
台風シーズンの「気象病」対策に! 体質別・自律神経セルフケアをご紹介【頭痛、耳鳴り、吐き気…】
9月も後半に入り、まだまだ暑い日がつづくものの、季節は少しずつ秋へと移り変わっています。秋は台風などが頻発する影響もあり、頭痛や耳鳴りといった、いわゆる「気象病」に悩まされる人が多い時期では……? とくに、もともと自律神経が乱れやすい更年期世代の女性は、より「気象病」の影響を受けやすいと言われています。
(イメージ:写真AC)
ここでは、鍼灸・あん摩マッサージ指圧師として訪問治療をしながら、書籍やテレビ、SNSなどを通じて自律神経の整え方やツボの取り方、不調との向き合い方を発信している、TC鍼灸マッサージ院院長・森田遼介先生に、なかでも“40〜50代の女性”の不調を改善するヒントを、体質・症状別に教えていただきます。
それでは、ご自分の体質にぴったりと合うセルフケアを見つけ、この時期特有の不調を体質別に改善していきましょう!
【※この連載では、東洋医学の観点から体質を「気虚」「血虚」「気滞」「瘀血」「陰虚」「水滞」の6つのタイプに分けてご紹介しています。まずは第1回でご自分の体質をチェックしてみてください】
なんと「噛み締め」が、不調の原因のひとつだった!
台風シーズンとなる9月をはじめ、季節の変わり目には、寒暖差や気圧の変化がはげしくなることから、もともと持っていた症状を悪化させる人が多くいます。とくに「気象病」に多い、頭痛、耳鳴り、吐き気といった症状は、更年期にさしかかった女性であれば「もともと、普段からなりやすい」という人が多いかもしれません。
そこで、今回は季節に限らず、そもそもの症状の原因や対処法について、お話ししていけたらと思います。
(イメージ:写真AC)
更年期に頭痛、耳鳴り、吐き気の症状が当てはまる人の特徴としては、心も身体も「緊張」しやすい状態にあるということです。緊張しているとまずは歯を噛み締める癖が起こります。
そこから頭部や耳周囲、胸鎖乳突筋など首の筋肉が硬くなって血流が悪くなるのみならず、五臓六腑の乱れが相まって頭痛や耳鳴り、吐き気が起こりやすくなるのです。
特に、後頭部の筋緊張が強くなると不調が悪化してしまいます。夜間の歯ぎしりは気をつけることが難しいですが、日中の噛み締めは意識するだけでも負担が変わります。「口が閉まっていても、上と下の歯の間には隙間がある」状態が正常です。
そんな人におすすめのツボは、「天柱・風池・完骨」です。肌寒い日はストールなどで温めたり、筋肉は湿気や冷えで硬くなりやすいため、入浴後には後頭部までしっかりと髪を乾かすようにしてください。
△『自律神経にいいこと大全100』(著:森田遼介)より/イラスト:日江井香
食材は酸味や苦味のあるもの(梅干し、ベリー類、柑橘類、お茶(緑茶・抹茶・よもぎ茶など)、セロリ、ふきのとうなど)に緊張を抑える働きがありますが、忙しい人や緊張しやすい人の中には無意識に好んでいるという人も多くいるでしょう。
また、頭痛、耳鳴り、吐き気は、肩こりなどが慢性化した後に「二次症状の訴え」として出やすい不調であるという点に注意してください。
不調が何もなく元気な人に突然この三つの症状が出るということはなく、肩こりなどの症状が続き第二段階として出る場合が多いということです。したがって頭痛、耳鳴り、吐き気の症状が強く続いているなら「自律神経がかなり乱れているよ」という身体からのサインだと思ってほしいのです。
私の患者様には脳血管障害の後遺症に苦しまれている人も多くいますが、病気を発症するまでに長らく頭痛や耳鳴り、吐き気に悩まされてきたという人が多いのです。
脅すわけではありませんが、そもそも生活の質が低下する症状でもありますし、大きな病気に発展しないようにするためにも、くれぐれも早めに改善していくことをおすすめします。
