つるりと喉越しのいい蕎麦と揚げたての天ぷら 田園調布【兵隊家】

つるりと喉越しのいい蕎麦と揚げたての天ぷら 田園調布【兵隊家】


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月一で通っている行きつけのお店、ハレの日のとっておきのお店、
ちょっとニッチで穴場的なお店……。
食いしん坊のファッションライター・arikoさんがつづる
新しい偏愛レストランガイド。

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仕事でお世話になっている会社が近くにあるので、打ち合わせの合間のランチにサクッとお蕎麦でもという時にお邪魔しているのが今回ご紹介する兵隊家さんだ。


邸宅が建ち並ぶ田園調布の住宅地の中にポツンとある趣深い一軒家は創業1923年。小さな坪庭を備えた風情ある佇まいとどこか懐かしい昭和の香りのする雰囲気に癒される。兵隊家という風変わりな店名は初代の店主が近衛連隊の軍人だったことが由来だそう。

主役の蕎麦は石臼、田舎、手打ちから選べ、おつまみに欠かせない玉子焼きや揚げだし豆腐、丼ものに蕎麦とのセットとメニューも豊富。まさに街のお蕎麦屋さんのお手本のよう。


つるりと喉越しのいい中細打ちの蕎麦にちょっと甘めのつゆという組み合わせが親しみすい。カラッと揚げたての天ぷらも気前よく、昔ながらの具沢山の天丼はほどよくタレがたまらない。

お昼時には、天丼に蕎麦、煮物の小鉢まで付いたセットが1,200円とこちらが申し訳なくなってしまうほどのお値打ちセットも。お腹もお財布も大満足間違いなしだ。

ちなみに蕎麦が美味しいのはもちろん、うどんもなかなか。中でも鍋焼きうどんはファンが多い隠れた逸品だそう。私の友人もそのひとり、一年中、鍋焼きうどんをリピートしているらしい。

また、蕎麦屋の出前に欠かせないスーパーカブを使い始めたのはこの店から。ホンダの創始者、本田宗一郎氏の「スーパーカブは蕎麦屋に向いている」とのひと言でスーパーカブの広告第一号のロケ地としてこの店が選ばれたのだそう。

お店の片隅にはご自由にお持ちくださいと揚げ玉が置かれているのも嬉しいサービス。いつもひとつか、ふたつありがたくいただいて帰っている。この揚げ玉を温めて豆腐に乗せたたぬき奴がまた絶品なのだ。

DATE

兵隊家(へいたいや)

住所 〒145-0071  東京都大田区田園調布3-14-10
営業時間 11:00~15:00/17:00~20:00
定休日 木曜日
電話番号 03-3721-3406

*次回は9月13日更新予定です。

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Written by ariko

CLASSY.、VERY、HERSなどの表紙やファッションページを担当する編集ライター。日々の食卓をポストしているInstagramが、センスあふれる美味しそうな写真と食いしん坊の心を掴む料理で話題に。著書に『arikoの食卓』シリーズ、『arikoの黒革の便利帖』(共にワニブックス)、『ありこんだて』(光文社)、 『2品で満足 arikoの家和食』(講談社)など多数。
Instagram:@ariko418

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