言語化がうまい人は自分に「問い」を投げかけている!? プレゼン・日常会話で役立つ考える力を育てる本
「会議で自分の意見が言えない」
「企画のアイデアがまったく浮かんでこない」
「人の意見に流されてしまう」
こうした悩みは、センスの問題ではありません。
ただ思考のきっかけとなる、「問い」が足りないだけです。
そう語るのは、哲学者であり、山口大学国際総合科学部教授を務める小川仁志(おがわひとし)先生。大学で課題解決のための新しい教育に取り組む傍ら、全国各地で「哲学カフェ」の開催、数多くの著書やメディアで哲学の普及にも努め、市民のための哲学を実践されています。
そんな小川先生による新刊『なぜ、何も思いつかないのか? 自分の頭で考える力がつく「問い」の技術』では、アイデア“ゼロ”の状態から問いを立て、思考を深め、自分の意見を作るまでを、誰でも再現できる5つのステップにまとめて紹介されています。
ここでは、その5つのステップ「①観察する」「②想像する」「③考える」「④言葉にする」「⑤勇気を出す」より、「観察」と「想像」のパートから本書より一部を抜粋の上、思考スキルをお届けします。
そもそも何を問うのか?
問いを作ろうというとき、まず何かに着目する必要があります。
そもそも私たちは、何について問うのかを考えてみたいと思います。つまり問いのきっかけ作りです。
その対象はどこにあるのでしょうか?
答えは簡単。私たちの頭の中です。
たとえば、野菜を買いに行くとします。そこでブロッコリーに目が留まりました。
この瞬間、頭の外にあったブロッコリーというものが、頭の中に入ってきて、問いの対象となるということです。

(イメージ:イラストAC)
そのブロッコリーはすごく小ぶりなのに値段がめちゃくちゃ高かったとしましょう。
そうするときっとこう思うはずです。
「どうしてこのサイズでこの値段なのか?」と。
この問いの対象はブロッコリーです。小さいのに高いブロッコリーを見て疑問に思ったわけですから。
この場合、ブロッコリーはもともと頭の外にあったのですが、問いを立てる段階では頭の中で思い描かれています。
つまり、問いを立てる最初のきっかけは外的なものであり、問いの対象は日常の中にあふれているのです。
ただ、いくら問いの対象となる物事が日常にあふれているといっても、それだけで自動的に問いが立てられるわけではありません。何らかの知識や経験がないと、問いにはならないのです。
ブロッコリーの場合は、同じくらい小さいサイズでもっと安く買った経験があったのかもしれません。目の前の物事が問いの対象となったとき、あなた自身の知識や経験が相まって、ようやく問いになります。

(イメージ:イラストAC)
試しに今、「平等」について問いを作ってみましょう。何か1つ、平等について、素朴な疑問を思い浮かべるだけでいいです。たとえばこんな感じに。
「平等ってすべての条件が同じことをいうのかな?」
「自由と平等は矛盾するのだろうか?」
あなたの頭にはどんな問いが浮かびましたか?
この場合、「平等について何か問いを作ってみてください」といわれたのをきっかけに、頭の中に蓄積されていた平等に関する知識や経験が引っ張り出されます。
目の前に「平等」という物体があるわけでもなく、自由と平等がその辺でケンカしているわけでもないのに、こんな問いを作ることができるなんて!
まったく不思議ですよね。これが人間の能力なのです。
このように、問いの対象は身のまわりにいくらでも転がっています。

(イメージ:イラストAC)
しかも、私たちはその対象についてほとんど知りません。いや、知っているつもりかもしれませんが、本当は知らないのです。
ブロッコリーも平等も、何度も聞いたことのある言葉のはずなのに、わざわざ考えてみるとよくわからない。少なくとも知らない要素がたくさんあるはずです。
ということは、私たちの日常や人生には、問いのきっかけが無数にあるということです。
私たちはよくわからないものに囲まれて生きています。初めて火星に行ったら、おそらく何もかもが不思議なものに思えますよね。そして次々と問いが頭に浮かんでくるはずです。
「どうして地表が赤いのか?」「こんなところに生命が存在するのだろうか?」と。
でも、実は私たちも火星に住んでいるようなものなのです。物事をよくわかっていないのですから。
ぜひそう思って身のまわりのものや出来事を捉えてみてください。
なんだかワクワクしてきたあなた、問いの世界へようこそ!
問いは切り口が10割
よく観察して気になるものを発見したとしても、それをいきなり問いにはしません。
ここでいったん、想像力をうんと膨らませて、対象のイメージを肉付けしていくことが大事になります。
「問いとは世界に切れ目を入れることである」
これは問いに対する私の信条といっても過言ではありません。
何もないところに問いを投げかけ、問題提起をする。それによって問題が発覚したり、議論が始まったりするわけです。
その意味で、問いは切り口が10割。切り口がすべてだといえます。言い換えると、どこに着目するかが重要だということです。

