【フランスの年末年始】家族の静かな夜から踊り明かす新年へ

【フランスの年末年始】家族の静かな夜から踊り明かす新年へ



フランスの地方都市ナントで、フランス人パートナーと2人の子と家族4人で暮らしている大畑典子さん。
一級建築士の資格を持ち日本の建築事務所でバリバリと働いていた彼女が渡仏して約8年。
「シンプルな暮らし」を楽しむフランス生活で得たもの、捨てたものを、日々つれづれに綴っていただきます。


 

みなさん、いかがお過ごしでしょうか。フランス・ナント在住の大畑典子です。
2025年が始まりましたね! みなさんは、どんな年末年始を過ごされましたか? 

日本では、大掃除をしたり、年越しそばを食べたり、初詣に行ったりと、日本独自の習慣がありますよね。一方で、フランスにも日本とは異なる年末年始の過ごし方があります。今回は、私が体験してきたフランスの年末年始の様子をご紹介します。

 

クリスマスは家族と過ごす厳かな日

日本では、クリスマスは「恋人たちの日」というイメージが強いですよね。街にはイルミネーションが輝き、レストランでもクリスマスの特別メニューが楽しめます。

一方で、フランスのクリスマスはまったく違います。25日はほとんどのレストランや商店、さらにはパン屋さんまでもが閉まります。フランスではクリスマスは、“家族と静かに過ごす厳かな日”なのです。

カトリックの伝統が根付くフランスでは、クリスマス前後に休暇を取る人が多く、1週間ほど休む人もいれば、24日と25日のみ休む人もいます。

24日のクリスマスイブには、家族で豪華な食事を囲みます。フランスのクリスマスイブ料理といえば、フォアグラやカキが定番。私の義実家では、ベジタリアンの家族がいることや、内陸では新鮮なカキが手に入りにくいことから、食卓にあまり登場しません。


△クリスマスイブの定番料理フォアグラ。

それでも、この日はアペリティフ(食前酒)から前菜、メイン、チーズ、デザートとフルコースが並びます。乾杯にはもちろんシャンパンをいただきます(パートナーの実家がシャンパーニュ地方なので、シャンパンが常に箱買いでストックされています!)。

25日のお昼には七面鳥が登場。こちらもフランスのクリスマスならではの風景です。
義両親は毎年、24日と25日に行われるミサに参加しますが、時代の流れか、参加者は少なくなっているそうです。パートナーも子どもの頃は一緒に参加していたそうですが、今では行っていません。

 

フランスに年末の大掃除文化はない

日本では年の瀬に家を大掃除し、きれいな状態で新年を迎える習慣がありますよね。私も日本に住んでいた頃は毎年、家をピカピカにして清々しい気持ちで新年を迎えていました。

しかし、フランスには年末の大掃除文化はありません。というのも、日頃から整理整頓を心がけているため、大掃除を必要としないのです。フランス人の多くは、家をいつでも人を迎えられる状態に保っています。たとえば、外出や旅行から帰宅したときに家が散らかっていると嫌な気分になるため、日常的に片付けをする習慣が身についているのです。

フランス人の片付けの秘訣はシンプル。「散らかしたらその場ですぐ片付ける」です。義実家では、食事の後、家族みんなで一斉に後片付けをします。一人だったら数十分かかる作業も、全員でやればあっという間。また、多くの家庭では食洗機を使うので、後片付けもスムーズです。

朝起きてすぐにベッドを整える、子どもと遊んだ後は一緒におもちゃを片付ける、夜寝る前に部屋を整える……これらの小さな習慣が部屋をきれいに保つコツなのです。ちなみに、掃除をハウスキーパーに依頼する家庭も多く、合理的な考え方がフランスらしいと感じます。

 

年越しはパーティーナイト!

クリスマスは家族と静かに過ごす一方、年越しは一転して賑やかなパーティーが繰り広げられます。日本ではお正月を家族で過ごすのが一般的ですが、フランスでは31日の夜から年越しパーティーがスタートし、朝まで踊り明かすことも珍しくありません。

私たちも毎年、パートナーの実家で年越しを迎えるのですが、31日の夜は義父母やその友人たちがリビングで爆音の音楽に合わせて踊り続けています。私は早めに眠ってしまうのですが、朝方まで楽しんでいる祖父母世代の元気さには驚かされます! 


△年越しに踊り明かすフランス人義両親とそのお友達。

また、街中では花火が打ち上がり、町全体が新年を祝うムードで包まれます。日本の情緒あふれる除夜の鐘とはまったく異なる賑やかな風景です。

 

仕事始めは2日から

新年の仕事はじめにもかなり違いがある日本とフランス。フランスでは1月1日だけが祝日で、2日からは通常通りの仕事が始まります。フランスの年末年始休暇はクリスマスが中心なので、日本とは休暇のリズムが異なるのです。

私がフランスの大学院に通っていた頃は、年明け早々に試験期間が始まり、1月2日からテストが行われていました。日本のお正月のようにゆっくりする余裕はなく、エンジン全開で新年を迎えたことを思い出します。

今回は、フランスの年末年始の過ごし方についてご紹介しました。
みなさんも、素敵な一年をお過ごしください!
それでは、また次回。アビアント~!

*次回は1月22日(水)更新予定です。


Written by 大畑典子
大畑 典子

フランスでのリアルな生活を、日常ブログや実際に体験したエピソードなどを通してYouTube『Nolie France / のりふら』で紹介している。
フランスの食卓の様子や休日の過ごし方など日常のVLOGをアップし、その豊かでほのぼのとした空気が人気を博し、チャンネル登録者数は15万人を超える。
日本の大学を卒業後、設計建築事務所で経験を積み、27歳で一級建築士の資格を取得。「海外でシンプルな暮らしを体験してみたい」という思いから2016年に渡仏。フランスの建築学科の大学院に留学し、語学を学びながら研鑽を積む。大学院在学中にフランス人のパートナーと出会い、第一子を出産。育児のため途中休学を経て、2020年に卒業。休学期間中に『Nolieフランス三人暮らし』でYouTubeデビュー。2021年に第二子を出産し、現在の形にタイトルを改めた。YouTubeのほか、音声メディアSNS『Voicy』やInstagramでの発信も行っている。
YouTube: Nolie France / のりふら
Voicy:人生を「逞しく、軽やかに」生きる
Instagram:@nolie_a_nantes

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