【ヌン活で健康に】1杯の紅茶が“血糖値の上昇”を抑えてダイエットにも効く!
今テレビで特集が組まれたり、SNSでもにわかに注目を集めるなど、「ヌン活(アフタヌーンティー活動)」がブームとなっているのをご存じでしょうか?
ホテルやカフェでは季節ごとに新メニューが発表され、1人8,000円のコースでも予約がすぐに埋まるそう。さらに「おうちヌン活」として自宅で紅茶を楽しんだり、仕事の気分転換やリラックスのために飲むなど人気が拡大しています。
(イメージ:写真AC)
そんな、ふだん何気なく飲んでいる紅茶には、免疫力向上、ウイルス撃退、ダイエット、ストレス解消、口臭や歯周病……など、私たちの健康に関する困りごとに役立つことが分かってきているんです。
そこで、「ブルックボンドハウス」副支配人、「ユニリーバ」マーケティング、「リプトン」PRを経て、現在は紅茶専門店&紅茶スクールオーナーである英国紅茶研究家の斉藤由美さんのロングセラー『紅茶セラピー ~世界で愛される自然の万能薬~』(ワニブックス刊)より、紅茶の秘めた健康効果についてご紹介します。
ベジタブルファースト・ウィズ・ティーで体をコゲつかせない
日本は、飲料の種類が豊富で、ペットボトル飲料や缶飲料も次から次へと新たな商品が登場します。外食シーンでも選択肢が実に多いので、いつも紅茶にしようと決めていても、あれこれ目移りしてしまい、きっと迷ってしまうことでしょう。
また、イメージ的にも紅茶というと、ケーキと一緒に午後のティータイムという先入観に支配されがちな飲み物でもあります。ですから、日本においては紅茶を飲むシーンが限定されがちなことは否めません。
もしもこの紅茶に、食事中に飲むことで、健康にプラスになる効果があるとしたら、いかがでしょうか。そんな朗報が、いくつかの研究によって報告されているのです。
(イメージ:写真AC)
その中で注目されているのが、紅茶による食後の血糖値上昇抑制効果です。血糖値とは、血液中の「グルコース」(ブドウ糖)の濃度を表す数値のこと。グリコーゲンと名前が似ていますが、グリコーゲンは、複数のグルコースが結びついた物質です。
私たちが食事をすると、一時的に血糖値が上がります。すると「インスリン」というホルモンが分泌され、平常値に戻すよう指令が出されます。
血糖値は食事の内容や体調によっても変化し、高い状態が続くと体に悪影響を及ぼし、糖尿病をはじめとする生活習慣病のリスクが高まるのです。
食事のとき、食べる順番を考えて、できるだけ野菜から食べるようにしましょうという話を聞いたことはありませんか? これは、野菜を最初に食べることで、食後の血糖値上昇がゆるやかになることがわかっているからです。
(イメージ:写真AC)
どんなにお腹が空いていても、どんぶりご飯からガツガツと食べてしまっては、血糖値が急激に上昇するためよくありません。「食事はベジタブルファーストで」というキャッチフレーズがあるほどです。
そしてここに紅茶が加わると、さらによいことがわかりました。紅茶を飲みながら食事をすると、食後の血糖値上昇を抑えることができるのです。
「ベジタブルファースト・ウィズ・ティー」。今日からは、食事のメニューに紅茶も加えてみましょう。
食後ではなく、食前、食中に水感覚で飲むことをおすすめします。セットドリンクのタイミングは食後派が多いように見受けられますが、血糖値上昇を抑える効果を狙うなら、食前に出してもらいましょう。
紅茶は血管の健康維持にも役立つ
さて、ほかにも食事中に紅茶を一緒に飲むとよい事例があります。それは、血管の健康に関する研究で明らかにされました。
ハンバーガーやステーキなどのような、こってりとした脂肪分の高い食事は、血管内皮(血管の内側の皮)の損傷リスクが高いといわれていました。しかし、このような高脂肪食と一緒に紅茶を飲むことで、血管内皮損傷リスクが軽減されることがわかったのです。
たとえば筋肉を鍛えるなら筋トレをすればいいですが、血管は、そんなふうに鍛えることができません。なにより目に見えず感じにくいですよね。だからこそ、「血管の健康」を保つためには食生活が重要になるわけです。
(イメージ:写真AC)
食生活の重要性というと、ダイエットや肌の状態などのように表面上わかりやすいことにしか目がいかなくなってしまいがちです。見えるからわかりやすいともいえますけど。
でも、命を育む体の細部に染み渡るものこそが、毎日の食事の質によって大きく変わってきて、結局は「見えるからわかりやすい」ところにも影響を及ぼすことになるのだと思います。
食後のデザートやティータイムのお供だけの紅茶からは卒業です。これからは、「食事と一緒に紅茶」の時代。
もちろん、食後のデザートと一緒に、ティータイムにケーキと一緒に、も健在です。だって、紅茶って本当にたくさんの種類があって、好みや食べ物によっていろいろ選べるのですから。
そんなことを考え、楽しみながら暮らすというのが、私にとって人生の醍醐味なのかもしれません。
ストレス解消にバッチリ「ベルガモットオレンジティー」
紅茶のもつリラックス効果も、科学的に立証された健康効果のひとつです。そのカギとなるのが、紅茶のもつ「香り」。紅茶の香りを嗅いだあとの脳波の状態を調べたところ、リラックス状態にあることを示す「α波」が増幅していたという報告があります。
また、紅茶には「香り」に加えて、飲むことによって得られるリラックス効果も。それは、紅茶に含まれる「テアニン」によるもので、「香り」と同じく脳にα波を発生させることが明らかになっています。
ここでは、ダブルの香りで安らぎを感じられるレシピを紹介しましょう!
