
台湾二大農産物<フルーツとお茶>の共演。フルーツティー「水果茶」の遷り変わり
優美でおいしい台湾茶。
淹れ方やお作法のハードルが高そうだけど、実は自由に楽しめるもの。好きなところをつまみながら自分の茶道を探す、台湾在住コーディネーター・青木由香さんのお茶ごとエッセイ。
今でこそおしゃれカフェが多い台湾ですが、二十数年前までコーヒーは苦いだけ、お茶もこだわりの少ないセレクトで今のように凍頂烏龍茶や東方美人茶は飲めませんでした。
台湾茶は台湾茶っぽい場所で飲む空気があって、喫茶店では私は何も期待せず、ただただ紅茶を飲んでいました。そんな時代のある日のこと、友人が「水果茶(シュエグオーチャー)」なるものを頼んだのです。
水果=果物。つまり、水果茶とはフルーツティーのことです。紅茶ならストレートが好きな私はてっきり、よくある紅茶の茶葉にドライフルーツのみじん切りが入ったフレーバーティーだと思って見向きもしなかったやつです。実際、そうゆうのも、こちらでは水果茶と言いますし。
それが、ガラス製の大きなティーポットにフレッシュフルーツをたっぷり浮べて、キャンドルウォーマーで温められて出てくるじゃないですか。ええええー、なんとオシャレな。値段の割にリッチなみてくれ。ちょっと一口と、友人のを飲ませてもらったら、味見のつもりが自分の紅茶はもうそっちのけ。
まるで自分のもののように飲んじゃいました。さすがフルーツ天国、台湾! すごい! 台湾の喫茶店に対する偏見が一気に解けていきました。
水果茶は、果物が入るだけではありません。お茶をフルーツジュースで割ってあります。ジュースでお茶の渋みを緩和し、お茶の力でジュースの甘さはさっぱりという相乗効果。二十数年前、お茶のジュース割りって、私は見たことも聞いたこともありませんでした。
フルーツとお茶という台湾農産物の二大スターが夢の共演ですよ、これはじめた人、天才?
材料は色んなパターンや組み合わせがあります。ちゃんと茶葉を使ったものもあれば、ティーバッグのものもある。果物からわざわざ絞ったジュースの時もあれば、市販のジュース、果物のジャムを混ぜただけの場合もある。
フレッシュフルーツが大体2種類以上は入るようなので、新鮮な果物の力で抑えが効いて、意外とどんなバージョンでもイケるんです。
オレンジ、りんごあたりが定番らしく、パイナップル、キウイ、パッションフルーツ、グアバ、スイカ、グレープフルーツ、レモンなども入ります。季節ごとに、手に入りやすいものを入れるようですが、お茶があったかいところに果物を入れるので、ぬるっとしたバナナやマンゴーはあんまり見かけません。
当時は、茶をしばくならカフェというよりいわゆる喫茶店的な店をイメージする時代だったので、水果茶はそんな店で飲んでました。凝ったものではあるけど地方でも飲めたことから、あの頃の流行だったのかもと思います。
近年はコーヒーブーム。残念ながら喫茶店的な店より、かっちょいいカフェが急増し、どこでも飲めるものではないですが、案ずること勿れ。今は、ちょっと形を変えて日常に溶け込んでいます。
では、水果茶はどこにあるか。それは、街中にあるドリンクスタンドにもコンビニにもある!
タピオカミルクティーを売っているあそこです。そこで、葡萄柚緑茶(プータオヨウリュウチャー:グレープフルーツジュースと緑茶のミックス)や百香緑茶(バイシャンリュウチャー:パッションフルーツと緑茶のミックス)なんかが定番であって、大体どこの店でも頼めます。
△左写真:黄色カップが「TRUE WIN」、青色カップが「WOOTAE」というドリンクスタンドブランド。/右写真:左が「TRUE WIN」の六韻水果茶(リョウインシュエィグォーチャー)70元(約300円)。ドリンクスタンドでもフレッシュフルーツがたっぷり入っている。右が柚子ジャム色のお茶にライチのゼリーが入った「WOOTAE」の柚香荔枝涷飲(ヨウリーヂードンイン)65元(約260円)。
△コンビニではオリジナルの水果茶もあり。台湾ファミマオリジナルはレベルが高い。さっぱりした 芭樂檸檬青茶(バーラァニンモンチンチャー:グアバ×レモン×青茶[台湾の半発酵茶])55元(約260円)が私のイチオシ。
水果茶に特化したドリンクスタンドもあって、そこならちゃんとフレッシュフルーツが入ったものもあります。
私が最初にズキュンと打ち抜かれた、あったかいお茶に果物のバージョンは見かけなくなり恋しくもなりますが、ドリンクスタンドならテイクアウトできて、なんならデリバリーもできて、値段も手軽。新しいのもどんどん出てくるから種類も多く、いろいろ楽しいですよ。
今日の一杯。自分でやってみる冷たい水果茶
水果茶、実は家でも手軽に作れます。材料は大体、オレンジ、りんごに他、手に入りやすい果物とお茶、砂糖、氷。烏龍茶の緑茶か紅茶を使います。ティーバッグが便利。
作り方は、まずティーカップ1杯分のお茶を熱湯で3分ほど抽出。オレンジは、飾り用に2枚スライスし、それ以外は絞ってお茶に入れる。砂糖は好みで甘さを足して(なくても良い)、大きめのグラスに氷と一口サイズに切ったりんご、その他のフルーツを入れてお茶とジュースを注ぎ入れる。スライスオレンジを飾って出来上がり。
300mLくらいの水にティーバッグ2つと果物を直接入れて一煮立ちさせるやり方もあり。適当(ゆるい)な台湾は、作り方はさまざま。ざっくり伝授しましたが、果物自体の糖度もあるので、味を見ながら作ってください。果物は多い方が映えますよ。
「TRUE WIN 初韻(トゥルーウィン チューイン)」
台湾エリアに展開している、ティースタンドのチェーン店。
東京を含む海外にも5店舗展開中。
※住所、営業時間、定休日などは各店舗によって異なります。
公式HP:https://truewin2018.com.tw/
「五桐號(ウートォンハオ)」
台湾エリアに展開している、ティースタンドのチェーン店。
オーストラリアにも2店舗展開中。
※住所、営業時間、定休日などは各店舗によって異なります。
公式HP:https://www.wootea.com/
*次回は7月7日(月)に公開予定です。
\青木さんのお店もチェック!/
『你好我好(ニーハオウォーハオ)』
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『暮らしの図鑑 台湾の日々』
著:青木由香
発行:翔泳社