
懐かしさと癒しが詰まった甘味処が復活 神楽坂【紀の善】
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月一で通っている行きつけのお店、ハレの日のとっておきのお店、
ちょっとニッチで穴場的なお店……。
食いしん坊のファッションライター・arikoさんがつづる
新しい偏愛レストランガイド。
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神楽坂を代表する甘味処「紀の善」がご店主の高齢化を理由に突然閉店したのはちょうど3年前のこと。店内で頂くのははもちろん、手土産に、自分のためにと通っていたので、ショックで……。もうあの抹茶ババロアが食べられなくなると思うと寂しくて仕方がなかった。
ところが今年の7月半ば、神楽坂に紀の善が復活するというニュースが届いた。場所は以前あった坂の下から少し登ったところだという。嬉しい知らせに多くの人が歓喜しているはず。きっと大行列に違いない。インスタグラムも開設していることを知り、あれこれチェックして、さっそく足を運んでみた。
店内利用は整理券制、開店時間の1時間前から整理券を配布しているので、都合に合わせた時間帯の席を予約する方式になっている。しっかり整理券をゲットして、無事に店内へ。
新装開店ならではの木の香りのする店内は清々しい雰囲気、席についてお品書きを眺めると以前と変わらないラインナップが懐かしくて涙が出そう。
甘味好きの友人とふたりだったので、杏あんみつと白玉増しのクリームあんみつに、夢にまで見た抹茶ババロアももちろん注文。お茶と共に出される子豚モチーフのお煎餅も健在で嬉しくなってしまった。
果たして再会したあんみつは変わらないルックス、紀の善ならではの淡い藤色のあんこが以前と寸分違わず舌でとろけた。店内で作るというこのあんこがとにかく絶品。しっかり甘さがあるのに上品で後口はすっきり。
濃い抹茶の苦味を活かして甘みを抑えたババロアはふわっととろけるように滑らかな舌触りで、生クリームと合わせて一緒に口に運べばその相性の良さに改めて驚かされる。キュンと酸っぱい杏との組み合わせも言わずもがな。
夏季限定のかき氷が終わるこれからの季節は温かなお汁粉が恋しくなる。磯辺巻きも頼んで甘いのとしょっぱいの両方楽しみたい。懐かしい味に舌鼓を打ち、帰りにはお土産も抜かりなく。胸に大切に抱えながら帰途に着いた。
DATA
紀の善 神楽坂
住所 〒162-0825 東京都新宿区神楽坂2-12-15 さわやビル1F/B1F
営業時間 11:00~
※在庫状況や季節に応じて、閉店時間に変動がございます。
定休日 なし
Instagram @kinozen_official
HP https://shop.create-restaurants.co.jp/cr1463/
*次回は10月10日更新予定です。
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