冷えからくる「腰痛」を改善! 体質別・自律神経セルフケアをご紹介【腰が重い、動くと疲れる、下半身がダルい…】
立冬(11月7日)を過ぎ、暦の上ではすっかり冬に。日中の気温もぐっと下がるこの時期は「腰が重く感じる」「下半身がダルい」など、冷えからくる「腰痛」に見舞われる人が増えるタイミングです。もともと身体が冷えがちな更年期の女性にとっては、とても身近で、かつ深刻な症状のひとつかもしれません。

(イメージ:写真AC)
ここでは、鍼灸・あん摩マッサージ指圧師として訪問治療をしながら、書籍やテレビ、SNSなどを通じて自律神経の整え方やツボの取り方、不調との向き合い方を発信している、TC鍼灸マッサージ院院長・森田遼介先生に、なかでも“40〜50代の女性”の不調を改善するヒントを、体質・症状別に教えていただきます。
それでは、ご自分の体質にぴったりと合うセルフケアを見つけ、この時期特有の不調を体質別に改善していきましょう!
【※この連載では、東洋医学の観点から体質を「気虚」「血虚」「気滞」「瘀血」「陰虚」「水滞」の6つのタイプに分けてご紹介しています。まずは第1回でご自分の体質をチェックしてみてください】
足腰の冷えを「プランク」で改善!
腰はとにかく冷えに弱く、かつ脚と関係が深いため、足腰としてまとめて表現されますね。東洋医学では、足腰の冷えは単なる血行不良ではなく、「腎」の働きの低下とも考えます。腰痛の予防としては、その足腰全体を冷やさないこと。
腰は「腎」と関係が深く、ツボとツボを結ぶ「腎経(じんけい)」の経絡(けいらく)は、足底から内くるぶしとアキレス腱の間を通り、脚の内側を上がって体幹へと繋がっていきます。ですので、特に脚の内側を冷やさないようにしましょう。
また、インナーマッスルである体幹を鍛えることも腰痛の予防や改善に効果的です。そこでお腹のインナーマッスルを鍛えながら、腹筋も背筋も両方鍛えられるセルフケアとして「プランク」という運動をご紹介しましょう。

(イラスト/pum 『更年期と自律神経をととのえる本』より)
1.頭からかかとまでを一直線にしながら、肘とつま先で姿勢をキープする。
2.1セット(10~30秒)を3~5セット行う。
しかし、普段お腹周りの筋肉を使っていない人は、これでもキツく筋を痛める可能性があります。そんな方は、まずは一つハードルを低くして、膝をついてチャレンジしましょう。肘と膝で身体を支え、頭から膝までを一直線に保ちます。体幹を鍛えられると大きな筋肉ばかりを使わず、効率良く身体を使えるようになります。
また、疲れると自然に重心が外側へとかたより、腰への負担が大きくなります。立っているときに、親指・小指・かかとの足底全体がまんべんなく床に着いているか意識してみましょう。
歩行時はかかとから着地して自然と小指側に重心が移動し、最後は親指の付け根から親指や人差し指の腹へと重心が移動してから反対の足を出すのが正常な歩き方になります。これが外側から小指へと重心が抜けてペンギンのように横に揺れて歩いていると、腰への負担が大きくなるため注意が必要です。

(イラスト/pum 『更年期と自律神経をととのえる本』より)
それでは、寒さが増すこの時期に出やすい症状に、うってつけのセルフケアをまとめてみましょう。
まとめ:必須セルフケア
1.腰やお尻、脚を冷やさない
2.インナーマッスル(体幹)を鍛える
3.足の小指側ばかりに重心を置かない
不調が出やすい「体質別ランキング」とその改善法
次に、特にこれらの不調を感じやすい「体質と対策」をランキング形式でご紹介します。ご自身の体質に合ったセルフケアを見つけてください。
第1位:気虚タイプ

【体質と対策】
気の不足で、筋肉や関節を支える力が弱くなり、腰への負担が大きくなります。
「動くと疲れる」「腰が重い」「すぐにダルくなる」というときは、下腹部にあるツボ「気海(きかい)」を温めましょう。気虚タイプで腰が痛い人は下腹部を押してみると、ぺこんと力の入らない人が多い傾向にあります。
また、脚をよく組む人は骨盤が歪んで血流が悪くなりやすく、下腹部に力が入りにくいため要注意。体幹を日頃から意識して使っている人は、座位でも骨盤の上に頭が乗っていて、背筋はスッと伸びているものです。

(イラスト/関根庸子(Cc:荒井敬)『更年期と自律神経をととのえる本』より)
第2位:気滞・瘀血タイプ


【体質と対策】
気や血(けつ)が滞り、筋肉や関節に栄養が届かず痛みが発生しやすいタイプです。
腰は同じ姿勢が長いと負担が大きくなってしまいます。デスクワークなど同じ姿勢でいる時間が長く、脚を使わず筋ポンプ作用が働かない状態が続くと腰が悪くなりやすくなります。
加えて脚や腰が冷える環境は要注意。冬は当然のことながら、暑い季節でもスーパーや美容室、飲食店のような冷房が効いた場所に行くときは、長ズボンや長めの靴下を履くようにしましょう。
ほかにも、寝ているときに寝返りが少ないと腰に良くありません。長年使用してクタっているマットレスを使用していると、腰に重心が集中し過ぎてしまいます。
人は仰向けのとき、頭に8%、肩に33%、足に15%重心がかかりますが、なんと腰には44%もの体重がかかっています。腰が沈み過ぎていると寝返りが少なくなり、筋肉が凝り固まることも腰痛の大きな原因の一つです。
第3位:水滞タイプ

【体質と対策】
水分代謝が悪く、むくみや冷えによる腰痛が起こりやすいタイプです。
腰は湿気に弱いのですが、日本はもともと湿気の強い地域です。湿気は「脾」を弱らせ、「脾」が弱ると水分代謝が悪くなるという負の循環に陥りやすくなります。
むくみやすい原因は「脾」にあり、水分代謝を向上させるためには「腎」を使うため、このタイプの場合は「脾」と「腎」をそれぞれ補い合う関係にあるツボ「太渓(たいけい)」と「陰稜泉(いんりょうせん)」とが効果的です。まずは足首やふくらはぎの内側を冷やすファッションをできるだけ控え、レッグウォーマーなどで保温しましょう。

(イラスト/関根庸子(Cc:荒井敬)『更年期と自律神経をととのえる本』より)
「冷えは万病の元」と言いますが、更年期症状のほとんどが、冷えに弱い「腎」の働きの低下で起こることを考えると、腰痛対策はもちろんのこと、この時期はとにかく身体を「冷やさない」ことが養生のポイントとなりそうですね。
自分の体質に合ったぴったりのセルフケアを見つけて、寒い冬も、元気に乗り切っていきましょう。
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『更年期と自律神経をととのえる本』
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