【stand.fm『スタメンっ!!!』連載①ゼロカラン】「もう喧嘩ラジオはしたくない」快進撃を続けるゼロカランの関係性

【stand.fm『スタメンっ!!!』連載①ゼロカラン】「もう喧嘩ラジオはしたくない」快進撃を続けるゼロカランの関係性


音声配信プラットフォームstand.fmにて、1月から吉本興業所属の若手芸人7組による新番組『スタメンっ!!!』がスタートする。月曜から日曜まで、ネクストブレイクが期待される芸人が曜日ごとにパーソナリティを担当、個性あふれる番組を発信していく。リレー形式で繋いでいく7組の連載、第1回目は芸歴7年目のゼロカラン。紆余曲折を経て2023年4月から吉本興業に所属し、インタビュー時はまさに『M-1グランプリ』自身初の準決勝進出が決まったばかり。勢いに乗るふたりに話を聞いた。

取材・文/絹村千紗

――よろしくお願いします。ゼロカランさんは『スタメンっ!!!』木曜日担当、番組名は『ゼロカランの髄髄髄ぃ』(1月15日夕方5時からスタート)とのことですが、番組名はおふたりで決めたんですか?

ワキユウタ(以下ワキ)「そうですね。僕らのラジオ(stand.fm『同郷のさしみ』)で『髄』という回があって(第189回)。僕が相方にめっちゃ説教する回なんですけど、その回の反響があったので、このタイトルにしました」

たいが「『髄髄髄ぃ』、今見たら例えば炎(『沼沼沼沼』)とだいぶかぶってるな」

――兄弟番組に見えますね。今のところ、どんな番組になりそうでしょうか。

ワキ「コーナーを盛り上げたいなと思ってます。今のところ、僕のツッコミに特化した企画と、彼の人がわかるような企画のふたつを考えてますね」

――人というのは?

ワキ「何かを難しく言いたいというか、説明がめっちゃむずいんですけど…。例えば、僕の兄の子、甥っ子がまだ小さいんですけど、英語を勉強してるんです。僕はお笑いをやってるから、テレビに出た時に“出てるね”っていう家族LINEが回るじゃないですか。その時にお兄ちゃんから『英才教育中だからお笑いはまだ見せない』と言われて。それが悲しくて『芸人はアカン職業みたいな感じで言われたんやで』という話を彼にしたら、『でも、あれやなぁ。今後その子がどうやって育つか楽しみやなぁ』って、マジでいらん返しが来たんです」

たいが「その時は、悲しいとかより普通に子供がどうなるかの興味が勝ったんですよ。一切お笑いを見ずに英才教育で育った子がどうなるんやろって」

ワキ「僕が彼女やったらキレてますよ。『そんな返しいらんねん!』って」

たいが「確かに今聞いたらそやな。悩み相談して、いらん返しされた、みたいな」

――(笑)。ワキさんはツッコミに特化したライブも主催されていますよね。 

ワキ「そうですね。粗品さんのYouTube(『粗品のロケ』)にも出演させてもらって、ツッコミのイメージがついてるんで。もともとツッコミもめっちゃ好きですし、そういうイメージをもっとつけていきたいなと思ってます。リスナーからレターを募集して、俺っぽいツッコミをして下さい、みたいな。ハガキ職人の方達が集まってくれたらめっちゃ盛り上がると思うんで、それが楽しみでもありますし目標でもあります」

たいが「僕はメンバーシップが楽しみなんですよ。有料会員で聴きたい人だけが聴けるみたいなんで、めっちゃ深いことができそうやなって。企画とかも最悪…おもんなくてもいいというか(笑)」

ワキ「おもろいことやれや!」

たいが「僕らがおもろいと思う、本当に濃い部分を見せられたら。どんな人が聴いてくれるのか今から楽しみです」

――今、何分くらいの尺で考えられていますか?

ワキ「60分、プラスメンバーシップぐらいです。コーナーをいくつか入れるんで、それぐらいはいきそうですね」

たいが「でもどうなんやろな。1年やるとして、いろんな時期があるじゃないですか。僕ら、マジでその時の気分で相当テンションちゃうんで、『M-1』前は普通に雰囲気悪かったり。そこの空気感はリアルかもしれないです」

ワキ「基本俺ですけどね、変わるのは。やっぱりネタを書いてるんで。言いたいことをふたりだけの状態で言うと雰囲気が悪くなるんで、ラジオを介してボケっぽく言いたくて。でもこれからは作家の子が入ってくれるので、穏やかになるんかな。そもそも吉本に入ってからはそんなにモメてないですね。入る前は喧嘩も多くて」

