
【自律神経セルフケア】「体質診断」であなたにぴったりなケアが見つかる!【東洋医学の陰虚・水滞とは?】
こんにちは。TC鍼灸マッサージ院院長の森田遼介と申します。鍼灸・あん摩マッサージ指圧師として訪問治療をしながら、書籍やテレビ、SNSなどを通じて自律神経の整え方やツボの取り方、不調との向き合い方を発信しています。
本連載「大人女子を整える」では、とくに40〜50代の大人の女性にみられる“更年期”などの不調を改善するセルフケアを、体質・症状別にご紹介していきたいと思います。
連載第1回・第2回に続き、ご自分の体質を分析して正しく理解することからはじめましょう。ご自分の体質を知ることは本当に必要なケアや治療のヒントに繋がるので、不調を改善するための大切な“最初の一歩”となるはずです。
まずは、第1回にある「体質診断」チェックリストを行い、「気虚(ききょ)」「血虚(けっきょ)」「気滞(きたい)」「瘀血(おけつ)」「陰虚(いんきょ)」「水滞(すいたい)」という計6つの体質――これらのうち、自分にはどれが一番当てはまるかをチェックしてみてください。
*「気虚」「血虚」は第1回、「気滞」「瘀血」については第2回でご紹介していますので、それぞれご参照ください。
「陰虚タイプ」の不調と、その改善法
陰虚(いんきょ)は、体の乾燥・熱が強いタイプです。水分が足りずクールダウンできません。更年期における陰虚は、中医学で体を潤し、栄養を与える「陰(いん)」が不足した状態を指します。
「陰陽バランス」の崩れにより体内の熱が過剰になる陰虚では、乾燥やのぼせ、ほてりなどの症状が現れます。更年期にはホルモンバランスの変化が引き金になり、この状態が現れやすくなります。
これには、五臓の「心」の過剰な熱を冷まし、身体を潤す必要があります。
陰虚タイプのよくある日常
通勤中に突然カーッと熱くなり、頭から多く汗をかくなど気温差の調整がうまくできない
↓
腸の潤いが不足して、硬い便になりやすい
↓
情緒が不安定になりやすく、疲れやすい
↓
夕方や夜に頭や顔が熱くなる
↓
夜中に大量の汗をかく、これが原因で睡眠が中断することも
(イメージ:写真AC)
陰虚とは
「陰」は体を冷やし、潤して安定させる役割を持つ要素です。「陰」が不足すると、その反対の「陽」が過剰となり、体内に熱や乾燥、興奮状態を引き起こします。
陰虚は以下の特徴を持ちます。
・乾燥:体液や血液が不足し、潤いが足りなくなる
・熱感:体内で熱が過剰になる
・消耗:過労や加齢で陰が消耗しやすくなる
陰虚の対策方法
(1)生活習慣の改善
・十分な休息をとる
動き過ぎ(=陽)ないよう気をつけ、体を休ませる(=陰)時間を意識して取りましょう。
・十分な睡眠の確保
夜更かしを避け、体を休める陰の時間をしっかりと確保するようにしましょう。
・体を冷やさない
辛い食べ物や刺激物、アルコールを控え、バランスの良い食事を心がけてください。
・ストレス管理
ヨガや瞑想などリラクゼーションの時間を確保し、心身を落ち着かせる習慣を身につけて。
(2)食事による改善
陰虚を補うには、潤いを補う食材や、体をクールダウンさせる食材を摂取することが大切です。陰液(体液)が不足すると乾燥やほてりが現れます。
おすすめの食材
・梨やスイカ、トマト、はちみつ:水分を多く含み、体を潤す効果があります。
・白キクラゲ、百合根:潤いを補う「養陰(よういん)」の食材として知られています。
・トマト、きゅうり、大根:水分を多く含み、熱を冷ます作用があります。
・黒ごま、クルミ、黒豆、牡蠣、はちみつ:五臓の「肝・腎」を養い、乾燥や肌の老化を防ぎます。
避けたい食材
・辛いもの(唐辛子、カレー、キムチなど)
・熱性の強いもの(ラム肉、アルコールなど)
・揚げ物や脂っこい食べ物
(イメージ:写真AC)
陰虚を放置した場合のリスク
陰虚を放置すると、全身のエネルギーが消耗し、慢性疲労や虚弱体質になってしまいます。イライラや不安感、不眠が慢性化するためメンタルの悪化も問題になるでしょう。
五臓の「腎』のエネルギーが不足することで骨や髪、皮膚の状態の低下が進み、骨粗しょう症や老化の進行が進むこともあります。
まとめ…「陰虚タイプ」のあなたへ
更年期の陰虚では、乾燥や熱感、睡眠障害といった症状が特徴的です。頑張り過ぎずに適切な休息をとって、体内の潤いを補い、陰陽バランスを整えるようにしましょう。
陰虚の改善は、「潤いを補い、熱を冷ます」ことがポイント。早期のケアが健康を維持する鍵となります。
(「水滞」タイプは次のページへ)
*「気虚」「血虚」タイプの方へのアドバイスは第1回で公開中です。
*「気滞」「瘀血」タイプの方へのアドバイスは第2回で公開中です。
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