今こそ気をつけたい「秋うつ」対策! 体質別・自律神経セルフケアをご紹介【気分の落ち込み、不安、不眠…】

今こそ気をつけたい「秋うつ」対策! 体質別・自律神経セルフケアをご紹介【気分の落ち込み、不安、不眠…】


秋も少しずつ深まり、気づけばあっと言う間に日が沈んでしまう、今日この頃。この時期に気をつけたいのが、日照時間の減少から起きる「秋うつ」です。
秋から冬にかけて発症する“季節性うつ病”で、気分の落ち込みや不安、神経過敏、焦燥、不眠などに見舞われます。もともとセロトニンの分泌量が低下しやすい更年期の女性は、とくに注意が必要です。


(イメージ:写真AC)

ここでは、鍼灸・あん摩マッサージ指圧師として訪問治療をしながら、書籍やテレビ、SNSなどを通じて自律神経の整え方やツボの取り方、不調との向き合い方を発信している、TC鍼灸マッサージ院院長・森田遼介先生に、なかでも“40〜50代の女性”の不調を改善するヒントを、体質・症状別に教えていただきます。

それでは、ご自分の体質にぴったりと合うセルフケアを見つけ、この時期特有の不調を体質別に改善していきましょう!

【※この連載では、東洋医学の観点から体質を「気虚」「血虚」「気滞」「瘀血」「陰虚」「水滞」の6つのタイプに分けてご紹介しています。まずは第1回でご自分の体質をチェックしてみてください】

 

“頑張り過ぎ”は自律神経を乱し、気分が落ち込む原因に

季節の変わり目、日照時間の減少や寒暖差などを原因とする「秋うつ」は、気分の落ち込みや不安、不眠など、自律神経が乱れやすい更年期女性にとって「もともと普段からなりやすい」といった症状が多くみられます。そこで、この時期に限らず、更年期に起こりやすい「うつ」について、そもそもの原因や対処法をお話ししていきましょう。

まず、メンタルに不調を抱えている人の多くが、じつは胃腸トラブルをお持ちです。腸内から分泌される「セロトニン」という幸せホルモンが精神を安定させるという知識は近年だいぶ広まったように感じますが、更年期では、エストロゲンの低下に伴いセロトニンの分泌量も低下するため、腸活をして働きを補う必要が出てくるのです。


(イメージ:写真AC)

また、不安感から健康情報をネットで読み漁ってしまう人は注意が必要です。気持ちは十分にわかるのですが、画面を見て目を酷使することは心身ともに非常に疲れやすい行為ですので、気になる不調があるなら専門家に早めに相談をしましょう。

そして、ライフステージが変わり、子育てや介護の役目が少なくなるなど、急に空き時間が増えたタイミングで、無意識のうちに長時間同じ姿勢でスマホの画面を見ている人も多くいらっしゃいます。これも気持ちはわかりますが、自律神経が余計に乱れ、運動量も減り、ずっと家の中にいることは心身ともに良くありません。

外に出る気分になれない人は、カーテンと窓を開ける習慣を身につけましょう。


(イメージ:写真AC)

メンタル面の乱れには、鍼灸や漢方薬の力を借りてみるのも良いでしょう。というのも、気持ちが沈み過ぎてしまうということは、たった今始まったことではなく、少し前の頑張り過ぎていた生活の中にすでにあった症状だからです。

そして、多くの人はこれまで自律神経が乱れていたという“心当たり”をすでに自覚されていらっしゃいます。上手な施術者はそれらを丁寧に聞きながら、その時々で五臓六腑(ごぞうろっぷ)のどこが乱れ、疲れてしまったのかを把握しながら心身にアプローチし、そのタイミングに合ったセルフケアを提案してくれることでしょう。


(イメージ:写真AC)

東洋医学では、「怒・抑うつ・気分の変動」は「肝(かん)」と関係します。ですので、背中にあるツボ「肝兪(かんゆ)」をカイロなどで温めましょう。心情を安定させるときによく用いるツボです。

また、姿勢が悪くて肝兪あたりの背部の筋肉が硬くなっている人も多いです。基本的にうつ病を抱えている人の中で姿勢が良い人はほとんどいません。精神状態を悪化させないためにも、背中が丸まっていないか、日頃の姿勢から意識することも大切です。

それでは、この時期に出やすい症状に、うってつけのセルフケアをまとめてみましょう。

まとめ:必須セルフケア

1.腸活をする
2.自分の不調をスマホやパソコンで調べ過ぎない
3.鍼灸や漢方の力を借りてみる

 