――吉本に所属される2023年より前ですね。入って落ちついた理由が知りたいです。

ワキ「入る前は全くがうまくいってなくて、腐りかけてたんです。入って一気に楽しくなりました。やりたいお笑いがめっちゃ多くて、“これが俺の好きやったお笑いや!”と」

たいが「それは絶対にそうです。吉本に入ってから気持ちが安定しましたし。なんでしょうね? マジでワキがめちゃくちゃ優しなったと思います」

ワキ「もともと優しいんですよ、僕は!」

たいが「いやでも、許容範囲がめっちゃ広がったと思います」

ワキ「まぁそれは。基本全部許してあげてるんですけど、許すレベルの幅が広がりましたね。彼は何も変わってないんですけど、僕の許せるゾーンが広がったっていう」

――それは舞台数が増えたことも関係ありますか?

ワキ「舞台数もありますし、楽屋も関係もあるかもしれないですね。楽屋で芸人とわちゃわちゃしてるのが楽しいんで。あと、僕らは吉本に入る前、お客さん3人の前とかでやってたんですよ。たくさんの人の前でネタができるようになったこともあると思います」

たいが「単純にウケるようになりましたね。吉本に入る前は、ウケるということがほんまになかったんで」

ワキ「完全にハマってなかったですね。僕らは大阪育ちなんで、吉本を見て育ってきた。吉本以外のライブでそういう動きをしてもあんまりウケないし、他の芸人さんも乗ってこない。ずっと浮いてる感覚でした」

――ちなみにおふたりは、普段聴いているラジオやPodcastはありますか?

たいが「僕はマユリカさんの『~うなげろりん!!』、霜降り(明星)さんとナイナイさん(ナインティナイン)の『オールナイトニッポン』を聴いてますね。あとは川島さん(『~川島明のねごと』)、中川家さん(『中川家 ザ・ラジオショー』)のラジオも聴いてます」

ワキ「僕はあんまり聴いてないんですよ。金魚番長の(『~デメキング』)、それも自分が出てる回は聴きます。ほんまに自分のことが好きなんで」

――金魚番長さんもラジオで喧嘩されてましたね。

たいが「そうですね。でも僕は正直、もう喧嘩ラジオしたないんですよ。普通に楽しないんで、ほんまにやりたくない」

ワキ「多分、(金魚番長の)古市(勇介)も喧嘩したくないタイプだと思うんですよ。でも、そういう楽観的な相方に、ネタを書いてる僕らが怒るっていうのは芸人ではよくあるやつです。説教というか、僕は助言だと思ってますけど」

たいが「それが『髄』の回で、怒られるというより『俺を信じろ』みたいな内容でしたね。でもそうじゃなくて、ほんまに普通に怒られる時があって、それが電波に乗って人に聴かれてるのが嫌なんです。恥ずかしいじゃないですか。で、聴かれてると思うとちょっと言い返したくなって、喧嘩になってまうんです」

――でもワキさんからしたら、直接言うよりラジオを介したほうがお笑いになるかな、という思いがある。

ワキ「ほんまに優しさです、僕からしたら。直接じゃなくラジオを介すことでまだ優しく言えてると思うんで。僕らは同級生で、昔から基本的にずっとこんな感じですね」

たいが「全く違う性格なんですよね。もしかしたら聴いてる方も、ワキ側の人と僕側の人にわかれるのかもしれない。それぐらい全然違うんで」

――でも、ラジオやPodcastでは同級生は強いと言われていますよね。それこそ霜降り明星さんもマユリカさんも同級生です。

たいが「でも僕ら、昔話ができないんですよね。ワキはなぜか学生のころの記憶がないので」

ワキ「ほんまに芸人になる前の記憶がほぼないんです。これ、いろんな人に心配されるんですけど、いじめられてたとかではなくて、普通に覚えてない」

たいが「逆に僕はめっちゃ覚えてるんですよ。でも思い出を喋っても、ワキが覚えてないから悲しくて。1回YouTubeの企画で、高校の時のエピソードの中にいくつ嘘があるかっていう企画をやったんです。3つの中にひとつ僕がつくった話を入れたんですけど、ワキがひとつも覚えてなかったので全く盛り上がらず終わりました」

ワキ「話してるエピソード全部嘘っていうドッキリやと思ってましたから。それぐらい覚えてない」

たいが「だからもう、レターを募集しよう。小中高の同級生にワキとのエピソードを送ってもらうっていう」

――(笑)。ちなみに『スタメンっ!!!』パーソナリティの中で、気になる方はいますか?