ホットティーで紹介しますが、香りがしっかりしているので、アイスティーにもぴったりですよ。
材料(2〜3杯分)
ティーバッグ(アールグレイ)…2袋
熱湯…400cc
オレンジ(半月型スライス)…4〜6枚
※アイスティーの場合は熱湯を半量の200㏄にし、グラスたっぷりの氷を用意します。
作り方
1. あらかじめ温めておいたティーポットに、熱湯を注いでティーバッグを入れ、フタをして約2分蒸らします。
2. 時間になったら、全体が均一になるようにティーバッグを上下左右に軽く振って取り出します。
3. カップにオレンジスライスを入れ、ホットティーを上から注いで、できあがり。
紅茶の本場、イギリスで最初に登場したとき、「万病に効く神秘の薬」として紹介された、茶。
その言葉があながち嘘ではなかったことが、現代の科学と技術の進歩により、明らかになってきています。
しかし、ここでご紹介したのは、紅茶のもつ健康効果&レシピの、ごくごく一部にすぎません。
『紅茶セラピー ~世界で愛される自然の万能薬~』では、紅茶の驚くべき効能のほか、おいしいいれ方やアレンジレシピ、紅茶の基礎知識まで、紅茶のスペシャリストが長年の経験から得た、紅茶の健康効果を高めるための飲み方のコツや、暮らしへの取り入れ方まで、惜しみなくたっぷりお伝えしています。
本書を片手に、いますぐ紅茶で、あなたの生活を豊かに、健康に満たしませんか?
\好評発売中!/
『紅茶セラピー - 世界で愛される自然の万能薬 –』
著:斉藤由美
監修:冨田勲
斉藤由美(さいとう・ゆみ)
英国紅茶研究家、ライター。日本紅茶協会認定ティーインストラクター、ティーアドバイザーの資格を持つ。東洋大学文学部卒業後、ブルックボンド紅茶を扱うメーカーに入社、総務部で人事を担当したあと、「ブルックボンドハウス」副支配人として紅茶教室の企画を担当、人気紅茶教室の基礎確立に貢献。その後、ユニリーバに転籍し飲料マーケティングに所属、リプトンのPRを担当した。
現在は、紅茶専門店&紅茶スクール「イギリス時間紅茶時間」(秋田県大館市)のオーナーとして、ティールーム、ショップ、紅茶スクールを運営。秋田市、青森県弘前市のカルチャースクールでも紅茶講座を担当するほか、紅茶セミナーや講演などの活動も行う。自身がプロデュースし、同行する「イギリス紅茶ツアー」なども実施。近著『しあわせ紅茶時間』(日本文芸社)は、台湾・韓国でも翻訳出版された。著書は『紅茶セラピー』(ワニブックス)のほかに、『すてきな紅茶生活』(PHP 研究所)、『英国紅茶の贈り物』(KK ベストセラーズ)、『しあわせ紅茶時間』(三笠書房/知的生きかた文庫)など。
冨田勲(とみた・いさお)
静岡県立大学名誉教授、薬学博士。
1932 年富山県富山市生まれ。大阪大学大学院薬学研究科博士課程修了(1961)、同大学助手(1962), 米国アイオワ州立大学、ニューヨーク州立大学博士研究員(~ 1964)を経て、静岡薬科大学(1966 ~)、静岡県立大学薬学部および同大学大学院教授(1987 ~ 1998)などを歴任。
定年退職後、静岡産業大学国際情報学部教授、同客員教授などを経て退職(2005)。
現在、日本老化制御研究所(JaICA)顧問、茶学術研究会元会長、世界緑茶協会元理事、日本食品衛生学会(元会長)名誉会員、日本茶業技術協会理事、日本ビタミン学会功労会員、その他。
著書(共著)に『茶の科学』(朝倉書店)、『茶の化学成分と機能』(弘学出版)、『新版 茶の機能』(農文協)、『成人病予防食品の開発』(シーエムシー)、『食品衛生学』(南江堂)、『日本茶のすべてがわかる本』(農文協)など多数。