【stand.fm『スタメンっ!!!』連載④兄弟】「毎年、去年より面白くなったなって思いたい」マイペースに進む兄弟の現在地

【stand.fm『スタメンっ!!!』連載④兄弟】「毎年、去年より面白くなったなって思いたい」マイペースに進む兄弟の現在地


音声配信プラットフォームstand.fmにて、1月から吉本興業の若手芸人7組による新番組『スタメンっ!!!』がスタートする。月曜から日曜まで、ネクストブレイクが期待される芸人が曜日ごとにパーソナリティを担当、個性あふれる番組を発信していく。リレー形式で繋いでいく7組の連載、第4回目は芸歴5年目の兄弟。その名の通り2歳違いの兄弟コンビの彼らは、まるで立ち話のような長尺の漫才が魅力。今回もそのやりとりに大いに引き込まれるインタビューとなった。

取材・文/絹村千紗

――よろしくお願いします。まず『スタメンっ!!!』の話を聞いた時、どう思われましたか?

紅葉「最初はLINEでオファーが来て、決まったんだなと。吉本が社運をかけた一大プロジェクトなので、選ばれて嬉しかったです」

体制「最初は思わなかったって。最近思い始めただろ」

紅葉「確かに、それは最近思い始めましたね。いろんな大人がからんでるなって」

――じゃあ最初は気負わず?

紅葉「もちろん。 オファーを受けるかもちょっと悩んだくらいで」

体制「なんでだよ、断る線はないよ」

紅葉「いや、ありました。変なイメージがついてもね」

体制「つかないよ、別に俺らになんか。 ありがたいだろ」

――『兄弟おじいちゃん』というタイトルは紅葉さんが決めたんですか?

紅葉「はい、僕が決めました。 おじいちゃんってだいたいふたりいるじゃないですか」 

体制「ひとりにつき?」

紅葉「そう。 で、例えば“ひろし”と“まこと”だったら、『ひろしおじいちゃん』とか言う家庭も多いと思うんですよ。そういうイメージですね」

体制「なんだそれ。どういう意味?」

紅葉「僕らがおじいちゃんになった時に、ちっちゃい子供達が自分のおじいちゃんと僕らを区別するために『兄弟おじいちゃん』って呼ぶみたいな。世間の子供達にとってそれぐらい身近になりたいっていう思いを込めてつけました」

体制「おじいちゃん必須じゃないんだよ、別に。なんで“おじいちゃん”って単語を入れたかったかだろ、まずは」

紅葉「そうか。僕は人の質問の意図を勝手に解釈するところがあるので」

体制「ラジオむずそうすぎるから。そこは僕がバランスをとりながらやっていきたいですね」

――コーナーをやる予定はありますか。

紅葉「あります。それこそ“おばあちゃんと喋る”っていうコーナーを思いついた時に、めっちゃいいじゃんってなって。そういうことをやりたいですね。60分のうち、最後の15分はおばあちゃんと喋るコーナー」

体制「そこから来てるんでしょ、『兄弟おじいちゃん』は」

紅葉「そうです。 そのコーナーを思いついてから考えました」

――じゃあ60分番組で前半はトークなんですね。

紅葉「45分はフリートークです。一応、“ピンポン” “ブッブー”みたいに鳴るボタンを用意してもらってます。会話の流れとかも関係なく、いつ鳴らしてもいいボタン」

体制「会話の流れと関係あったほうがいいだろ」

紅葉「まぁあってもいいけど。何か1個、違和感あるものを置くのが好きなので」

――作家さんは入りますか?

紅葉「辻さんという方が入ります。辻さんは僕らの主催ライブの作家さんで、お世話になってる方ですね。それこそ『ボタンを置きたいんです』と言ったら、『オッケー』って意図をすぐ汲んでくれました」

体制「辻さんいいよな。もともと芸人だし、芸人目線でいてくれる」

紅葉「僕、辻さんとたまに飲みに行くんですけど、よく行く店で誰も食べたことのないメニューを率先して注文したがるところがあります」

体制「それ何(笑)? 辻さんのよさ? 悪さ?」

紅葉「よさよさ。知らないものを知ろうとするところ。これ気になるからいってみようよ、みたいな」

体制「あー、それいいね」

紅葉「この前も中華料理屋で、揚げパンを潰したような料理を『これいってみよう』って言ってて。その時に俺、“うわー、辻さんが作家でよかった!”って思いました」

――(笑)。ちなみにメンバーシップはどんな内容になりそうですか?

