【INTERVIEW】『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』で主人公を演じた冬野心央。1年間演じ続けた役への思いや俳優としての今後について話を聞いた。
2月8日に最終回を迎えた『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』で主人公のを演じる冬野心央。スーパー戦隊シリーズが2025年で50周年、VSシリーズが今年で30周年を迎える中、3月20日(金)より最新作『Vシネクスト「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSブンブンジャー」』が上映される。今作で冬野は、遠野吠としてキャラ変するという重要な役どころを好演。1年間演じ続けた遠野吠への思いや俳優としての今後について、じっくりと語ってもらった。
撮影/浦田大作 文/高本亜紀

――今作は演じる遠野吠のキャラ変があったりと、台本を読まれた際の驚きも大きかったのではないですか。
「台本ができあがる前に、プロデューサーさんから『こういうふうになるよ』とふわっと伺っていたのですが、いざ台本を読むと想像以上だったというか。こんな人間いないんじゃないかと思うくらいぶっ飛んだ感じになっていたので、最初は大丈夫かなと不安に思いました。今まで演じてきた吠とは別物という印象を受けました」
――そこから、どんなふうにキャラ変の部分をつくっていかれたのですか。
「自分の中に共通するところが一切なかったので、自分を消してまったく別の人になるくらいの気持ちで演じようと思いました。また、現実にはいないだろうと思うキャラクター性や言葉遣いから、人間味があるというよりは、わかりやすくアニメっぽい感じというか、まずは大きな表現を心がけようと考えたんです。例えば、僕は普段からいろんなアニメを見ていて、なんとなくイメージしたのが『東京喰種トーキョーグール』でした。もちろんキャラ変の役とは違うのですが、その作品の月山習というキャラクターの紳士的なところだったり、主人公・カネキに対しての貪欲さだったりに、少し似た部分があるかもしれないと思ったのでもう一度見てみました。いざ見ると思っていたより近くはなかったので、結局、自分なりにやってみようという決断に至りました」

――実際、現場で演じてみると、想像とは違った部分も出てくるでしょうし。
「本当にそうでした。何より、自分と共通点がないというのはやっぱり難しかったです。自分の中にあるものを役に投影したいという思いがあり、何かしらのリアクションひとつにしても、普段は自分の中にあるものから表現しようと思ってやってきました。けど、今回はそれができないので、最初に話したように自分を消すことを意識したのですが、姿勢ひとつをとっても1年間演じてきた吠が染み付いているんですよね。ぶっきらぼうな話し方もそうですし。立ち方から違うということになって、まず現場では背筋を伸ばすところから始めました。監督から『姿勢が戻ってるよ』と指摘されたらすぐ戻すようにしていましたし、自分にはないからこそセリフも意識して今まで以上に読み込んで臨みました」
――ということは、普段演じている遠野吠はご自身との共通点が多い役でもある?
「吠のプロフィールを見た友人から、『そのままじゃん』って言われるくらい似ている部分の多い役です。だから役づくりもまったく苦ではなく、自然体で演じられたので、現場では感じたことをしっかり表現することを大事にして演じていました。そういう僕を見ていたスタッフさんや共演者の中には、キャラ変の役がナルシスティックな発言をするぶん、違和感を持つ人もいました。けど、みなさん面白がってくれていたので、僕もそこは気にせず、殻を破るくらいの気持ちでやり切りました」
――ギアをもうひとつ上げるような感覚でしょうか。
「はい。だから大挑戦でした。こんなに自分と違う役は最初で最後かもしれないという気持ちでやっていました」

――物語の中で、遠野吠が『爆上戦隊ブンブンジャー』の範道大也(井内悠陽)と自らを比べる場面もあります。あそこはどんなことを感じながら演じましたか。
「今まで吠はものすごく強い人間だと勝手に思っていたので、最初に台本を読んだ時、こんなに落ち込むんだなと驚いたというか。自分と他人を比べることがあるんだというのは新しい気づきでした。他人と比べてしまう気持ちも理解できるので、自分の気持ちとも照らし合わせながら、ネガティブな感情を持ちつつも大也の言葉にどう心を動かすのか、現場でしっかり感じ取ろうと思っていました」
――遠野吠はスーパー戦隊シリーズのレッド像というものから見ると、ある種、特殊なレッドでもありますよね。
「そうなんです。吠はほかのスーパー戦隊シリーズのレッドのようにみんなを引っ張るタイプのリーダーではありませんが、人を惹きつける吸引力があって。6人の中で一番年下ということもあるからか、放っておけない何かがあるし、周りにかわいがられていて自然と人が集まってくる存在なんですよね。だから、スーパー戦隊シリーズの今までのリーダー、中心に立つレッドとはタイプが違いますが、その新しさがいいなと思っています」

