【INTERVIEW】松尾太陽/『一週間フレンズ。』で主人公の親友・桐生将吾を演じる松尾太陽。20歳になった想いとともに、いかに演技に向き合っているのか聞いた。

【INTERVIEW】松尾太陽/『一週間フレンズ。』で主人公の親友・桐生将吾を演じる松尾太陽。20歳になった想いとともに、いかに演技に向き合っているのか聞いた。


アニメ化、舞台化もされた人気原作マンガを実写映画化した『一週間フレンズ。』が2月18日に公開する。超特急のメンバーとしても活躍する松尾太陽は、今作の主人公・長谷祐樹(山﨑賢人)の親友・桐生将吾役を務める。いかに演じたのか、当時の話を聞くうちに彼の素直な人柄がみえてきた。 そして、20歳を迎え、新たな一歩を踏み出した松尾の今の心境とは?

撮影/浦田大作 文/渡邊美樹

 

――撮影は結構前だったということにびっくりしました。2015年の冬ですよね。結構あれから経たれてますが、取材を受けたりして記憶は蘇ってきましたか?

 「大丈夫です、記憶はちゃんと蘇ってきてます」

――最初この作品への出演が決まった時、どんな形で決まったんですか?

「誰役かはわからない状態で、オーディションを受けました」

――とにかく受けに行ったということですか?

「そうです。結果、主人公の長谷祐樹の親友役で桐生将吾という原作でも人気のある役を演じさせて頂くことになりました。当時は、果たして自分に演じることが出来るのかなって、葛藤みたいなものもありましたね」

――嬉しさと緊張、どちらもあった感じですか?

「嬉しい半分、どうしよう半分でした(笑)」

――松尾さんにとって、この作品は主人公と親友役で、しかも原作物で、など色々初めてがいっぱいの作品だったと思うんですが、実際、撮影現場で緊張とかしてました?

「クランクインする時が一番緊張していたかもしれないです。ほかは緊張っていうのを感じなくて。ただ撮影当初とか2日目とかはなんか色々考えて、寝れなくてっていうのが多かったですね」

――主演の山﨑賢人さんとは同じ事務所だと思いますけど 、共演する以前から面識はあったんですか?

「面識はありました。共演は今回が初めてなんですけど、お互いが中学生の時にお会いしていました」

――では、現場での会話もしやすかったりしたのではないですか?

「そうですね。でも、最初はやっぱり演じるということになるとまた別だなって感じてました。ただそんな中、川口さんと山﨑君がいい現場の雰囲気を作って下さっていたんです。その中に自分も飛び込んでみると、不思議と緊張も段々ほぐれてきました。最初は、本当に現場に行くだけでも緊張するっていう状況だったんですけど、気づけば毎日現場に行くのが楽しいって思えるぐらいになったので、本当におふたりに感謝です」

――よかったですよね。現場の雰囲気が楽しいとテンションも上がりますよね。

「上がりますね。やっぱり、『一週間フレンズ。』は、友達をテーマにしている映画でもあるので、その雰囲気もスクリーンを通して観て頂けると嬉しいですね」

――『一週間フレンズ。』は、アニメ化、舞台化もされていますが、元々ご存じでしたか?

「はい、見ていました。桐生は人気のあるキャラクターのひとりなので、自分の中でどれだけ桐生になれるだろうかっていうのを課題にしてました。少しでも桐生の気持ちをわかりたくて、物語の舞台の聖蹟桜ヶ丘にいって、聖地巡礼みたいなこともしました」

――ちゃんと原作の場所を調べて行ったんですか!?

「行きました。アニメのエンディングとかでよく映っているシーンとか、画像を確認して現場に行って、ちゃんと写真で撮って。ちゃんと同じ角度で撮ったんですよ!」

――細かい! その場所を巡ってみて気持ちは高まりました?

