今シーズンは例年よりも早くインフルエンザが流行し、体調管理への意識が高まっています。そんな冬場の健康対策として注目したいのが、日本の伝統食材「梅干し」。

ビタミンＥを豊富に含む梅は、風邪の予防や免疫力の向上に役立つとされているんです。寒くなってくると、なんとなく体が重い、疲れが残りやすい……そんな不調を感じる人も多いのではないでしょうか。

本記事では、梅農家であり梅干し屋でもある“梅のプロ”・山本将志郎さんの著書『120年続く梅農家が教えたい　まいにち梅づくし生活』から、梅の驚くべき健康パワーと、梅干しを使ったレシピをご紹介します。

 

梅がもたらす健康効果５選

「梅はその日の難逃れ」――朝に梅干しを食べることで災難（体調不良）を防ぐことができるという意味のことわざで、それだけ梅が健康に良いということを示しています。

梅（梅干し）がもたらす代表的な健康効果としては、クエン酸の働きによる整腸効果や疲労回復、骨の老化防止、肝機能の向上、また、ビタミンEによる免疫力の向上などがあります。

 

１ 整腸効果

梅干しに含まれるクエン酸は消化酵素の働きを助け、消化を促進します。また、クエン酸をはじめとする有機酸は腸内環境を整え、便秘の解消に役立つとされています。

２ 疲労回復

クエン酸には疲労物質である乳酸の蓄積を抑える作用があり、体の疲れを感じやすい人には特におすすめ。疲労回復をサポートするとされています。

３ 免疫力の向上

梅干しはビタミンＥを豊富に含んでおり、風邪の予防や免疫力の向上に役立つとされています。ビタミンＥには抗酸化作用もあるので、老化防止にも効果的です。
さらに、梅に含まれる梅ポリフェノールは、インフルエンザウイルスを抑制するという研究結果も明らかになっています。

４ 骨の老化の防止

クエン酸がカルシウムの吸収を助ける役割を果たします。よって、骨密度の維持や骨の老化防止にも効果的です。

５ 肝臓や臓器への効果

クエン酸は肝臓でのアルコール分解を助け、肝臓に負担をかける物質の排出を促進。肝臓の健康、肝機能の向上に役立つとされています。

※健康効果は適切な量（１日１～２個）を食べた場合のもので、食べすぎはクエン酸やカリウムの摂取過多などが起こり、逆効果になる可能性があります。

 

梅農家ではよく、梅干しを焼いて食べています。驚かれるかもしれませんが、梅農家では珍しくない食べ方です。

なぜなら、加熱することでバニリン（脂肪燃焼促進）とムメフラール（血液サラサラ）という２つの成分が増加したり、生成されたりし、健康効果がパワーアップするため。加熱後は冷蔵しても栄養価は減らないので、まとめ焼きがおすすめです。

 

免疫を高めたい冬におすすめ「さばの梅味噌煮」

梅農家では「魚の煮付けに梅」が当たり前。甘辛い味噌だれとしょっぱい梅干しでご飯が進む一品です。

材料（２人分）

さば…２切れ（大きい場合は半分に切る）
梅干し（塩分18%）…２個
生姜…２片
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日本酒… 50ml
水… 50ml
本みりん… 大さじ３
醤油… 大さじ１
砂糖… 大さじ３
合わせ味噌（または赤味噌）…大さじ１
白味噌… 大さじ２
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作り方

1. さばは皮目に十字に切り込みを入れる。生姜は皮のついたまま薄切りにする。

2. フライパンに梅干しと（A）を入れ、沸騰させる。

3. 別の鍋に湯を沸かす。沸騰したらさばを３秒ほど湯通しして、（2）のフライパンに移す。

4. 生姜を加え、落としぶたをして弱火で約10分煮る。

5. さばを器に盛り、残った煮汁をとろみがつくまで煮詰める。たれを回しかけ、梅干しを添える。

梅干しは果肉から煮汁に味が出るので潰す必要はない。

POINT
梅農家では、さばの味噌煮には必ず梅干しを入れるほど定番の味。梅の効果で魚の臭みはゼロ。さらに２種類の味噌をブレンドすることで本格的な味になります。

 

梅干しは、まさに日本の最強健康食材。体調を崩しやすい冬こそ、毎日の食卓に「梅」を一粒プラスしてみませんか。

写真／柿崎真子
イラスト／佐々木一澄

＼好評発売中！／
『120年続く梅農家が教えたい　まいにち梅づくし生活』
著：山本将志郎