【INTERVIEW】高杉真宙・後編/初主演舞台『TRUMP』への意気込みを訊く!

【INTERVIEW】高杉真宙・後編/初主演舞台『TRUMP』への意気込みを訊く!


高杉真宙インタビュー後編。この秋、初主演舞台『TRUMP』で高杉が演じるのは、人間とヴァンパイアの混血・ソフィ役とヴァンパイア界の名家に生まれたウル役の2役。相反する役柄をほぼ日替わりで演じるというのだ。様々な経験を経て挑戦する、初座長舞台への意気込みを訊いた。

撮影/吉田将史 ヘアメイク/堤紗也香 文/池上愛

<前編はこちらから>

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― では、これから控える舞台『TRUMP』のお話を。稽古はこれからということですが、台本や過去の舞台映像はご覧になりましたか?
「台本と映像、両方見ました。でも僕が読んだ台本からは結構変わるみたいです。ビジュアル撮影をしている時に、隅っこで(演出・脚本の)末満(健一)さんが話して下さいました」

― 作品に対して、どんな印象を受けましたか?
「階級社会のあるヴァンパイアという、独特な世界観が美しいなと。早くこの世界観に浸りたいなと思いました。衣裳も凝っていて凄いですし、楽しみです」

― 衣裳、凄く素敵ですよね。
「前作の衣裳(注:ワタナベエンターテインメント所属の俳優集団D-BOYSの弟分ユニットD2<現在はD-BOYSとして活動>メンバー総出演で、2013年に舞台化された)とはまた違ったテイストで。凄くかっこいいです。コスプレも興味があるので、こういう衣裳が着られるのは嬉しいですね」

― コスプレに興味があるんですね。これ着てみたいな、という衣裳はあるんですか?
「今は着てみたいっていうよりも、坊主になりたいです。坊主、1回もやったことないんですよね。人生で一番短かった時でも、眉毛上くらいの前髪で。ちなみに絶壁ではないらしいです。とはいえ坊主が似合うのかわかりませんけど(笑)」

― 高杉君の坊主、期待しています(笑)。今回はソフィとウルという相対的な役どころを、毎公演で演じ分ける独自のキャスティングシステムがありますね。
「凄い試みだなと。2役ということはセリフも2倍ですし。今から胃がグルグルしていて、そのことを考えると気持ち悪くなっちゃいます(笑)。徐々に日が迫ってきているので、ちょっと焦りも出てきていて…やばいな~と思いつつも、まだセリフは憶えられていません。セリフ量が多いので、ほんとは『表参道~』の撮影中に台本を憶えておこうと思ったんですよ。でも全然余裕がなくて。思ったよりも…本当に……あの、本当に余裕がなくて!」

― 余裕の無さが、凄く伝わってきます(笑)。セリフを覚えるのは得意ですか? 
「得意ではないですね~」

― いつもどうやってセリフを覚えていますか?
「家でグルグル頭の中で読んでいます。あとは現場に行く時と帰る時。電車で移動する時は、台本を写メして、スマホで読んだりしてます」

― ドラマと舞台の台本の読み方に違いみたいなものはあります? 
「僕の場合は、あまり変わらないです。ただドラマや映画の時は、台本を読み返したり出来るけど、舞台は出来ないじゃないですか。全部憶えておかないといけないし。昼ドラの時は、結構台本を振り返って、気持ちの流れを確認したりしていました。そういうことが舞台では出来ないという違いはありますけど、大きくは変わりません」

― ソフィとウルをどう演じようかな、という演技プランは考えていますか?
「ソフィとウルの違いを出したいなとは思っています。それと、僕と交互にソフィとウルを演じるのが早乙女友貴君なので、友貴君の演じるものとも違う見せ方になればいいですね。同じ役なのに、僕と友貴君の演じ方では、ちょっと違うキャラに見えるというのも面白いかなって」

― ソフィとウルは性格やビジュアルに違いはあれど、同じ生徒で同じ年頃の役柄なので大きな変化ってないじゃないじゃないですか。切り替えが難しそうな気もするのですが。
「舞台でメインキャラを2役って…今ソフィだっけ? ウルだっけ? ってなっちゃいそうですね。昼公演と夜公演で演じ分ける日もあって、そのスケジュールを見た時は思わず笑っちゃいました(笑)。1日で2人の人生を演じる訳ですからね。でもそこが楽しい部分でもあると思います。頑張らないと!」

