【INTERVIEW】宮崎秋人/『柔道少年』で部活動に打ち込む主人公を熱演。ドラマ『男水!』も話題の俳優・宮崎秋人の素顔とは?

【INTERVIEW】宮崎秋人/『柔道少年』で部活動に打ち込む主人公を熱演。ドラマ『男水!』も話題の俳優・宮崎秋人の素顔とは?


韓国小劇場大ヒット作『柔道少年』が日本に上陸! 部活に打ち込む青春真っ只中の高校生が経験する恋愛、友情を描く本作を、主演・宮崎秋人×演出・中屋敷法仁で描く。柔道着をまとい黙々と稽古を続ける宮崎秋人に、本作の意気込みを聞いた。

撮影/浦田大作 文/池上愛

――『男水!』の放送も始まりましたね。リアルタイムでご覧になりました?

「はい。ドキドキしながら(笑)」

――どうでしたか?

「こうやって映っているんだなというのが最初の感想です。BGMが入るとこうなるんだとか、水泳のシーンもめちゃくちゃかっこよかったです」

――泳ぐシーンが結構多かったですね。

「1話は特に多かったです。最初は東ヶ丘高校男子水泳部がメインでしたけど、ライバル校の龍峰高校ももっと出てきます。厚みのある話になっていくので、最終話までどうなるのか楽しみにしてほしいです」

――宮崎さん演じる篠塚大樹はバタフライを競技としている役で。

「撮影前に水泳のレッスンを1カ月やったんですが、本当にゼロスタートでした。1話を観て、もうちょっと出来たんじゃないかなって思いましたけど(苦笑)」

――舞台も控えていますが、そこについては?

「どうなるのか誰もわかりません。でも、水泳部のお話ではありますが、人間ドラマが主軸なので、舞台でもそのお話がメインになるのではないかと思っています」

――ドラマと合わせてに楽しみにしています。さて、ドラマでは水泳、今度の主演舞台では柔道ということで。

「年末年始は道場に通って柔道レッスンをしていました。最近稽古場にも畳のセットを組んで取り組んでいますが、もっともっと練習しないと追いつかないな…という状態です」

――道場と稽古場での取り組みは違いますか?

「舞台に設置してある畳は、ちょっとだけ斜めなんです。斜めの足場で柔道するっていうのは、普通の柔道選手でもやらない未知の世界です(笑)。かかとを浮かせて技をかけたり、構えたりすることも多いので、そこに手こずっていますね。早くこのセットになれないと。なかなかドSなセットが用意されてなと思います(笑)」

――見た目だと、そこまで斜めになっているようには見えないのですが、それでも大変なんですね。

「実際立つと、ほんのちょっとの傾斜でも感覚が全然違います」

――『柔道少年』の台本を読んで、どんな印象を持ちましたか?

「凄くストレートなお話だなと。難しい話が一切なく、ある種少年マンガみたいな。わかりやすくて疾走感があって、凄く爽やかな気持ちになりました。その中で、部活や高校生活の悩み、仲間との衝突が描かれているのですが、共感する部分が多くて初めて読んだような気がしなかったんです」

――宮崎さん演じる“宮崎秋人”のキャラクターは本当に真っ直ぐですね。以前「ここまで突き抜けているキャラクターは初めて」と仰っていました。

「ここまで真っ直ぐなキャラクターは初めてです。ピュアな感じがかわいいなと、台本を読みながら日々思っています。自分は東京生まれ東京育ちなんですけど、この秋人は青森出身なので、地方出身の人達は、僕ら東京の人達をこんな風に見ているのかなぁと、不思議な気分でもあります。後輩役の三津谷亮君、池岡亮介君も凄くかわいい役どころです」

――登場人物、みなさんかわいらしいですよね。

「そうなんです、小林正寛さん演じるコーチも凄くかわいらしい。演じながら笑顔になることが多いです。ほかの人がやってるシーンを見ても思わず笑っちゃうくらい(笑)」

――台本を読む限りだと、セリフのテンポもよくて。

「そうなんです。だからあんまり盛ったりもせず、勢いとテンポで進めていくのがいいなと思いながらやっています」

――そこは共演の荒井敦史さん、三津谷さん、池岡さん達の空気感も重要?