たいが「ビューティフルトーキョーマンズさんはおふたりとも先輩なんですけど、笹本さんとバイダンさん、どちらも喋りがうまいから面白そうですね」

ワキ「仲がいいのは後輩のボブのコーラです。僕は自分の話をしてくれたら絶対に聴くので、『スタメンっ!!!』でも僕の話をしてほしい。話してくれたら、お金を払ってメンバーシップにもなります!」

――ちなみにインタビュー連載第2回は『スタメンっ!!!』月曜担当のボブのコーラさんになります。リレー形式で、ボブのコーラさんへの質問を考えていただきたいです。

たいが「じゃあワキが読みたくなるように、ゼロカランの面白いところを聞こうか」

ワキ「それ絶対読むわ。じゃあ面白いところを…5つ。それか好きなところと面白いところを聞く?」

たいが「ワキの好きなところを3つ、俺の好きなところを3つ、ゼロカランの好きなところを3つ。9個出してもらおう」

ワキ「多いな(笑)。でも、出ないとおかしいぐらい仲はいいですからね」

【ゼロカランからボブのコーラへ質問】ワキの好きなところを3つ、たいがの好きなところを3つ、ゼロカランの好きなところを3つ出してください。

――それではここから、『M-1グランプリ2025』の話を伺います。まず、準決勝進出おめでとうございます(取材時は11月下旬で準決勝者発表直後のタイミング)。

ふたり「ありがとうございます!」

ワキ「この1年、M-1に向けてネタ3本ぐらいを強くする作業をずっとしていたので、自信はありましたね。準々でやってみて手ごたえもありつつ、ウケ的にはギリかなという感じで。いけてよかったです」

たいが「僕は最近、“桜を見に行く”って言ってるんですよ。坂本龍馬が江戸に行く時、そう言ってたらしくて。日本を変えた坂本龍馬の言葉を借りて、グループLINEでも“桜を見に行ってきます”とか言ってます。準々決勝はもう、桜が満開に近いウケ量だったんで楽しくできました。最近はそういうマインドで自分を主人公だと思って挑んでます」

――準決勝進出者発表は、リアルタイムで見たんですか?

ワキ「ライブ終わりすぐやったんですよ。それこそ、そのライブに準々に行ったメンバーが何組かいて。気まずいんで、僕はボブのコーラの(本田)たかおと別の部屋に移動して、そこにエルフさんがいたんで『一緒に見ていいですか』って聞いてそこで見ました。背中のシルエットを見てすぐに(自分だと)わかりましたね。決まった時はみんなでハイタッチして」

たいが「僕は家族チャーハンや大王がいる状況で。いった時はみんな喜んでくれて(敗退した)家族チャーハンもすぐに『おめでとうございます』って言ってくれました。それこそ狛犬もいたし、イチゴもいたし」

ワキ「それ絶対できへんわ。俺去年、(準決勝に進出した)家族チャーハンをにらんでた気がするもん(笑)。情けないですよ。あいつらはほんまにええヤツらです」

たいが「準決が決まった時点で(決勝、敗者復活戦があるので)地上波が確定して、M-1ツアーもあって収入が変わるぞ、と。(家族チャーハン)大石は去年の敗者復活のあと、インスタのフォロワーが1万人増えたらしいんですよ。テレビって一個ちゃうんやな、と」

ワキ「金魚番長も、(昨年)準決に行った瞬間に街でめっちゃ声をかけられてて、やっぱりM-1はすごいなと思いました。でも、せっかくやったら決勝、優勝まで行きたいですね。7年目って聞くとまだ若手な感じはしますけど、苦労はもういいです。優勝したいですね」

――最後に、おふたりの『スタメンっ!!!』チャートをつくっていただきたいです。

ワキ「(空欄に“ツッコミ”と書きつつ)声質は…それぞれ違うし、わかりやすいよな。テンポは突き抜けてええんちゃう?」

たいが「テンポはめっちゃ高くするか。コーナーはまだわからないから4で(“ヘラヘラ”と書き、線で繋げていく)。完成しました!」


●プロフィール
ゼロカラン
ワキユウタ(1995年11月10日生まれ、大阪府出身)とたいが(1995年6月24日生まれ、大阪府出身)という高校の同級生で2019年にコンビ結成。2023年4月より吉本興業所属となった。現在は渋谷よしもと漫才劇場に所属している。『ダブルインパクト 漫才&コント二刀流No.1決定戦 2025』準決勝進出、『M-1グランプリ 2025』では準決勝に進出。12月21日午後3時からABCテレビ・テレビ朝日系列で生放送される『M-1グランプリ 2025 敗者復活戦』にて、決勝戦最後のひと枠をかけた戦いに挑む。


番組紹介
『ゼロカランの髄髄髄ぃ』
stand.fmにて1月15日スタート 毎週木曜夕方5時更新
番組URL:https://stand.fm/channels/692672bb8ddb67b39645a00d
番組公式X:https://x.com/zero_zuizuizuii