体制「僕らは結構ゴネましたね。メンバーシップをなしにして、違うところでマネタイズできないか打診したり。だって霜降り明星さんのラジオが無料なのに、俺らが有料? って思うじゃないですか」

紅葉「でも、霜降り明星さんのラジオが無料なのは、そもそも(聴取数が多くて)スポンサーがつくからなんですよ。俺らみたいな若手がメンバーシップをやるのはむしろありなのかなって、昨日思い始めました。お金を出していっぱいやってくれるならそっちのほうが嬉しいですっていうファンの人もいると思うから」

体制「なるほどね。やらないよりはやるほうがいいんだ」

紅葉「だからメンバーシップでは、ファンの名前を一人ひとりあげて感謝を伝えます」

体制「きめぇな(笑)。ファンは望んでないよ、そんなこと。べつに名前呼ばれても嬉しくないから」

紅葉「相談とかも乗るし」

体制「お悩みメールとかね。まぁそんなんはいいんじゃない」

紅葉「いや、お悩みメールをもらってDMで返します」

体制「きめぇな(笑)。面白に昇華しろや。面白く回答するのがいいんだよ、そういうのは」

――7組の中で気になる方はいますか。

紅葉「(大王の渡辺)ポットさんですね」

体制「大王さんでいいじゃん。でもポットさんたしかに気になるな。どういう人なんだろう。山内(仁平)さんは1期上で、僕らがNSCの時からずーっとお世話になってる大好きな先輩ですけど、そんな山内さんが連れてきたのがポットさんなんで。今ライブで一緒になって、面白いから気になります」

紅葉「明るいし楽屋で喋ってくれるんですけど、意外と腹の中が見えてこないというか。どんな人なんだろう。まぁラジオが毎週あったら見えてくるのかな」

――大阪のイノシカチョウさん、例えば炎さんと関わりはありますか?

紅葉「イノシカチョウさんとはまだお会いしたことがないです」

体制「例えば炎は同期で、最近ちょくちょく会いますね。『UNDER5(AWARD 2025)』で顔見知りになって、大阪で1回飲みにも行って」

紅葉「来月大阪でツーマン(1月22日 兄弟×例えば炎初ツーマンライブ『やるやる』)もあります」

体制「例えば炎、ずっと面白いですよね。僕、NSCのアシスタントをやってて、その時にタキノと一緒に木村祐一さんのアシスタントをしてて。その時からちょっと面白すぎて悔しかったです」

――ちなみに例えば炎さんから兄弟さんに質問が来ています。まず田上さんから。「兄弟で割り勘しているのが信じられません。今一度考え直してもらえませんか?」

紅葉「もういいって(笑)」

体制「これずっと言ってるな。兄弟ですけど同期でもありますし、別におごらないですよ」

紅葉「一緒にメシ食うタイミング、めっちゃありますし。毎回体制が出してたら面白すぎる」

体制「そしたらもう、敬語で喋ってもらわないといけなくなるからな。明確な上下が生まれて」

紅葉「そしたら俺も、次の日LINE入れなきゃいけないし。『昨日ごちそうさまでした』って。意味わかんない」

体制「(笑)。それ意味わかんないな。…っていうか、お前がそっちの意見なのはありがたいな」

紅葉「だって気持ち悪いっておごられるの。例えば炎ふたりとも、割り勘なことにめっちゃ驚いてたよな。飲みに行った時にその場で言われて、 SNSで言われて、今また言われて」

――そしてタキノさんから紅葉さんに。「お兄ちゃんにするならタキノと田上、どっちがいいですか」

体制「(笑)。めっちゃ俺らを兄弟としてる、こいつら」

紅葉「今となってはタキノかな。ちっちゃい時なら田上だったかも。田上のほうがかっこいいんすよ、無口で。俺、今もふたりきりになって緊張するのは田上なんで」

体制「どういう緊張なの、それ」

紅葉「こいつにつまらないと思われるの嫌だなって。田上と並んで歩いた時も“この話題が終わったらこの話しようかな”とかめっちゃ考えながら喋ってました」

体制「タキノのほうが楽なの?」

紅葉「タキノは楽。ほっぺた触っとけばいいから。多分ちっちゃい頃は田上に憧れてたけど、今相談しやすいのはタキノですね。やっぱ大人なんで」

体制「たしかに」

紅葉「冷静で、仕事の相談とかもしやすい。それこそ(『M-1』)準々決勝の2日前に広島で同じライブだったんですよ。俺、ずっとタキノの横にいて、弁当食べながら準々のネタの相談したり」