「はい。空気感はやっぱりこのメンバーだからこそだなと。今回は、演じること以外にも制作周りのことをお手伝いさせて頂いています。仕込みとかも自分達でやっていて。だから、僕ら4人は演じること以外でも時間を共有することが多いんです。なので、いつも以上に深いチームワークで臨めていると思います。もともとプライベートでも仲が良いですし、演出の中屋敷法仁さんも、チームワークがとれることを念頭に置いてキャスティングしたと仰っていました。なので、チームワークはもっともっといいものになるという確信を持って集まったメンバーだと思っています」

――ちなみに制作周りというのは、具体的にどんなことを?

「上演後のアフターイベントの企画、パンフレットの制作、グッズのデザインなどです」

――本当に劇団の一員みたいな感じですね。

「そうですね。改めて劇団って凄いなって思いました。稽古しながら制作のことも考えるということが初めての経験で。『パンフレットの原稿の締め切りが迫ってる…』とか、そういうのも考えながらやってるんですよ」

――原稿も書いてるんですか?

「書いてます」

――それは凄い。

「写真も自分達で撮ってるし、パンフレットの中身はどうするか、インタビューの構成はこうしようとか。普段だったら、写真はカメラマンさんに撮ってもらって、インタビューはライターさんが書いて…とかですけど、今回は僕達も携わらせて頂いています。正直、凄くきついです(笑)。思った以上に大変です。ですが、こういうチャレンジをしているからこそ生まれたチームワークもあるんです。それに原点回帰出来た部分もあって。自分が役者やりたての時は、仕込みやばらしもやっていたので、その時の思い出がフラッシュバックしました。大変だけど、いい機会を与えて頂きました」

――演出の中屋敷さんはどんな演出をされるのですか?

「朗読劇に続いて今回2度目です。中屋敷さんは、稽古中凄く楽しんで作品作りをしてくれる方。本読みの時から誰よりも笑って誰よりもはしゃいでいます(笑)。僕らの中では、稽古場でどれだけ中屋敷さんを楽しませられるかっていうのを目標にやっているんですよ」

――中屋敷さんの笑顔をいっぱいに。

「はい。どれだけ引きだせるかっていうのを目標に(笑)」

――セリフが津軽弁だという部分はいかがですか?

「苦労してます。ようやく今、セリフが入ってきたかなという感じです。稽古2日目には立ち稽古をやってきたので、だいぶスムーズに言えるようになりました。あとは細かいところを詰めていく作業。津軽弁はそもそも聞いたことない単語もあるし、イントネーションも全く違うので、難しいです」

――けっぱれ、とか。

「そう。聞いたことない言葉が多いし、更にイントネーションも違う。気持ちを作ってセリフを言っても、イントネーションに意識がいってしまうとそこで雑念入っちゃいますし。その言葉が馴染んでいない時はセリフを言っても全くピンとこなかったり」

――ちなみにどの言葉が一番難しかったですか。

「言葉というよりも、イントネーションです。聞いたこと無い方言は、初めて聞く単語なので津軽弁のイントネーションでも覚えやすい。だけど、標準語と同じ言葉、たとえば『ごめんなさい』なんかは、言葉は同じだけどイントネーションが違う。そこが難しいです」

――気持ちを入れながらも、言葉遣いもしっかりとやらないと難しい。

「そうです。方言でお芝居するのは初めてなので、今、この大変さを痛感しています。しかも津軽弁は方言の濃度が濃い。きっと観に来て下さった方は、最初はなんて言ってるかわからないかもしれません。だけど、一字一句聞き逃さないぞ、と思わなくてもいい内容になっています。雰囲気で感情とかは心に飛んでくる。何に悩んでいるのか、何に対して苛立っているのかとか、それはわかる台本になっているので、そこは僕らを信じてついてきてほしいです」

――韓国では大ヒットの舞台いうことですが、宮崎さんは『柔道少年』がどうして好かれるものになっていると思いますか?