「高まりました。めっちゃ。あの、もちろん色々ワンシーンを撮っていくのもあれなんですけど、“ここが祐樹と香織が出会ったシーンなんだな”とか、“今からお祭りに行くところなんだな”とか、そういうことを思いながらやってなんか楽しかったです。“ああ待ち合わせしていたな、ここ”とか」

――傍から見るとただのファンですね。

「そうですね。役の気持ちを知るためはもちろんですが、もう完全にファンのひとりとして行っているところもありました(笑)」

――役について想像するだけでなく、場所がちゃんと明確だったから具体的に想像出来たことは、本当によかったですね。

「原作からも感じたんですけど『一週間フレンズ。』って、独特の温かい雰囲気があるなと思ったんです。主人公の記憶が月曜日になると忘れちゃうっていうのは、確かに悲しい事ですが、でも祐樹がそれに立ち向かって何事も恐れず突き進んでいくっていう姿も凄くかっこいいなって思いましたし。そして、そんな中にも温かい雰囲気があるからこそ、そんなに重たく捉えずに、作品にも触れることが出来ると感じたので本当に素晴らしい作品だなって思います」

――山﨑賢人さん演じる祐樹の人柄が素敵です。

「本当にもう、何事にも対してもバカ正直に、凄く真剣ですね」

――真面目さも感じました。

「そうなんですよ。それが祐樹流に表現されている感じが、僕、凄く好きで。なかなかそういう風に自分の信念を曲げない気持ちっていうのも難しいと思うんです。途中でやっぱり、あーでもさすがにだめかなっていう風に気づいちゃったりする時もあると思うんですけど。彼はそういう気持ちがないんですよ。最後まで諦めない。凄く素敵だなって思います」

――松尾さんが演じられた、祐樹の親友・将吾は、クールで口数が少ないけど、みんなを見守っているような存在ですね。松尾さんはどういう風に自分なりのキャラクター像を作られましたか?

「将吾は、クールで寡黙で、だけどその仲間想いっていうのは一番本軸にある人物だと思いました。だから、演じるにあたって、あまり感情が表情に出せないんですが、でもその中でクールだけど冷たくない、冷たすぎないっていうのを大事にしました」

――微妙なラインですよね。

「そうなんですよ。あまりにもそういう風にだしすぎちゃうとただ単に冷酷なヤツに見えてしまうので。だから桐生でしか出せない空気、役っていうのを少し意識しました」

――監督や共演者の方とキャラクターについてお話などはされたりしたんですか?

「村上正典監督は、『セリフっていうのは言うだけじゃなくて、心の中で思ったものが出てくるからセリフなんだよ』と、撮影が始まる前に教えて下さいました。だから、自分の中に気持ちがあった上で言葉に出そうと意識して演じました。あと、演じていて若干撮影当初は固くなっちゃう自分もいたんですけど、でも山﨑君は、『演技は気軽にやっていいんだよ、そういう気持ちを軽くして演じた方がいいんだよ』と、言って下さって。『やっぱ固くなっちゃうとその分出ちゃうから』と」

――それは凄く勉強になる言葉ですね。

「『一週間フレンズ。』の撮影期間中は、自分の中でずっと吸収しているというか、日々勉強の毎日でした」

――松尾さんは、ちょうど20歳になられたということで、成人企画で海外にお正月行かれたと聞きました。

「1月2日から1月7日の5日間かけてマレーシアに行って来ました。20歳の記念ということで、高さ4000メートルを越えるキナバル山っていう山があって、そこで登山に挑戦して、世界一高い場所での成人式を行おうみたいなことを…」

――凄い企画ですね!

「一体なんなんだ!? っていう感じの企画なんですけど(笑)。びっくりしました。前々から“2017年の頭に新成人企画である場所に行く”みたいなことは言われていたんです。ただ場所はわからない状況で。それで場所を教えられたのが年末という…、凄いギリギリで。なので、現地について山を登り始めて、最初は絶対無理だなって思っていたこともあったんです。これ失敗するじゃないかな? って。でも、焦らずに一歩一歩を着実に突き進んでいって登頂出来たので、何事も一歩一歩進むことが大事なんだなと、身をもって感じた企画でした」

――貴重な経験をされましたね。

「そうですね。なので、2017年は、何事もやる前から無理だっていう風に思わずに、どんどん色んなことに挑戦していきたいなって思っています。そのスタートがあの登山だったのが、今となってはよかったなと思っています」

――20歳って、どんな人でも、もう大人だという意識が芽生えるという年齢だと思いますが、なにか松尾さんの心境の変化はありましたか?

