ご飯に合うロールキャベツ 京橋【銀座 日東コーナー 1948】

ご飯に合うロールキャベツ 京橋【銀座 日東コーナー 1948】


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月一で通っている行きつけのお店、ハレの日のとっておきのお店、
ちょっとニッチで穴場的なお店……。
食いしん坊のファッションライター・arikoさんがつづる
新しい偏愛レストランガイド。

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「クリームシチューはご飯に合うか」とは洋食メニューでよく議論されるトピックスだ。ロールキャベツも同じことがいえるメニューではないかと思うもののひとつ。

ひき肉ダネをキャベツで包んで、トマトベースのソースでふっくら煮込んだロールキャベツは手間ひまがかかるため、自宅で作るよりレストランで美味しくいただきたい。

レストランメイドのロールキャベツはやさしい味わいと一度にたくさん仕込むがゆえのコクが相まった魅力的な一品。それでもメニューで見かけると目では惹かれながらもご飯との相性にうーんと悩んだ結果、ハンバーグやこってりパンチのあるものを結局頼んでしまうというジレンマに陥る、近くて遠いメニューだった。この「日東コーナー 1948」を知るまでは。

現在は京橋からも程近い銀座1丁目にあるこのお店は、創業77年目を迎える。名物のひとつであるトマトソースで食す「赤いロールキャベツ」はこれまでの小さな悩みを吹き飛ばす一品だ。

テーブルに現れるのは熱々のスキレットにのったゴロッと大きなロールキャベツ。なみなみと注がれたトマトソースがいい香り。ライスとともに供されるのだが、その際に「ご飯が余ったら、リゾットにしますので声をかけてください」との思いもよらないアドバイスが。

そうかその手があったのか……とまるで福音のように響いたのは私だけではあるまい。ふっくら味わい深いロールキャベツをまず存分に味わい尽くしてから、残ったご飯をリゾットにしてもらえるなんて!


「ソースが少なければ足しますので」との言葉もありがたくて涙が……。しばし待つこと数分で、再び現れたのは同じスキレットで湯気をあげる熱々のトマトリゾット。粉チーズを振って口に運べば、旨みたっぷりでこれだけでもオーダーしたいほどの美味しさにうっとり。

もうご飯とのバランスを考えなくてもいいと思うとロールキャベツのハードルがぐんと下がりまくり(何目線?)。一品で二度美味しいロールキャベツなんて嬉しすぎる。

メニューに並ぶ黒いハンバーグや白いミートボールも魅力的だが、悩みつつもこの店ではやっぱりロールキャベツを頼んでしまう。小さな公園に面した天井の高いクラシカルな店内の雰囲気もとても落ち着ける。遅めのランチタイムにのんびりくつろいだ時間が過ごせて最高なのだ。


DATA

銀座 日東コーナー 1948

住所 〒104-0061 東京都中央区銀座1-27-10 ザ・アソシエイトビル 1F
営業時間 11:30~14:00(L.O. 13:30)/17:30~21:30(L.O. 21:00)
電話番号 03-3535-6567
定休日 日曜ディナータイム(日曜ランチタイムは営業しています)
HP https://nittocorner1948.com/
Instagram  @nittocorner
X(旧Twitter) @nittocorner

*次回は8月8日更新予定です。

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Written by ariko

CLASSY.、VERY、HERSなどの表紙やファッションページを担当する編集ライター。日々の食卓をポストしているInstagramが、センスあふれる美味しそうな写真と食いしん坊の心を掴む料理で話題に。著書に『arikoの食卓』シリーズ、『arikoの黒革の便利帖』(共にワニブックス)、『ありこんだて』(光文社)、 『2品で満足 arikoの家和食』(講談社)など多数。
Instagram:@ariko418

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