(イメージ:イラストAC)
地球の環境について問いを立てるとき、Aさんは地球の持続可能性に目を向け、Bさんはデータの信ぴょう性に目を向ける。あるいはCさんは宇宙と比較しようとする。
これらの違いは、きっとそれぞれが抱いている不安の違いに根差しています。おそらくAさんは地球の環境がいつまで持続するか心配しているのでしょう。逆にBさんは、陰謀論など不安を煽る風潮を心配しているのかもしれません。Cさんはもはや地球の存続の可能性に不安を抱いてしまっているのだと思います。
このように問いの切り口が不安と結びついていることに着目すると、自分にとっても意外な問いを立てることができるようになります。私たちは自分の抱える不安に気づいていないことも多いからです。

(イメージ:イラストAC)
ただ、必ずしも不安というネガティブな要素だけが、問いの切り口の源泉ではありません。
喜びや期待といったポジティブな感情も問いの切り口の源泉になりえるでしょう。
「なんだかワクワクするけど、それがなぜなのかわからない」というような場合にも、やはり私たちは問いを用いてそのワクワクの原因をはっきりさせようとするはずだからです。
つまり問いを立てるときには、自分の感情を手がかりにして、意外な切り口を見つけることができるということです。
それでは、感情から問いの切り口を見つけるための練習をしましょう。
「感情」から問いの切り口を探す
① お題を探す
何か1つお題を選んでください。気になっていることでも、ふと目に入ったものでもなんでも大丈夫です。
【例】テーマパーク
② 感情を観察する
その単語に対して、どのような感情が湧き上がってきますか? 1つでも複数でもいいので、挙げてみましょう。
【例】興奮
③ 感情の理由を知る
その感情が湧き上がってきた理由はなんでしょうか? 過去の体験や外部からの情報などからヒントを得てみてください。
【例】思い出、期待、ストレス発散、未知の体験
④ 切り口を問いにする
感情から生まれた切り口を、問いに結びつけてみましょう。
【例】テーマパークを未知の体験の場にするにはどうすればいいだろうか?
本書『なぜ、何も思いつかないのか? 自分の頭で考える力がつく「問い」の技術』では、「考える」の入り口に立つための思考法を、5つのステップに分けてより具体的にご紹介しています。
・会議やプレゼンで、自分の意見を言えるようになる
・自分ならではのアイデア、企画が浮かんでくる
・SNSやAIの情報に流されないようになる
など、仕事や日々の生活で活用できる思考法を身につけてみるのはいかがでしょうか。
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『なぜ、何も思いつかないのか? 自分の頭で考える力がつく「問い」の技術』
著:小川仁志
小川仁志
哲学者・山口大学国際総合科学部教授。1970年、京都府生まれ。京都大学法学部卒、名古屋市立大学大学院博士後期課程修了。博士(人間文化)。商社マン、フリーター、公務員を経た異色の経歴。徳山工業高等専門学校准教授、米プリンストン大学客員研究員などを経て現職。大学で課題解決のための新しい教育に取り組む傍ら、全国各地で「哲学カフェ」を開催するなど、市民のための哲学を実践している。専門は公共哲学、哲学プラクティス。
メディアでの哲学の普及にも努め、NHK・Eテレ「世界の哲学者に人生相談」、「ロッチと子羊」では指南役を務めた。近年はビジネス向けの哲学研修も多く手がける。ベストセラーとなった『7日間で突然頭がよくなる本』(PHP)をはじめ、『ジブリアニメで哲学する』(PHP)、『悩まず、いい選択をする人の頭の使い方』(アスコム)など著書多数。これまでに100冊以上を出版している。YouTube「小川仁志の哲学チャンネル」でも発信中。
公式HP http://www.philosopher-ogawa.com/
YouTube 小川仁志の哲学チャンネル
X(旧Twitter) @htsh1970