それでは、季節の変わり目に出やすい症状に、うってつけのセルフケアをまとめてみましょう。
まとめ:必須セルフケア
1.歯を嚙み締めない
2.後頭部の筋緊張を抑える
3.緊張を落ち着かせる食べ物を選ぶ
不調が出やすい「体質別ランキング」とその改善法
次に、特にこれらの不調を感じやすい「体質と対策」をランキング形式でご紹介します。ご自身の体質に合ったセルフケアを見つけてください。
第1位:血虚タイプ
【体質】
睡眠時間が少なく、「血(けつ)」を増やせない状態のため不調が起こりやすい。
【対策】
後頭部の筋緊張が出やすい人は、不眠・眼精疲労・首肩こりを持っている人が多くいます。不眠や眼精疲労といった不調を同時に改善していくためにも、目にやさしい「味噌汁」がおすすめ。
ほうれん草や卵、人参、わかめを入れた味噌汁は肝血(かんけつ)を補い、目の疲れや肩こりに効果的です。仕上げに白ごまを加えると、目の潤いを保ちやすくなります。
(イメージ:写真AC)
第2位:気滞・瘀血タイプ
【体質】
熱が上に昇りやすく、「気」や「血」のめぐりが頭部で滞ると不調が起こりやすい。
【対策】
このタイプはストレスから「気」や「血」のめぐりが滞る傾向にあるため、心身をスッキリすることが大切。海岸へ行って大声で叫んだり、キックボクシングなどで思い切り身体を動かしてストレスを発散できるといいでしょう。
発散のために炭酸を好む人も多いですが、内臓を冷やさないよう飲み過ぎにはお気をつけください。
第3位:陰虚タイプ
【体質】
「陰」が不足して「陽」が強まり、体内で熱と興奮が強まることで不調が起こりやすい。
【対策】
「腎」は陰の性質が強く、腎の働きが低下(この状態を腎虚といいます)することで「水(すい)」が不足し、「心(しん)」の熱をクールダウンできなくなることで不調が現れやすくなります。
そこで、腎を補う「腎活茶」の作り方をご紹介します。ゆっくりと飲むことで、ホッと一息つきましょう。
(イメージ:写真AC)
〈腎活茶〉
材料
クコの実……小さじ1
なつめ……1粒
レーズン……小さじ1
好みの紅茶……ティーバッグ1個
作り方
1.ティーポットにクコの実、なつめ、レーズンを入れ、お湯(分量外)を注ぎ5分程度置く。
2.好みの紅茶のティーバッグを入れて、さらに3分ほど蒸らして完成。
第4位:水滞タイプ
【体質】
頭部で「水」のめぐりが悪くなると不調が起こる。
【対策】
このタイプの人は適度に汗をかくようにしましょう。汗をかくというと「ウォーキングなどの運動をしないといけないの?」と思うかもしれませんが、入浴や少し厚着をしての昼寝、ヨガでもOKです。自分に合った汗のかき方を楽しく見つけましょう。
(イメージ:写真AC)
また、水滞タイプの人は、冷たい飲み物・お刺身などの生ものを摂り過ぎないように気をつけてください。特に暑い季節はキンキンに冷えたものを口にしたくなると思いますが、胃腸の働きを弱め水分代謝がさらに悪くなるみため、注意が必要です。
暑い時期でも不調があるときは、朝起きてお白湯を一杯飲むとホッとして気持ちが良くなるはずです。
「季節の変わり目が苦手」……そんな人こそ、ふだんからの小さなセルフケアの積み重ねが大切なのです。まずは自分の体質を知ることで、ぴったりのセルフケアを見つけてみてください。
無理なく習慣化させることで、季節の変わり目のみならず“いつもの不調”を改善していきましょう。
*次回は10月15日更新予定です。
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『自律神経にいいこと大全100』
著:森田遼介