温めましょう。暑苦しいと感じたら温め終わったサインです。

脛のラインは気虚に関係する「足の陽明胃経」という経絡が走っています。このラインをマッサージすることで「脾(消化器系)」の働きをよくしてくれます。


(イメージ:イラストAC)

 

第2位:血虚タイプ

【体質】
「血(けつ)」が不足して全身の血流が悪くなり、代謝が低下する。

【対策】
おなじくホットマットで膝の内側から太ももの内側を温めましょう。ここは、「足の厥陰(けついん)肝経」という「血」に関係の深い経絡が走っています。

更年期や婦人科系のツボとして、「血海(けっかい)」という有名なツボがありますが、ちょうど体の中で最大の筋群である大腿四頭筋の「内側広筋」の上に存在します。大きな筋肉を温めて効率よく代謝を上げましょう。


(イメージ:イラストAC)

 

第3位:気滞・瘀血タイプ

【体質】
「気」や「血」のめぐりが悪く、冷えのぼせになりやすい。

【対策】
このタイプもホットマットで、足と下腿(かたい:足首~膝)の内側を温めましょう。これは私自身、足が冷えるとよく行うセルフケアで、下腿の内側には3つの陰経が走っています。それが「足の太陰脾経」「足の少陰腎経」「足の厥陰肝経」です。

代表的な「三陰交」というツボは、この3つの陰経が交わるところという意味で、ここを中心に足と下腿内側を温めると脚全体が早く温まりやすくなります。


(イメージ:イラストAC)

 

下半身を中心にホットマットなどを使って温活、ストレッチなどで筋肉の血流を促し、陽性食材を意識して摂ることで、大幅に冷えが改善されるはずです。下半身には女性に効果的なツボも多いので、まさに一石二鳥! 

自分にぴったりのセルフケアを見つけ、無理なく習慣化させていきましょう。

*次回は8月20日更新予定です。

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自律神経にいいこと大全100
著:森田遼介


Written by 森田 遼介
森田 遼介

TC鍼灸マッサージ院 院長
国家資格:はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧師。鍼灸院などに勤めながら、勤務後や休日に個人で訪問治療を行う。予約1年待ちが続いたタイミングで2023年2月に独立し、4か月で予約満杯となる。現在は埼玉・東京エリアの訪問自費治療を中心に活動。
治療の特徴としては、全身の筋肉や内臓の調整をしつつ、不調の改善以降は再発の防止や他の大きな病気にかかるリスクを最小限にする、「未病」に対する治療で人生100年時代をできるだけQOL(生活の質)を落とさない目的の治療が需要として高い。
2021年2月NHK特番「東洋医学ホントのチカラ」・2021年4月NHK「あさイチ」・2024年4月フジテレビ「ホンマでっか!?TV」出演。
初の書籍『自律神経にいいこと大全100』(ワニブックス)のほか、『しんどい低気圧とのつきあいかた』(新潮社)ツボ監修。
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