【INTERVIEW】坂東龍汰 映画初出演作『EVEN~君に贈る歌~』でギタリスト役に挑戦。メジャーデビューも控える彼に役者としての思いを訊いた。
インディーズバンドに起こる奇跡を描いた物語、映画『EVEN~君に贈る歌~』(6月2日公開)でギタリスト役を熱演する坂東龍汰。5月30日には劇中バンド『EVEN』のメンバーとしてメジャーデビューを果たす。そんな彼が今作、映画初出演となる撮影現場で吸収したことやアーティスト活動を振り返る。更に彼自身のことについても語ってもらった。
撮影/中根佑子 文/浅川美咲
——映画『EVEN~君に贈る歌~』でギタリスト役として決まった時の感想を教えて下さい。
最初オーディションの話を聞いて、絶対やりたいと思っていたのですが、いざ決まった時は凄いプレッシャーでした。僕はアコースティックギターを少しやっていたのですが、初めて触るエレキギターでメジャーデビューするのは技術面で正直不安で。
——不安が大きかったのですね。
はい。でも映画で役を演じることは凄く楽しみでしたし、いざみんなで練習をしてみると音を合わせた時とても楽しくて。自分の出すギターの音が、5人で演奏する曲の一部になっていることを実感しました。練習を重ねると音楽がまとまって音も綺麗に出せるようになったので、今は凄く練習が楽しみです。
——『EVEN~』の密着動画を拝見させて頂きました。オーディションでは演技だけではなく歌や楽器演奏もあったみたいですが、その時はギターで演奏したのですか?
歌唱審査はアコギで弾き語りをしたかったのですが、アカペラでやりました。楽器審査では自分で課題曲を作って弾くという課題だったのでエレキで演奏しました。同じオーディション現場にはもう一人のギター担当・涼を演じた栗原吾郎君もいたんです。彼、凄くギターが上手いんですよ。
——五年くらいやってる経験者の方ですね。
僕は吾郎君がギター経験者なのを知らなかったんです。だから最初は自分のレベルでも通用するのかなって期待していて。でも僕の前に吾郎君が見たこともないようなスキルで演奏していて、僕は茫然とガラス越しから見ていました(笑)。僕はアコギで弾くフィンガ―スタイルをエレキで無理やり弾いたんです。もうみなさん唖然ですよ。ストローク出来ないの?って言われたのでアコギで弾く、弾き語り用のストロークをして5分ぐらいで終わりました。その前の吾郎君は15分ぐらいやってたんですよ(笑)。終わったなって思いました。
——手ごたえ的には?
なしでした。終わった後にみんなで並んで写真を撮ったんですが、僕これいる意味あるのかなって思いました。だけど二週間後ぐらいにマネージャーさんからいい報告です、ギター役で決まりましたって言われまして。えーーーーーーって。とてもびっくりして大騒ぎしました。吾郎君も受かっていて彼がリードギターで僕がサイドギターです。難しいパートは彼が担ってくれてます。今となってはとても助かっています。
——プロデューサーや監督から受かった決め手は聞かれましたか?
密着のインタビューで拝見したのですが、脚本家の吉田さんが最初のオーディションで僕を見た時、快の役に印象がぴったりだったという風におっしゃって下さいました。
——今回初めての映画でセリフがあったとのことですが、役作りしましたか?
吉田さんがおっしゃって下さったように、僕自身も自分と快のキャラクターが似てると思ったので自分をそのまま役に生かしました。ピュアなところがあるというか、ばか正直で頑張ってかっこよくなりたいけどなりきれない不器用さがあるところが、凄く自分とリンクするところがあって。
——演技はいかがでしたか?
映画は自分で段取りをしっかり考えないといけないことを学びました。お芝居中の自分の動きやカメラアングルを把握するのに加え、感情を動かしながらセリフを言い、相手との会話を成立させなければいけません。考えることが多すぎてキャパオーバーしていました(笑)。初めての現場だったのでとても緊張して前日は一睡も出来ませんでしたし、初日が泣くシーンだったのでそれもあってガチガチでした。
——演技の相談はどなたかにされましたか?
クランクイン前にみんなでお茶をしに行った時、(桜田)通君に演技の相談をしたら物凄くたくさんアドバイスして下さいました。通君が持っている演技論とか、最初はこうだったよとか、とても丁寧に優しく教えて下さって。初日にそれを頭に入れて現場に行ったはずだったんですがやっぱり緊張はしました。でもその後から5人のシーンが増えていき、緊張がほぐれて凄く気持ちが楽になりました。
——メンバーとの演技は刺激になりますか?
一番年下で経験が少ない中、みんなの芝居を見て、その場その場で演技を変えていきました。自分では気づかなかったんですが、周りの方から前の日より全然今日の方が演技がよくなってきてるよって言ってもらえて凄く嬉しかったです。『EVEN~』の現場で表現の仕方が少しずつ、変化していったのかなと実感しました。
——坂東さんはメンバーの中でどういう存在ですか?
台風の目って言われます。はちゃめちゃみたいな。クソガキって呼ばれてました(笑)。愛すべきクソガキって。ドッキリとかされていじられてました。
——楽しそうですね。4月8日のEVENお披露目イベントはいかがでしたか?
ひと言で言ったらとても楽しかったです。実際に僕たちを見たい、好きっていうファンの方々が見に来て下さったので、キラキラした目線を受けて演奏するのはとても気持ちよかったです。これがバンドとしてお客さんの前で弾く楽しさや感動なんだなって感じました。練習の時にはファンサービスを考えていたんですが、初ライブだったので緊張して本番では出来ませんでした(笑)。
——練習はどのくらいしているんですか?