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― 早乙女友貴君とは12年の舞台『里見八犬伝』で共演されていますね。
「『~八犬伝』の時は、緊張しちゃってほとんど話していないんです。その時は16歳だったかな。僕は八犬士のひとりである小文吾の弟・房八っていう役を演じていたんですけど、その時、友貴君は八犬士の親兵衛役でした。自分と同い年なのに八犬士をやっているなんて本当に凄いなと思ったし、憧れや尊敬と同時に負けたくないという気持ちもあって。

その2年後、僕は友貴君と同じ親兵衛をやらせて頂いたので、余計に友貴君の凄さを感じました。本当に凄いんです、友貴君の殺陣って。その時の映像を今でも見返したりするくらいで。きっとアリとカブトムシくらい違うと思います」

― ビジュアル撮影時に早乙女君とは何か喋りました?
「ちょっとだけ。でもまだ敬語で喋っています(笑)。今回はしっかり喋ってコミュニケーションとっていきたいです」

― 前にプラスアクトで取材した時に「舞台の大きい演技をするのが苦手」と言っていましたけど、今はどうですか?
「まだ苦手です。ちょっとした目の動きみたいな細かい演技が好きなので、大きく演じるということは苦手です。でもこの前『僕とあいつの関ヶ原』という朗読劇をやらせて頂いた時、いつもよりも大きく演じることが出来たので、少しは成長したのかなと。朗読劇だったので台本は持っていたんですけど、舞台と変わらないような演じ方でやってました。セリフもほぼ覚えていたので、わりと前を向いて演じていましたし。“お、もしかしたら『TRUMP』も結構いけるかな?”と思ったりして(笑)」

― 大きく動けたのには、理由があるんですか?
「その時、めちゃめちゃ声が枯れていたんです。風邪も引いていて色んな心労が重なって。それで大きな声を出さなきゃ! といつも以上に意識してやっていたら、演技もそれにつられて大きく演じることが出来ました」

― 声のケア、舞台ではとても重要ですね。
「とてもいい耳鼻咽喉科を教えて頂いたので、あの病院があれば僕は乗りきれると思います(笑)。城田さんもミュージカルで声が上ずった時があるらしいんですよ。僕にも同じことが起こったら、ちゃんと対応出来るかな!? ってちょっと心配なんですけど」

― 何事も無く平然と出来るかどうか。
「今のところ…自信はありません(笑)。『~八犬伝』の時に、剣がスッポ抜けちゃったことがあったんですけど、その時も“やばいやばいやばいやばいー!”ってかなり焦りました」

― その時はどう対処したんですか?
「それが全然覚えていなんです。パニクっちゃって、焦ったことしか覚えていません(笑)」

― そういうことを踏まえての稽古でもありますから、これからですね!
「友貴君との稽古も楽しみです。演出の末満さんは厳しい方だと聞いているので、今からドキドキですがしっかり稽古していきたいです。10回に1回くらいは褒めて欲しいですけど、何も言われないほうが不安なので、指摘されたほうが頑張ろうって思えます。でも、ボロボロになって正座して怒られてるかも(笑)。今から戦場に行くような気分だなぁ」

― 毎年1回は舞台を経験されていますが、映像を経験したあとの舞台って、心持ちが違ったりしますか?
「慣れない環境が逆にいいですね。舞台を経験して、その時は“よし!”って思うんですけど、しばらくドラマや映画をやって、また舞台に戻ると“やばいやばい”となっちゃって。そこでまた初心に戻る感じです。そういう意味では『僕とあいつの関ヶ原』をあの時期に出来たのがよかったかもしれないです」

― 高杉君にとっての舞台の魅力は?
「僕が観客として舞台を見る時、照明が消えて真っ暗になる瞬間がたまらなく好きで。椅子に座って暗くなった瞬間、毎回鳥肌が立つんです。舞台に立つ時も、その瞬間が好き。お客さんの目の前に立つ緊張感が…もちろん吐き気するぐらい緊張するんですけど、楽しみにしてくれているお客さんの前に僕が立てるということ、演技出来るということがとても魅力的です。

