悲しみや不安を無理に乗り越えなくてもいい

悲しみや不安を無理に乗り越えなくてもいい



ついつい頑張りすぎてしまったり、
ちょっとしたことを気にしすぎて傷ついたり、落ち込んだり。
生きづらさを抱えたすべての人へ贈る
イラストレーター・なおにゃんのイラスト&メッセージ。


年末、父の癌が判明した。母からそれを聞かされた直後は電車で泣きながら帰省した。

自分もショックであったが、母のショックはそれ以上で、今にも心が押しつぶされそうになっていた。そんな母を見ているのがつらかったし、娘である自分がしっかりして、なんとかこの悲しみを乗り越えなくてはと、明るく、気丈に振る舞おうと努めていた。

でも、次第にそれもなんだか違うような気がしてきた。常に嘘の自分を演じているような違和感があったし、何よりそんな自分に疲れてしまっていた。
悲しみは、悲しみである。無理に蓋をしなくてもいいんじゃないか。
そう思って、一人になった時、試しに泣いてみた。声を出してワーッと泣いた。すると、張り詰めていた心が不思議と緩み、心が少しだけ軽くなった。これでいい。

いくつになっても、悲しいものは悲しい。つらい時こそ、無理に乗り越えたりしなくていい。悲しみも、つらさも素直に認めたい。弱い自分を受け入れよう。弱さ、上等。
そう心の中で言葉にした瞬間、だいぶラクになれた。

今日のひとこと

悲しみも怒りも、等しく自分から生まれた感情。
少なくとも自分の中では認めてあげたい。

 

今日も一歩も外に出なかったけどいい一日だった。
著:なおにゃん
発行:KADOKAWA

*次回は9月19日(木)更新予定です。


Written by なおにゃん
なおにゃん

茨城県出身。大学卒業後、希望していた出版社に就職するが、職場環境に合わずうつと適応障害と診断されて2度休職する。その後、退職。2020年5月よりX(旧Twitter)でメンタルに関するつぶやきを始めたところ、「共感できる」「心がラクになる」と反響を呼び、フォロワー数は20万人を突破。現在はイラストレーター、絵本作家として活動しながら、猫たちとのんびり暮らしている。著書に『うつ吸いイラスト帳』(永岡書店)、『100年後にはみんな死んでるから気にしないことにした』『うつ逃げ』(ともにKADOKAWA)。
X(旧Twitter):@naonyan_naonyan

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