不調が出やすい「体質別ランキング」とその改善法

次に、特にこれらの不調を感じやすい「体質と対策」をランキング形式でご紹介します。ご自身の体質に合ったセルフケアを見つけてください。

第1位:気虚タイプ

【体質と対策】
気が不足すると心身のガソリン切れになり、不調に陥ってしまいます。

気持ちが落ち込む原因は人それぞれにあります。比較的多い傾向としては、今まで頑張ってきた反動が今の心身に影響しているということ。人によっては「今まで別に頑張っていたわけではないのですが」「このくらい普通ですよね?」など、頑張るというラインが普通とかけ離れてしまっている人もいます。

また、人に助けを借りることが苦手でつい自分一人で頑張ってしまうという人も多いのですが、これを機に専門家に身体を任せてみてはいかがでしょうか。頑張らないこと、人の助けを借りることで、人生を豊かに送りやすくなる発見があるかもしれません。

 

第2位:気滞タイプ

【体質と対策】
気や血の停滞から、気持ちの不安定などの不調に繋がります。

気滞タイプの人は、小さなことでも幸せを探し、「嬉しい」「良い天気」といった前向きな言葉を意識的に声に出すことを習慣化するとよいでしょう。

東洋医学では、気は思いや感情と密接な関係にあると考えられています。特に、感情は気の流れに大きく影響を与えるとされ、これを「七情(しちじょう)」と言います。たとえば、「喜」という感情は、「心(しん)」を養い気を緩めて巡らせる働きがあり、「怒・憂・思」という感情は、気を滞らせて体調や心調を乱すとされています。

つまり、喜びの感情を「言葉」にして外に出すことは、気のめぐりを促進するのです。小さな声でも大丈夫ですので、自分に向けて“気付け薬”となるひと言を。

 

第3位:陰虚タイプ

【体質と対策】
陰が不足すると神経が過敏になりやすく、精神のゆらぎが目立つようになります。

「陰は心を安ず」という言葉がありますが、陰(潤い)が不足すると、心神が不安定になり、落ち着きや安心感を失ってしまいます。ちなみに心神の「神」は、東洋医学では精神・意識・思考・感情・記憶など、脳の働きを表す言葉として使われます。言い換えるなら、陰が足りないと「心神=心や脳」がオーバーヒートして、不安・焦燥・不眠・イライラといった状態に陥ってしまうというわけです。

そんなときには、ずばり「神」が名前となっているツボ「神門」に、お灸を3~5回ほど行いましょう。「手の少陰心経(しょういんしんけい)」といって、まさに心と脳の乱れに効くツボになります。


△『自律神経にいいこと大全100』(著:森田遼介)より/イラスト:日江井香

神門は、精神・意識・思考を司るツボとして、感情の整理や落ち着きに関わります。神門を押して痛みやコリ感を感じたら、心身の緊張が高まっているサインかもしれません。更年期に多い「感情の揺れ」「心がざわざわする」といった不安感、イライラ、焦燥感はホルモン変動により自律神経が乱れることが原因の一つ。

不眠やパニック、動悸、不安にかられたときにもおすすめですので、「お守りツボ」として覚えておきましょう。指圧(左右両方に3~5回)やお灸、洗面器にお湯を張り手首まで浸かるのも良し、アームウォーマーで保温すると、ホッと心が落ち着く感覚になることでしょう。


(イメージ:写真AC)

 

これまで頑張り過ぎていた自分を自覚し、認めること……。家族や専門家に頼ることも視野に入れつつ、まずは自分の体質に合った、ぴったりのセルフケアを見つけてみてください。

無理なく習慣化させることで、メンタル面の乱れを改善させ、揺らぎやすい時期を乗り切っていきましょう。

*次回は11月19日更新予定です。

お知らせ

本連載「大人女子を整える」の内容をまとめた書籍『更年期と自律神経をやさしく整える本』の発売が決定しました!

\11月14日発売!/
更年期と自律神経をやさしく整える本
著:森田遼介

\好評発売中!/
自律神経にいいこと大全100
著:森田遼介


Written by 森田 遼介
森田 遼介

TC鍼灸マッサージ院 院長
国家資格:はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧師。鍼灸院などに勤めながら、勤務後や休日に個人で訪問治療を行う。予約1年待ちが続いたタイミングで2023年2月に独立し、4か月で予約満杯となる。現在は埼玉・東京エリアの訪問自費治療を中心に活動。
治療の特徴としては、全身の筋肉や内臓の調整をしつつ、不調の改善以降は再発の防止や他の大きな病気にかかるリスクを最小限にする、「未病」に対する治療で人生100年時代をできるだけQOL(生活の質)を落とさない目的の治療が需要として高い。
2021年2月NHK特番「東洋医学ホントのチカラ」・2021年4月NHK「あさイチ」・2024年4月フジテレビ「ホンマでっか!?TV」出演。
初の書籍『自律神経にいいこと大全100』(ワニブックス)のほか、『しんどい低気圧とのつきあいかた』(新潮社)ツボ監修。
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