【ペルー日記】インカ時代から伝わるワイルドな石窯料理

【ペルー日記】インカ時代から伝わるワイルドな石窯料理



人生初の中南米一人旅の真っ最中に、新型コロナウイルスが蔓延。
国境は封鎖され、飛行機はキャンセルになり、異国の地でのロックダウン生活。
街中がパニック、一人心細く、早く帰国したいと願う毎日……になるかと思いきや、
彼女は「いっそのこと、ここに住もう!」と決め、ペルーで生活を始めた。

ペルーで暮らして、早4年。
現地からお届けする、予想外で刺激的な日々。


 

いつもお世話になっている大家さん一家が、母の日のお祝いをするらしい。朝から兄弟家族が大集合している所に、私もお邪魔することにした。1ヶ月前に大家さんの姪っ子に子どもが産まれ、そのお祝いも兼ねているらしく、総勢30人ほどが集まった。

みんなで向かったのは、近所にある見晴らしのいい広場。そこで土をならし、石を積み重ねて即席窯を作り、中で芋を焼くのだという。この調理法をHuatiaと呼ぶそうで、インカ時代から伝わるアンデス地方にしかない風習で、雨の降らない5~7月の乾季限定で行われる伝統的な行事らしい。
その辺に落ちている石を砕きながら、4人がかりで石を積み重ねていき、絶妙なバランスのドーム状にする。さらに小石で隙間を埋めて、中にしっかり蒸気がこもるようにして窯を作る。

枯れ葉や枝を集めてきたら、火を起こして少し水をかけ、蒸発具合を確認する。石が充分に熱くなっているのを確認したら、ドームの中に土がついたままの芋をそのまま入れ、ドームを崩して蒸し焼きにするという超ワイルドな料理だ。
日本でなら焼き芋はアルミホイルに巻くのが普通だと思っていたが、インカ時代にそんなものはないかと納得。

焼けるまでの間は、遠くにペットボトルを立て、石を投げて当てる遊びで盛り上がっていた。日本ならみんなスマホで時間を潰しそうだが、日本で子どもの頃にしていたような遊びを、ペルーでは誰もが現役で楽しんでいる。

焼き立ての芋は土だらけなので、皮をむいて食べる。手は泥だらけになるけど、ホクホクで素材の味がしておいしい。芋だけでなく、肉や魚を焼く地域もあるらしいが、ここでは芋と空豆だけだった。これだけの労力を使って釜を作るなら、色々焼いたらいいのに……と、1人思っていた。

焼き上がる頃には、女性チームがスープと鱒のグリルを持って登場。芋はあくまで副菜という位置づけらしい。

最後に、大家さんの妹(50歳)と、その娘(20代後半=新米ママ)がスピーチをした。すべての内容を理解できなくて悔しかったけど、涙ながらにスピーチする妹さんが非常に情熱的で、無事生まれてよかったねと、思わずもらい泣きしそうになった。

ペルーでは大抵、家族や親戚が近所に住んでいる。クスコには幼稚園や学校がたくさんあり、サポート体制も整っていそう。建設中のビルも多く、国内2番目の規模の空港も建設中だ。景気がよさそうだなぁ、人々も陽気だし、人口も減っていないだろうなと調べてみると、案の定そうだった。ペルーの未来は明るい気がする。
そういえば、移住してからたくさんのペルー人に出会ってきたが、未だに一人っ子には出会ったことがない。一人っ子の私は大家族を見ると、コメディーを見ているような気持ちになり、いつも元気をもらえて癒やされている。


△愛犬マチルダも一緒に参加。

 

今月のスペイン語

*次回は8月2日(金)更新予定です。

イラスト・写真/ミユキ


Written by ミユキ
ミユキ

旅するグラフィックデザイナー、イラストレーター
広島出身、武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒、在学中よりフリーランスとして広告、ロゴ、エディトリアルデザインなどを手掛ける。
ロンドンに2年間の語学留学、オランダ・セントヨースト・マスターグラフィック卒業後、個人事業主ビザを取得しアムステルダムに12年居住。
ヨーロッパ全域を含む訪れた国は50カ国以上、旅先では美術と食を軸に、ダイビングや運転もする。
主な作品:ギリシャ・クレタ島の大壁画、ハイネケン Open Your World、モンスターズインク・コラボイラスト、豊島復興デザイン等、15年前からのリモートワークで、世界のあらゆる場所で制作。
HP:http://miyuki-okada.com
X(旧Twitter):@curucuruinc
Instagram:@curucuruinc

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