【2026年トレンドアイテム】21秒に1枚売れる! 横浜元町にある老舗・近沢レース店が作るタオルハンカチの秘密に迫る


LINEヤフーが保有するさまざまなデータを活用し、これから流行する商品や事象を予測する取り組みを行っているヤフー・データソリューションの「DS.INSIGHT Trend」。2025年の流行予測では「ラブブ」「POP MART」が紹介されており、実際にラブブは2025年の流行語にも選ばれるほど人気を博しました。

そんな、「DS.INSIGHT Trend」による、ヤフートレンド予測2026に選ばれたアイテムのひとつが「近沢レース店」。新作が出ると即完売し、お目当てがゲットできなかったと悔し涙を飲む人が続々出没しているほど、年々注目度を高め続けています。

ここでは、ファンを増やし続ける近沢レース店のタオルハンカチ制作秘話や、作品作りの舞台裏にインタビューで迫ります。

 

老舗レース店から誕生したタオルハンカチ

近沢レースといえば特別な日に使うもの、贈答品というイメージ。せっかくいただいても「なんだかもったいなくて……」と日常使いできない恐れ多き逸品として、貴婦人のような存在感を明治34年の創業以来、120年以上も放ち続けてきました。

しかし、そこにじわじわと広まった新たなラインナップとして、発売したら約3分で売り切れてしまうことが頻出するタオルハンカチが登場。タオルハンカチといえば、洗濯機でジャブジャブ洗えて、まさに額汗の相棒。お手入れが簡単で、使い心地にこだわったタオルハンカチは、キッチュでキュートなデザインも魅力です。

いったいなぜ、老若男女問わずこぞって手に入れたくなるような、遊び心あふれる商品が誕生したのだろうか。近沢レース企画統括本部本部長の近沢柳氏に話を聞きました。

「今から約20年前、周りにぐるりとレースがついたタオルハンカチの映像が残っています。クラッシックなイメージの白いヨーロピアンなデザインのレースです。これが初代のタオルハンカチです。ご好評をいただきまして、その後、タオル生地をカラーにしたものなど少しずつ品番数が増えていきました。当時は年間で数万枚の販売量で、好評はいただいていたものの、主力商品ではありませんでした」


△初代のタオルハンカチ(写真提供:近沢レース店)

この初期モデルが徐々に姿形を変えていき、2014年頃に初めてバイカラーレースの商品が誕生。それは、レースで白とピンクのバイカラーの桜をモチーフとし、桜の季節に発売されて、売り切れたら終了というものでした。

「これも好評だったため、シーズンに応じたタオルハンカチを出していこうとなり、1年後に『シーズンミニタオルハンカチ』の販売をスタートしました。最初は7〜8種類でしたが、これもまたご好評いただきました」

しかし、レースは花柄が中心。今あるようなウィットが効いたデザインは登場していませんでした。どこに転機があったのでしょうか。

「コロナの影響で、2020年頃からオンラインショップでの販売が一気に伸びました。それに伴い購買層に変化があり、1~2世代若くなりました。しかも、オンラインショップの売り上げが、直営店の売り上げと同じくらいか、それ以上か……という勢いになったんです。そのため、商品開発のターゲットをシフトチェンジし、その頃から一気にウィットを効かせたものへと変化しました」

 

よく売れているのは『ビール』『ミモザ』

これまでに誕生したタオルハンカチのデザインは、なんと250〜300種類。すでに在庫のない商品も多々あるとのことですが、反響が大きかったモチーフは?

「どれが過去一番の人気とは一概に言えないのですが、『ビール』や『ミモザ』はよく売れております。でも、反響という意味では“将棋”かもしれません。一部のコアな人に刺さるとは思っていましたが、ここまで売れるとは……想像の範疇を超えていました」

そして、この将棋のデザインには次のような意味が込められているのだと話します。

「第一弾のモチーフは『銀』と『歩』。このコマって後ろに動けないんです。特に、『歩』は前にしか動けません。そして、2024年6月に販売した第二弾は、第一弾の『歩』が成って『と金』です。その『と』と『玉将』がモチーフです。王将でなく玉将としたのは、玉将は挑戦者が使うコマ。謙虚に、あえて玉将としました。さらに文字は『ちょっとまった』と『王手』。タオル生地はリアルな将棋盤になっています」


▲将棋タオル(右/第一弾、左/第二弾 写真提供:近沢レース店)

