更年期の代表的な症状「イライラ・怒りやすい」を改善! 体質別・自律神経セルフケアをご紹介【怒りっぽい、イライラが止まらない…】
ホルモンバランスの変化でただでさえ「イライラ・怒りやすい」更年期ですが、東洋医学の観点で言うと、春は五臓の「肝(かん)」の働きが活発になり、イライラが助長されやすい季節。
さらに、子どもの受験、親の介護、のしかかる仕事での重責といった周囲の環境の変化や悩みが重なることで感情が昂り、この新年度の時期、もはや「おかしくなりそうだ」と感じる人も少なくないことでしょう。

(イメージ:写真AC)
ここでは、鍼灸・あん摩マッサージ指圧師として訪問治療をしながら、書籍やテレビ、SNSなどを通じて自律神経の整え方やツボの取り方、不調との向き合い方を発信している、TC鍼灸マッサージ院院長・森田遼介先生に、なかでも“40〜50代の女性”の不調を改善するヒントを、体質・症状別に教えていただきます。
それでは、ご自分の体質にぴったりと合うセルフケアを見つけ、更年期特有の不調を体質別に改善していきましょう!
【※この連載では、東洋医学の観点から体質を「気虚」「血虚」「気滞」「瘀血」「陰虚」「水滞」の6つのタイプに分けてご紹介しています。まずは第1回でご自分の体質をチェックしてみてください】
「笑うこと」「泣くこと」は強いストレス発散に!
怒りという感情の発露には大きなエネルギーを使います。無駄に疲れてしまいますし、なるべくなら怒りたくないもの。しかし、この「怒(ど)」の感情が起こりやすいのが更年期です。
怒りとは気や血(けつ)が逆上している状態だと考えてください。特に五臓の「肝」の乱れから血が不足するとイライラしやすくなります。
わかりやすいのは睡眠不足のときでしょう。睡眠不足で血を増やすことができないと、「肝」が持つ気血を昇らせる働き(疏泄作用/そせつさよう)が暴走し、気血が上(頭部)へ昇りイライラしやすくなってしまいます。

(イメージ:写真AC)
精神的ストレスの原因の大半は人間関係にあるため、他人に期待し過ぎないことを心がけましょう。また、コメディ映画や感動する映画を観て笑ったり涙を流すことは、強いストレス発散効果が期待できるのでおすすめです。
また、無心になれる時間も大切で、「脳の過活動を抑える効果」「その瞬間に集中することでストレスや不安から心を解放する効果」「副交感神経を優位にし、心を落ち着かせる効果」といった多くのメリットがあります。ちなみに私は火を見てボーッとする時間を定期的に持つようにしています。
火を見ることはストレス発散に効果的です。焚き火などの火を見ることで、脳波に「アルファ波」が増加してリラックスできます。

(イメージ:写真AC)
これは、「1 / f ゆらぎ」という現象で、自然界の川の流れや波の音と同じリズムを持ちます。そのため副交感神経が優位になり、心が落ち着くというわけです。近年では、室内でもアルコールを入れて安全に火を見ることができるアイテムが簡単に購入できます。
「太衝(たいしょう)」は、筋肉の緊張を緩和させる働きがあるため、無意識にも身体に力が入ってしまう人におすすめのツボです。全体の気血(きけつ)のめぐりを良くするためにも、日頃から指圧やお灸をして、身体の余計な力を緩めましょう。
太衝の名前の由来は「太」=大きい・主要、「衝」=交通の要所。エネルギーが集中する場所にあり足の甲で「気血の通り道が大きく集まるツボ」という意味で名付けられました。

(イラスト/関根庸子(Cc:荒井敬)『更年期と自律神経をととのえる本』より)
それでは、「イライラ・怒りやすい」症状に、うってつけのセルフケアをまとめてみましょう。
まとめ:必須セルフケア
1.人に期待しすぎないことを心がける
2.笑う、泣く、感情を口に出して話す
3.無心になれることを探す
「イライラ・怒りやすい」不調が出やすい「体質」とその改善法
次に、特にイライラや怒りの不調を感じやすい「体質と対策」をランキング形式でご紹介します。ご自身の体質に合ったセルフケアを見つけてください。
第1位:血虚タイプ