「“自分の中のこだわり”というのを自然に持てるようになりたいなと、思い始めています。今までだと、結構人に任せちゃったりとか、ちょっとどうしたらいいのかな? って思うことが多かったんですけど。でもそれを自分で考えて、自分の中のこだわりを持つことで、なにか変われるんじゃないかと思ったんです。だから2017年は苦手なことも得意にする、何事も挑戦するというのを目標にしたいなと。登山をしながら考えました。」

――登山が自分を見つめ直す時間を与えてくれたんですね。

「今年、何を目標にしようかなって考えてました。そして、登頂成功したときに、あ、挑戦だなって、思ったんです。やっぱりこういう登山も挑戦したからこそ成功した訳だし。挑戦しないと何も始まらないっていうのがでてきたので、挑戦の1年だなってパッと感じたんです」

――ちょうどこの作品も公開されてより俳優としての認知度も広がって、所属されている超特急が5周年ということで、色々重なる年だなという印象があります。

「そうですね。自分も無事成人を迎えられて、そして超特急の結成5周年を迎えることも出来て、そこで次の節目にむけてどう展開していけるか、凄く大事な年でもあるなって思っています。ひとつの新しい節目のスタートですね」

――仕事において、とても前向きな心境ですね。

「俳優として演じることと、ボーカルで表現することは、全然違う立ち位置にはいるんですけど、表現者っていう中では同じだと思っていて。ちょうどこの作品を撮影している時もLIVEのリハーサルとどんかぶりしている時期とかもあって、撮影があるからリハーサルをお休みするっていう時もありました。でも、それを経験して本当に自分も強くなったなって思っています。そこの両立は自分の中で苦じゃなくて、自分に全て返ってきていることだから、それが全て経験値になりますし」

――そう受け止められたのはいいですね。そこで辛くてもういやだって思ってしまったら多分次の一歩がまた大変に思いますが、楽しさの方が大きかったようですね。

「辛いとは、全然思わなかったです。ただその中で、演じるにあたって葛藤みたいなものはありましたけど。もう嫌だなとかは全然ならなかったです。むしろそれが全部返ってきているから、よかったなって思います」

――凄くいい20歳ですね。ふたつの事をどちらも経験出来ることは、嬉しいことですね。

「そうですね。今年最初にやった登山みたいにどんどん登っていきたいというか、それに関しては下山したくないなっていう気持ちです。上がっていきたいです!」


 ●プロフィール
松尾太陽/まつお・たかし

1996年生まれ、大阪府出身。2010年、『大奥』で俳優デビュー。11年より、史上初のメインダンサー&バックボーカルグループ「超特急」のバックボーカル・タカシとしても活躍中。映画『サイドライン』では超特急として主演を果たす。超特急の昨年のライブを収録したBlu-ray『超特急 LIVE TOUR 2016 Synchronism』が2月15日(水)発売。ホールツアー「Bullet Train 5th Anniversary Tour 2017「Trans NIPPON Express」が、4月29日(土・祝)から全国20カ所で行なわれる。


 ●作品紹介
 

『一週間フレンズ。』

監督:村上正典
脚本:泉澤陽子
原作:葉月抹茶「一週間フレンズ。」(ガンガンコミックスJOKER/スクウェア・エニックス刊)
出演:川口春奈/山﨑賢人/松尾太陽/上杉柊平/高橋春織/古畑星夏/伊藤沙莉/甲本雅裕/国生さゆり/岡田圭右/岩瀬亮/戸次重幸
配給:松竹

高校2年の長谷祐樹(山﨑賢人)は、初めて会った日から惹かれていた同級生・藤宮香織(川口春奈)に、思い切って「友達になって下さい」と声をかける。が、香織は必死で祐樹を拒む。実は彼女には、“友達のことを一週間で忘れてしまう”という記憶障害があった。それでも香織のそばにいたいと願い、毎週月曜日、記憶がリセットされるたびに、香織に会いに行く祐樹。二人は交換日記を始めて、少しずつ距離を縮めていく。そんなある日、香織の過去を知る転入生が現れる。

2017年2月18日(土)公開

公式サイト:http://ichifure.jp
公式Twitter:https://twitter.com/ichifure_movie
公式Facebook: https://www.facebook.com/ichifure.movie
 ©2017 葉月抹茶/スクウェアエニックス・映画「一週間フレンズ。」製作委員会