あと、これはドラマや映画にも言えることなんですけど、自分の描いていたキャラクターに近づけた瞬間も凄く気持ちがいい。舞台だとそれがより一層感じられます。僕、その日の気分で演技にムラが出来てしまうんです。これは自分の本当にダメなところなんですけど、相手の出方とか、その日の感じで演技が変わっちゃう部分があるんです。『TRUMP』では気をつけないと」

― ソフィとウルの2役を演じるぶん、余計に重要になってきそうですね。
「そうですね。その日の演技は1回きりなので、ムラがあっちゃいけないですよね。毎回最高のものをお客さんに届けられるようにしないと。あとは絶対に、1作品ごとに1レベルあげたいっていう目標があるので、今回もちゃんとレベル上げしたいです」
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― 今は何レベルくらいですか?
「19歳だからレベル19かな? 『TRUMP』ではボロボロになりそうなので、レベルはあがってもHPは急激に減るかも。その時はポケモンセンターでこまめに回復しないと(笑)」

― 体力回復を(笑)。高杉君にとってのポケモンセンターって何でしょう?
「本屋かな(笑)。マンガを読みながらHP回復してます。でも昼ドラの時は、あまりにも忙しくて、初めて“積みマンガ”しました。一切読まなかったんですね。きっと稽古中や本番期間も読めないだろうなあ。新刊が出ても気付かないと思います」

― 昼ドラに『表参道~』にハードな期間を経験したので、意外と乗りきれたりするかも?
「そうだといいですね。ハードな期間はこれ以上ない! っていうくらいの体験でした。つらかったけど本当に楽しい時間だったので乗り切れたんです。意外と、僕、働けるんだなって思ったし(笑)。あと1日というのは、どうあがいても24時間しかないんだなっていうこともわかりました(笑)。これから本番までにしっかりと稽古を重ねていきたいと思います! ボロボロになるのは目に見えてるので、自分へのご褒美は、マンガ以外のことも考えておかなきゃいけないですね(笑)」

(プロフィール)
高杉真宙/たかすぎまひろ
1996年7月4日生まれ、福岡県出身。2009年、舞台『エブリ リトル シング’09』で俳優デビュー。10年に『半次郎』で映画初出演。12年の『カルテット!』では映画初主演を果たす。以降『13歳のハローワーク』『高校入試』『35歳の高校生』『仮面ライダー鎧武』『ゴーストライター』『明日もきっと、おいしいご飯~銀のスプーン~』『表参道高校合唱部!』、映画『渇き。』『劇場版 仮面ライダー鎧武 サッカー大決戦!黄金の果実争奪杯!』、主演映画『ぼんとリンちゃん 』、舞台『里見八犬伝』など出演作が相次いでいる。「ファブリーズ」「レオパレス21」「ブルボン」のCMにも出演中。

(作品紹介)
舞台「TRUMP」
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<東京公演>
期間/11月19日(木)~11月29日(日)
会場/Zeppブルーシアター六本木
<大阪公演>
期間/12月4日(金)~12月6日(日)
会場/サンケイホールブリーゼ
作・演出/末満健一
出演/高杉真宙、早乙女友貴/平田裕一郎、山本匠馬、田村良太、大塚宣幸/久保田創、森下亮、植田順平、日南田顕久、傳川光留/吉田メタル(劇団☆新感線)、岡田達也(演劇集団キャラメルボックス)、末満健一/武田航平、陳内将

繭期(人間でいうところの思春期)を迎えた若き吸血種「ヴァンプ」たちを教育(矯正)するために設けられたギムナジウム(クラン)。完全階級社会であるヴァンプ界にあって指折りの名家の生まれであるウルは、忌むべき存在であるソフィになぜか心惹かれていく。そんな中、ウルはかつてのヴァンプが持っていた「不死の力」について研究を続けるうち、永遠に生き続けているとされる原初の吸血種「トランプ」の存在を知り、永遠の命を渇望するようになる。一方、クランでは、常にアレンを探し求めているティーチャー・クラウスら、個性豊かな教師陣が、繭期のヴァンプたちを指導していた。日々、繭期のヴァンプたちの騒動が繰り返されるクランに、ある日、謎の転校生・萬里がやってくる…。

http://napposunited.com/trump/