【体質と対策】
血が不足して熱が発生し、上へ昇る状態になります。「肝」の血が足りずイライラしやすいタイプです。
そこで血を補い、めぐりを良くする鮭を使った「鮭と黒豆の炊き込みご飯」を紹介します。黒豆は血を補う作用があり、鮭の鉄分やビタミンB群と合わせるとより効果的です。
〈鮭と黒豆の炊き込みご飯〉
【材料】
米…… 2合
塩鮭…… 1切れ
乾燥黒豆…… 大さじ2
A———————————–
醤油…… 大さじ1
酒…… 大さじ1
だし汁…… 400ml
————————————-
【作り方】
1. 米は洗い、30分ほど浸水させる。乾燥黒豆は軽く洗い、水気を切る。
2. 炊飯器に米、黒豆、(A)を入れたあと、生鮭または塩鮭を上に乗せ、通常モードで炊飯する。
3. 炊きあがったら鮭の骨を取り除き、全体を混ぜ合わせて完成。
第2位:気滞・瘀血タイプ


【体質と対策】
気や血のめぐりが滞ることで、怒りっぽくなります。
これらのタイプの人はセルフケアとして「肝胆(かんたん)ストレッチ」を取り入れましょう。
❶ 両手を組んで上に伸ばし、3回深呼吸を行う。これを3回繰り返す。
❷ 組んだ手を上に伸ばしてから身体を横に倒し、3回深呼吸する。
❸ ❷を左右3回ずつ行う。

(イラスト/pum 『更年期と自律神経をととのえる本』より)
乳頭下の肋骨付近に、「肝経(かんけい)」の「期門(きもん)」というツボがあり、ここを刺激すると精神に関係の深い「肝」のめぐりが良くなります。意外と脇腹が張っていることを実感できるはずです。

(イラスト/関根庸子(Cc:荒井敬)『更年期と自律神経をととのえる本』より)
「肝」の気が滞ると脇腹の張りや痛みが出やすくなりますが、そこには「肝」と関係の深い「胆経(たんけい)」の経絡(けいらく)が走っているためです。胆経は目から始まり側頭部を通って、体幹の側面から脚にかけて走っています。
また、デスクワークなどで鼻や目の乾燥を感じたら休憩を取りましょう。鼻は「肺(はい)」と関係が深く「気」を司り、目は「肝」と関係が深く「血」を司ります。
乾燥は熱の発生症状であり、目を使い過ぎると熱を持ちやすい状態になるため、テレビやスマホ、パソコンなどの画面を見る時間をできるだけ減らすことも大切なストレスケアになります。
第3位:陰虚タイプ

【体質と対策】
身体をクールダウンさせる、水(すい/津液)が足りなくなることで「肝」や「心(しん)」を潤すことができず、熱が上に昇りイライラしやすくなります。
このタイプは、「爪楊枝イライラ解消法」でストレスケアをしましょう。やり方は、まず、爪楊枝を30本ほど輪ゴムで束ねます。尖ったほうで頭全体をまんべんなく軽い力で叩いて刺激を与えます。

(イラスト/pum 『更年期と自律神経をととのえる本』より)
これを一~二日に1回行い、日頃から余計な熱を頭から逃がしてあげることで大きな爆発を回避しやすくなります。イライラして我慢の限界になると自然に頭をワーッとかきたくなりますが、これは無意識のうちにストレス発散行為を身体が行っている一例です。抜け毛予防にもなりますので、ぜひやってみてください。
更年期のよくあるトラブル・お悩みとして聞くのが、ついイラッとして余計なことを口にしてしまい、人間関係のトラブルに発展して後悔するというパターン——。人間関係のトラブルは余計なエネルギーを使いますし、血の消耗にも繋がるので注意が必要です。
しかし、ここで覚えておいていただきたいのは、イライラしたり怒りやすくなったりと、感情の起伏が激しくなってしまうのは、決して「あなたのせいではない」ということです。
それぞれの体質に合ったセルフケアを継続することでかならず改善していきますから、ご自身を責めないようにしてください。
さて、女性の不調を改善するヒントをお届けしてきた本連載も、今回が最終回となります。
私は今までに6万人以上のさまざまな世代の人と出会い勉強させていただきましたが、更年期は決して悪い出来事ではなく、人生の折り返し時期に「身体と心を見直すいい機会」——。
本連載の内容がすべてまとまった『東洋医学が効く!更年期と自律神経をととのえる本』を、皆さまの健やかな日々のご参考にしていただければ幸いです。
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著:森田遼介
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