ちなみに、この将棋タオル。有名棋士の奥さまが、第一弾発売時に買えず、どうしても欲しいという熱烈なオファーもあったことから、カムバック発売を決定したそう。第一弾を継承するデザインにはストーリーを感じさせられるが、それは他のデザインにも共通するのでしょうか。

「コンセプトとして、“コミュニケーションツールになってほしい”という気持ちがあります。ビールであれば『とりあえず』と文字を入れたり、ロータスという花のデザインでは、花の下にレンコンを入れています。小さな面積のなかに、いろんなストーリーを込めることで会話につながったり、SNSで発信したくなったりすると思うんです」

沼るポイントは、まさしくコレ。 “誰かに話したくなる小ネタ的デザイン”なのです。

 

世代や性別を超えて沼るデザインを考えているのは?

1枚ゲットしたらその次、さらにまたその次……止まらなくなってしまうモチーフは、どうやって作られているのでしょうか。企画会議の様子を聞いてみました。

「“来シーズンはどういうものを作っていこうか?”という会議はあるのですが、アイデア出しをするような会議は特に設けていないんです。一人のデザイナーが開発しているのですが、その担当者が大半のデザインを考えています」

ワンシーズンで10種以上の商品が誕生するが、そのほとんどを一人の担当者が担っているというから驚きです。

「デザイナーにアイデアの発想について聞いたところ、小さい頃の思い出や寝ているときに見た夢だったりとか。テレビで海外の人が日本について語っていたときに、オニギリが一番印象的だったと話していたのを見て“そうだ、オニギリを作ろう!”など、さまざまなところから発想しているそうです」


▲オニギリ柄のタオルハンカチ(写真提供:近沢レース店)

しかも、かなりアナログな方法でデザインをしているとのこと。

「制作の過程としては、まずは名刺サイズくらいの小さい紙に、手書きでイラストを書きます。それがだいたい実物のレースのサイズです。これが1ピッチという1リピートのサイズとなります。それをコピーして連続させたりしてデザインとして仕上げ、レースメーカーに送ります。その後、型紙的なものやサンプルが出てきて、通常は2〜4回のやりとりをして完成となります」

このようにして出来上がる近沢レースのタオルハンカチ。タオルハンカチ維新以前の商品とは様子がガラリと異なるが、常連さんの反響はどうだったのだろうか?

「老舗なので、親子3世代、4世代でご愛顧いただきたいという気持ちを込めて開発しています。もともと人気のあった花柄と、将棋やお寿司のようなユニークなモチーフをバランスよく開発して、既存のお客さまに違和感のないように配慮を心がけています。とは言いましても、定番の花柄もユニークなモチーフも、どちらもお買い求めいただいております」


▲フルーツ柄のタオルハンカチ(写真:ニュースクランチ編集部)

発売当初は、年間で数万枚だったタオルハンカチは、現在では年間150万枚ほど生産するまでになっている。なんと21秒に1枚売れている計算だ。幅広い世代、客層から受け入れられていなければ、これだけのヒットにはつながらない。まさに、時代を超えて愛される存在になっているタオルハンカチだが、近沢レースはどう捉えているのだろうか。

「コロナ禍を経て、当社のSNSが伸びてきました。そのため、ファンの皆さまとのコミュニティを強化していきたいです。例えば、リアルでお会いできる機会を作るなど、お客さまと近沢レースとの絆を深めていきたいです」

2026年は、1月に「ブロッカリ」「ピッツァ」、2月に「パンケーキ」「ドーナツ」、3月に「アガパンサス」「飲茶」、4月に「ゴルフ」「くもの上はいつも晴れ」、5月に「月で待ち合わせ」「ドロンします」、6月に「マーメード」「おめかし」のモチーフが発表されています。

1月のモチーフ「ブロッカリ」「ピッツァ」は、1月22日(木)からオンラインショップ、直営店で販売予定。世代や性別を超えて愛される「近沢レース店」の沼に今年から入りこんでみてはいかがでしょうか。

近沢レース店

明治34年創業の横浜元町にあるリネンストアのブランド。「糸が織りなす“美”の魔法」を大切に、レースが人を美しくするという信念を貫き、レースにかけるこだわりと情熱を抱いてものづくりを続けている。

X @chikazawa_lace
Instagram @chikazawalace
HP https://chikazawa-lace.co.jp/

※本記事は、WANI BOOKS NewsCrunch <https://wanibooks-newscrunch.com/>35秒に1枚売れる! 横浜元町にある老舗・近沢レース店が作るタオルハンカチの秘密(2024.8.14)を、加筆編集したものです。