体制「舞台上ではあんな感じだけど、タキノ全然変じゃないよな?」

紅葉「変じゃない。タキノはなんか話しやすいし好きですね」

――そしてタキノさんから体制さんに。「お父さんにするならタキノと田上どっちがいいですか」

体制「…お父さん!? うわー、いい質問だな。でもタキノかな。タキノの息子だったら相当楽しそう。それこそまともだから。田上のほうが、酔っ払って帰ってきて舞台上で言えなかったおもんないボケとかめっちゃ言ってきそう」

紅葉「えー!? イメージ違うな。授業参観で教室の後ろに立っててほしいのは田上じゃない?」

体制「かっこいいんだ? 田上」

紅葉「かっこいいだろ!」

体制「かっこ悪いよ。タキノのほうがかっこいいだろ」

紅葉「いや俺、田上の雰囲気好きだわ」

体制「タキノのほうが肌ピチピチじゃん。目とかもめっちゃかっこいいし。タキノが教室の後ろに立ってたら、自慢のパパだろ」

紅葉「いや、立ってそうすぎるって」

――ちなみにタキノさんは、この質問に対して、「なんで俺だけお父さんなんだよ。どっちでもいいよ」と体制さんがツッコんでくる、と予想してます(笑)。

体制「(爆笑して)俺結構それしないんだよな。タキノわかってない」

紅葉「意外とな」

体制「前提を否定することはしないんで、『どっちでもいい』とかは言わない。タキノ全然わかってないな。ツーマンで仲を深めて、もっとわかってもらわないと」

――次は大王さんなので、リレー形式で大王さんへの質問を考えていただきたいです。

紅葉「…雪山にふたりで遭難して、もう陽も落ちてきて。これやばいぞ、眠ったら死ぬぐらいの寒さだぞってなってきた時に、ちょうどひとりぶんくらい入れる穴が木の根元にあったらどうしますか? って聞きたい」

体制「このふたりが歩いててってこと?」

紅葉「そう」

体制「俺はポットさんに『平場で何考えてますか?』って聞きたい。それはマジで気になるから。あとは『楽屋で何を意識してますか?』。真面目に答えてほしいなぁ」

【兄弟から大王へ質問】雪山にふたりで遭難して、もう陽も落ちてきて。これやばいぞ、眠ったら死ぬぐらいの寒さだぞってなってきた時に、ちょうどひとりぶんくらい入れる穴が木の根元にあったらどうしますか?/(渡辺ポットさんへ)平場で何考えてますか? 楽屋で何を意識してますか?

――おふたりの『スタメンっ!!!』チャートをつくっていただきたいです。

体制「テンポは低いか」

紅葉「テンポは高いでしょ。MAXだよ。ここ(ふたりの間)でのテンポでしょ?」

体制「あぁー、それは速いか。ラジオで話すテンポは遅くない?」

紅葉「俺めっちゃ速いと思ってた。随一だと思ってた」

体制「それめっちゃ意外だわ。たしかにテンポって捉えようによるな」

紅葉「コーナーは少ないけど面白いから2。声質は似すぎてるから0.5。横テンポと…個テンポでいい?」

体制「横テンポはふたりの間のテンポ。個テンポは各自のテンポ。それの総合がテンポね」

――では最後に、兄弟さんは今後どう活動していきたいですか?

紅葉「難しい質問ですね。適度に休んでいきたいとは思ってますけど」

体制「この質問むずいよな。今は紅葉がどういうライブをやるかを考えてくれてますけど、それが盛り上がり続ければ売れるんじゃないかなと僕は思うので」

紅葉「今26歳なんですけど、29歳ぐらいまでにやってたいなと思うことができてる感覚なんですよね」

――ちょっと先取りできてるんですね。

紅葉「はい。だからやばいやばい、ってならないようにはしたいですね」

体制「僕は毎年、去年より面白くなったなって自分が思えたらいいです。毎週、先週より面白くなるのは難しいですけど、毎年は難しくないなって思うので」


●プロフィール
兄弟
体制(1997年10月10日生まれ、長野県出身)と紅葉(1999年11月5日生まれ、長野県出身)の兄弟コンビ。現在は渋谷・神保町よしもと漫才劇場に所属している。『M-1グランプリ 2025』準々決勝進出、『UNDER5 AWARD 2025』決勝3位。1月4日と13日に武蔵野芸能劇場 小劇場にて新ネタライブ『兄弟お題ネタ10』前編・後編を開催する。


●番組紹介
stand.fm『兄弟おじいちゃん』
1月14日スタート 毎週水曜夜6時更新
番組URL:https://stand.fm/channels/692680308ddb67b39645beff
番組公式X:https://x.com/kyoudaiojiichan