みんなでやる時はスタジオに入って3~4時間ぐらい実際に音を出しています。その前に僕は個人レッスンを2、3時間先生とやっています。
——5月には新宿BLAZEで対バンライブもありますもんね。
凄く楽しみです。舞台挨拶で5月30日待ってろよ!ぶち上げるからな!って宣言しちゃいました(笑)。
——今回はギタリスト役でしたが、次に映画やドラマでどんな役に挑戦したいですか?
どんな役だろう。趣味を生かしたものがいいですね。
——今回の役柄は自分に似てるとおっしゃっていましたが、また全然違った役柄とかも楽しそうですよね。
はい本当に。真逆の役も挑戦してみたいですね。大河とかで馬に乗る役とかもやってみたいです。凄い馬が好きなんですよ。
——乗ったことはあるんですか?
僕は北海道出身なのですが、小さいころ北海道で習っていたので少しだけ乗れます。その後旅行で一週間モンゴルに行って馬に乗りました。落馬して左の腕を骨折したまま片手で乗っていましたね。
——モンゴル!?骨折しても乗っていたんですね(笑)
馬が大好きなので意地でも乗ってやると思って。
——プロフィールを見ると特技がたくさんありますね。油絵は趣味で描いているのですか?
誰かに教えてもらったわけではないんですが、気づいた時には描いていました。
——今ハマってることはありますか?
最近お仕事でダンスを踊ることがありまして、久々にダンスをして感覚が蘇ってきました。高校の時に社交ダンスを2年やっていたんです。
——なぜ社交ダンスを習おうと思ったのですか?
初めて体育の授業でやって面白いってなって思って。その後教えてもらった先生のスクールに行ってやらせて下さいって言ったら、是非やろうとなったんです。そこから社交ダンス部が学校で作られて僕が部員第一号になりました。
——まさに台風の目ですね。
台風の目ですね。ぐるぐる踊り続けて、部が出来ました。そこから12人ぐらいに増えてみんなで大会に出たりして、凄く楽しかったです。
——色々なことに興味があるんですね。
そうですね。高校の卒業制作ではクレイアニメーション制作をしました。ストーリーを考えるところから始まり人形を作って音楽をつけたり、セットや背景画も全部自分で描いて。21分ぐらいの映像を1年間で撮りました。見てくれた人の捉え方がそれぞれで、僕が込めたメッセージ性を受け止めてくれる人もいれば、また違った受け止め方もあって面白いなと思いました。油絵を描くこともそうですが、ゼロから一を作るのが昔から好きです。何もないところから頭で想像して作り上げて、人に感動してもらえると嬉しいです。
——多彩な坂東さんですが、俳優を目指したきっかけはなんですか?
きっかけは北海道で演技をやっていたことです。小さい頃から劇団で舞台をやっていまして、その延長線上で高校3年生の時にやった舞台で主演になりました。ノルウェーのお話で『人民の敵』っていう難しい題材で主演をやった時に、凄くセリフを覚えるのも大変だったんですが、演じることの魅力をその舞台で見つけました。こんなに楽しいことがあるんだって。舞台だけじゃなくてもっと幅広くたくさんの人に見てもらえたらなって思いました。その後親に東京で役者をやりたいって言ったら、やりたいことならやりなよって言ってもらえたので上京しました。
——デビューは去年ですもんね。
8月ですね。まだ一年経ってないんですよ。
——NHK『春子の人形』(今夏放送予定)の主演もオーディションだったんですか?
そうです。田中裕子さんや芦田愛菜さん方と共演させて頂きました。四国ロケは凄く綺麗なところでした。
——とても順調な歩みだしのようですね。
そうですね。『EVEN~』も『春子の人形』も違う作品も全部通してなんですけど、一つひとつがきっかけになってたくさんの仕事に繋がっていけばいいなって思います。
衣裳協力:Signal used clothing
●プロフィール
坂東龍汰/ばんどう・りょうた
1997年5月24日生まれ、北海道出身。2017年8月に俳優デビュー。17年は舞台『三人姉妹はホントにモスクワに行きたがっているのか?』(岩松了作・演出)に出演。今後は、映画『EVEN~君に贈る歌~』(6月2日公開)、主演ドラマ・花へんろ特別編『春子の人形』(18年夏放送)を控える。
●作品紹介
『EVEN~君に贈る歌~』
監督/園田俊郎
脚本/吉田恵里香
出演/桜田通 栗原吾郎 才川コージ 坂東龍汰 櫻井圭佑 村杉蝉之介 岩橋道子 イジリー岡田 岡野真也 白洲迅 ほか
配給/UNIVERSAL CONNECT
インディーズバンドEVENのボーカル・武人(桜田通)と絶大な人気を誇る歌手・RIN(白洲迅)は交通事故にあう。目を覚ましたRINの視界の先には、意識不明で眠っている自分自身がいた。武人の体の中にRINがいることを受け止めきれないEVENメンバーの涼(栗原吾郎)・充(才川コージ)・快(坂東龍汰)・春雄(櫻井圭佑)。RINは、事故に遭う前に伝えたかった恋人・マミ(岡野真也)への想いを届けようとEVENのメンバーの協力を得て、マミに贈る歌を作り始めようとする。
6月2日(土)公開
https://www.universal-music.co.jp/cinema/even/
© 映画「EVEN~君に贈る歌~」製作委員会