――また、先ほどから何度も出ているように、今作では『爆上戦隊ブンブンジャー』のみなさんとも共演されています。一緒にお芝居する中でどんなことを感じましたか?
「僕は特に大也と関わることが多かったのですが、立ち姿や声、表情から頼れるリーダーだというのが伝わってきて純粋にかっこいいなと思いましたし、決めゼリフも間近で聞けて興奮しました。僕らは個々で突き進みながら団結するタイプですが、『爆上戦隊ブンブンジャー』のみなさんからは、全員で支え合うチームワークも感じて。どちらもすごくいいチームだなと思いましたし、違うよさがあるからこそ起きる化学反応もあったので、観て下さる方々にはそういったところも楽しんでもらえたら嬉しいです」
――『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』は2月8日に最終回を迎えました。1年間、同じ役を演じるというのはなかなかない経験だと思いますが、遠野吠を演じてみて感じたことを改めて聞かせて下さい。
「最初の頃は(役に対する)気持ちがあればいいだろうと思っていたところがあったんです。けど、できあがった映像を確認して、このやり方だと観ている人には伝わらないということに気づいてからは、気持ちをちゃんと表現していくことを意識しました。吠自体、成長していくキャラクターだったので、自分も同じく成長していく感覚で演じていました。カメラの前で吠を演じることがなくなった今思うことは、ここまで自分と共通点がある役というのは今後ないかもしれないなということ。だから、手放すのが悲しいなという気持ちもあるのですが、いろんな役をやってみたいという気持ちもあるので、寂しさと楽しみと…複雑な心境です」
――冬野さんについても教えていただきたいのですが、このお仕事を始めたきっかけは?
「僕はスカウトされてこの世界に入りました。元々映画は好きだったんですが、最初、自分には芸能の仕事は向いていないだろうと思っていたんです。けれど、事務所に所属していろんなお仕事に挑戦させてもらううちに、心を動かせる作品に携われたらすごく幸せだろうなという気持ちが芽生えてきました。そんな時、『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』への出演が決まって、1年間いろんな経験を積んだことで、お芝居への気持ちの変化や、もしかしたら俳優としてこの世界でやっていけるかもしれないという自信が少しずつ生まれてきました」

――『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』は、俳優としての自信を持たせてくれた作品でもあるんですね。
「この作品を経験して、ちゃんと向き合えば、少しずつでもできるようになるんだということがわかりましたし、今後もこうして地道にやっていくことで大きな成果が得られるかもしれないと(将来についても)考えられるようになりました。自分には無理かもしれないと不安になることもありましたが、1年間、この作品を頑張ったことで続けていけるかもしれないと思えるようになって。僕は映画が本当に好きで、この仕事を始める前もそうですし、今もいろんな作品を観ます」
――ちなみに、映画はどんなものが好きなんですか?
「映画館で観るのが大好きで、よく観るのは日本の映画です。興味を持った作品があれば、すぐ映画館に観に行きます。俳優さんだと、村上虹郎さん、横浜流星さん、池松壮亮さん、河合優実さんなど、映画の中で生きている人に憧れますし、僕も映画の中で生きていきたい。ただ、実力をつけないと実現できないことだと思うので、地道に頑張っていこうと思います。そのためにも、今後は自分とかけ離れた無理だろうと思うような役にも挑戦していきたいです」
●プロフィール
ふゆの・みお
2003年12月3日生まれ、山口県出身。2022年、俳優活動をスタート。2025年、スーパー戦隊シリーズ50周年作品『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー』にて、主人公・遠野吠役に選ばれる。主な出演作は、映画『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー 復活のテガソード』『彼の瞳に映る僕』など。
●作品紹介
Vシネクスト『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSブンブンジャー』
原作/八手三郎 脚本/樋口達人 特撮監督/佛田洋
アクション監督/藤田慧 監督/中澤祥次郎
出演/冬野心央 鈴木秀脩 神田聖司 松本仁 志田こはく 木村魁希
井内悠陽 葉山侑樹 鈴木美羽 齋藤璃佑 相馬理 宮澤佑 他
声の出演/梶裕貴 KENN 駒田航 花江夏樹 諏訪部順一 水樹奈々 諸星すみれ/松本梨香 稲田徹 関智一
『ビッグバングランプリ(BBG)』に出演していたブンレッドこと範道大也(井内悠陽)達だが、ユニバースNo. 1の怪人・ユニバースノーワンが「ユニバース融合」を発生させて並行宇宙が混ざり始めたため、突如中断に。苦魔獣ギャラクシーサーキットグルマーが現れると、ゴジュウウルフこと遠野吠(冬野吠)が駆けつけて―。
3月20日(金)より新宿バルト9ほかにて期間限定上映
https://www.toei-video.co.jp/vcinext-gozyuboonboom/








