【伝説の70歳】アグネス・チャンが実践してきた「枯れない」暮らし方


いま世界では平均寿命が延びて長寿化が進んでおり、「人生100年時代」ともいわれています。
私たちはその100年のうち、あとどのくらい元気でいられるでしょうか。

「ひなげしの花」でデビュー後トップアイドルとして活躍し、日本・アジア・世界で累計350万部を超えるベストセラー作家でもあるアグネス・チャンさん。新刊『70歳、ひなげしはなぜ枯れない』では、健康と若々しさを保つために実践してきた「45の方法」を紹介しています。

気持ちの持ち方・食事・運動・睡眠・人とのつながり……70歳を迎えた今だからこそ伝えたい、心と体をしなやかに保つ知恵が詰まった一冊です。ここでは、本書の「はじめに」「おわりに」より、アグネスさんの想いを特別にお届けします。

※本記事は、アグネス・チャン:著『70歳、ひなげしはなぜ枯れない』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

 

気づけば70歳、まだ「未完成」

17歳で「ひなげしの花」で日本デビューしてから、気づけば70歳になりました。
月日の流れは、本当にあっという間です。

今では日本の女性の平均寿命は84歳、香港では86歳。
もし私の寿命がその真ん中の85歳だとしたら、私はすでに人生の8割以上を生きてきたことになります。

それでも私は、自分のことを「未完成」だと感じています。
まだ学びたいことがあり、恩返ししたい人もたくさんいる。
まだまだ未熟な自分に焦ることさえあるのです。

まるで枯れることを忘れたひなげしのように、私は今も背伸びをして、遠くの景色を見ようとしています。

次に何が起こるのか、わくわくして仕方がない――。
そんな気持ちで毎日を過ごしている自分に、ふと気づいたことがあります。

「あれ? 私、“疲れた”ってあまり感じたことがないかも」と。

もちろん子育て中はへとへとになる日もありました。
でも今は、一日中動いても、一晩眠ればすっきり。翌朝にはまた元気に歩き出せる。そのことに、自分でも驚いています。

理由はひとつではありませんが、「日々の暮らし方」が大きいのだと思います。食事、運動、心の持ち方――ほんの少しの習慣が、積み重なって今の私をつくってきました。

この本を書くことで、自分の70年を改めて振り返る機会を得ました。
何が良かったのか、どんな習慣が続いてきたのか――それを少しずつ言葉にしてみたのです。

もしこの本の中に、何かひとつでも「やってみたい」と思えることがあったら。そして、「年を重ねるのも悪くない」と感じていただけたなら、それ以上に嬉しいことはありません。

 

心も体も枯れない「ひなげし」でありたい

でも100歳まで生きた母のことを思うと、人生はきっと、私たちが思っているよりもずっと長いのかもしれない、と感じることがあります。

母の歩んできた道を思い返すと、人生の後半をどう生きるのかが、どれほど大切かに気づかされます。

戦争をくぐり抜け、苦しい時代をたくましく生き抜いた母。
それでも晩年は、柔らかく、明るく、そして穏やかに日々を過ごしていました。

そんな母を見送って、私は心の奥で誓いました。
――私も、これからの人生を、いつまでも「枯れずに」生きていこう、と。

「枯れる」とは、生きることに興味を失ってしまうこと。
けれど、どんなに年を重ねても、毎日を楽しみ、心を動かし、笑顔を忘れない人は、決して枯れていません。
体が少し不自由になっても、シワが増えても、目が輝き、声にハリがある人は、ちゃんと「咲いて」いるのです。

もう70歳。でも、まだ70歳。

年齢は、ただの数字。人が年をとるスピードは、それぞれ違います。
夢を見失った17歳の若者よりも、目標に向かって進む70歳の人の方が、ずっと若々しく、生き生きしている私は、そう信じています。

だから私は、これからも、心も体も枯れない「ひなげし」でありたい。

日々の何げない幸せに感謝して、明日はきっと、今日より素敵になると信じていたい。
最高の日々は、きっとまだこれから。
そう信じて、今日も前を向いて歩いていきます。

The Best is yet to be.

 

本書70歳、ひなげしはなぜ枯れない では、「コントロールできないことに、心を砕かない」「がんと向き合い、人生観が変わった」「小さな「選ぶ」が、脳と心の刺激になる」など、アグネスさんが実践してきた、心と身体を若々しく、人生後半をしなやかに生きるヒントが詰まっています。これからの日々を自由に楽しく、自分らしく生きていきましょう。

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70歳、ひなげしはなぜ枯れない
著:アグネス・チャン

アグネス・チャン
歌手・エッセイスト・教育学博士

1955年8月20日香港生まれ。14歳で香港デビュー、17歳の時に『ひなげしの花』で日本デビューし、トップアイドルに。 上智大学国際学部を経て、カナダのトロント大学(社会児童心理学)に留学。85年に結婚、翌年の86年に長男を出産。89年、米国スタンフォード大学教育学部博士課程に留学。留学中の89年に次男を出産。94年に教育学博士号(ph.D)を取得。96年に三男を出産。芸能活動ばかりでなく、エッセイスト、日本ユニセフ協会大使、日本対がん協会「ほほえみ大使」など文化人として幅広く活躍。息子3人全員がスタンフォード大学に合格したことでも話題に。著書に『スタンフォード大に三人の息子を合格させた50の教育法』(朝日新聞出版)など多数。
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