「凄く元気をもらえる作品だからなんじゃないでしょうか。登場人物達が真っ直ぐなので、頭と心を空っぽにして観に来れば、誰でも受け入れられる作品だと思います。あとは彼らが持つ悩みって、誰にでも共通することだとも思うんです。悩みとぶつかりながらも、負けずに前に進んでいる。高校生の柔道少年達が頑張っている姿が、観に来るお客さんの活力になる。そこがこの作品の魅力なんじゃないかなと」

――悩みといえば、宮崎さんが役者を始めるきっかけが「今まで挫折したことがなかったけれど、演技で初めて挫折を経験したから」ということですが。何が一番の挫折だったのでしょうか?

「養成所に入ったときだから、18、19歳のころだったかな。人前も苦手ですし、カメラ前も苦手ですし、ああ、俺は向いてないなって思って。養成所の先生にも厳しい事言われたりもして」

――向いてないけど、やりたかった?

「向いてない“から”、やりたい」

――そうなんですね。

「今でもずっと思ってます。向いてないなって。だからやらなきゃいけない。向いてないから誰よりも頑張りたい」

――養成所の時はどういう気持ちでお芝居していたんですか?

「単純にセリフをなぞっていただけで心は入っていなかったと思います。もともとそんな喜怒哀楽がなく、自分を表に出さない性格で。いや、表に出ないどころか内にもあんまりなかったタイプ。人とそこまで深く関わることがない人間でした。だからお芝居する相手は初めましてになる訳で、そんな初めましての人に感情を解放なんか出来なかった。この女の子いきなり好きになれって言われても、初対面なのに好きになれる訳ないじゃん! っていう、頑固な部分が凄くありました。ようやく今は、頑固な部分を削ぎ落とした感じです。徐々にですけどね」

――そんな宮崎さんの、今の演じることに対しての心構えはなんですか。

「今年は、またゼロからスタートしたい。そう思ってこの作品には取り組んでいます。去年の年末くらいから数年ぶりにお芝居のワークショップをやらせて頂く機会があって。自分がクリアしたと思っていたこともまだまだ出来ていないことがわかったし、基礎の基礎の部分を指摘されたりもして。自分の感覚と役者レベルがだいぶ違っていたなと思い返すきっかけになりました。これまでの経験を全部取っ払って、ゼロから役作りすることを、きちんと向き合おうと思っています。だからここからまた再スタートですね」

――いいきっかけになりましたね。

「はい、とても。初めての演出家の方に見て頂いたので、刺激にもなりました」

――では、新しい気持ちで臨む『柔道少年』への意気込みを、最後にお聞かせ下さい。

「この作品に関しては、とにかく肩の力抜いて楽しんでもらいたいです。お芝居うんぬんとか難しいことは考えず、ただシンプルに作品のメッセージを受け取ってもらえて笑ってもらえたらなって思います」


 ●プロフィール
宮崎秋人/みやざき・しゅうと

1990年生まれ、東京都出身。2015年10月、俳優集団D-BOYSに加入。主な作品は、ミュージカル『薄桜鬼』、舞台『弱虫ペダル』『Messiah メサイア』シリーズ。舞台『東京喰種』、Dステ17th『夕陽伝』など。2016年には『FAIRY TAIL(フェアリーテイル)』で初主演を務める。現在ドラマ『男水!』(日本テレビ系)が放送中。同名舞台は5月より上演。


 ●作品紹介

Dステ20th『柔道少年』
作/イ・ジェジュン、パク・キョンチャン
演出・上演台本/中屋敷法仁
出演/宮崎秋人 荒井敦史 三津谷亮 池岡亮介 桜井美南 小林正寛
【東京】2017年2月9日(木)~21日(火)ザ・スズナリ
【大阪】2017年2月24日(金)~26日(日)ABCホール

公式HP:http://judo-shonen.dstage.jp/