
「ホッコリ味わい系」が今の台湾クラフトの特徴。作家ものの茶道具が並ぶ、ギャラリーが融合したお茶屋さん
優美でおいしい台湾茶。
淹れ方やお作法のハードルが高そうだけど、実は自由に楽しめるもの。好きなところをつまみながら自分の茶道を探す、台湾在住コーディネーター・青木由香さんのお茶ごとエッセイ。
台湾のいいところ。それは、例えば、素敵なお店のスタッフが話しやすいとか、“おしゃれ領域”でもとっつきやすいところ。
陶器、銀工、布ものなどお茶周りの台湾クラフトを企画展示する素敵なお店「清山寶珠(チンシャンバオズー)」の店主、ルビーさんも、力が抜けててナイスな話しやすい人です。お店と同じ名前で台湾茶のブランドもされています。
茶道具にお金をかけない私ですが、常に進化し続ける台湾茶周りは定期的にチェックしてて、「清山寶珠」のInstagramもフォローしています。入荷される茶道具を眺めては、色んな作家を知ってるなぁと感心しているのですが、最近はすっかりご無沙汰していました。そういうことで、久々にお店を覗きに行ってみました。
久しぶりの、生ルビーさん。あー、そうだ、こんなポヨ〜ンとしたいい感じの人だった。日本も、おしゃれショップの店主がこんなだったらどんなにとっつきやすいか。“生ルビー”って生ビールみたいとか思いつつ、生を久々に噛み締める。
お店は、喫茶をなくし、展示スペースが広くなっていました。スタッフ女子2名が同時産休中ということで、ルビーさん1人でできるこのスタイルで今はやっています。
2025年夏ごろには喫茶を再開したいとおっしゃってますが、企画の展示以外に常設販売も前よりしっかりとものがあって、茶葉やバラエティ豊かなお茶周りのクラフトが取り揃えられているので、お店に確実にルビーさんがいて直接説明もいただける今の感じも貴重です。焦らなくてもいいんじゃないかな。
△この取材で訪れた12月下旬~1月上旬の期間は、優しい色使いが特徴の、台湾の若手テキスタイルデザイナー・PÊIHU氏の布と、その布で作った服の展示。基本的に木工、銀工、ガラス、陶芸と工芸全般の展示がある。
PÊIHU氏のInstagramはこちらから。
△馬告(マーガオ)や文旦(ぶんたん)など台湾在来植物を使用し、台湾の土地の香りを閉じ込めたフレグランスブランド「眠脳(ミンナオ)/ minnao」。写真は、ボトルがおしゃれなルームフレグランス。スプレータイプもあって、香りは6種類から選べる。
「眠脳(ミンナオ)/ minnao」のHPはこちらから。
お茶の方は、「清山寶珠」の主力商品は、文山包種茶(ウェンシャンバオヂョンチャー)。実は、ルビーさんのご実家は、台湾北部のお茶の名産地、文山地区の坪林(ピンリン)のお茶農家さん。文山包種茶が有名なエリアです。
ご高齢のご両親はすでに茶業をリタイアして一時茶作りは途絶えていたところ、ルビーさんのお兄さんが茶畑を復活させ、中国でバリバリ内装デザイナーをやっていたルビーさんが台湾に戻り、台湾茶のブランドを立ち上げたのが7年前。
このバックグラウンドで、「清山寶珠」の文山包種茶は、エレガントなパッケージでありながら直売価格、50g400元(日本円で約2,000円)で売られています。おしゃれにしても“オシャレ代”が乗っていない手軽さ。お土産にしやすい! 文山包種茶は、連載の第3回目でも紹介しているので、どんなお茶か気になった方はそちらを読んでみてください。
“オシャレ代”といえば、これからはパッケージを簡易化していくとおっしゃっていました。ギフト用は、箱やパッケージを別途販売で対応。箱詰めが1人で大変なんだとぼやいてましたが、茶葉の価値をパッケージで上げる傾向が強いお茶の商いで、こういう切り替えをさっさと判断できる。ニーズに合わせたフレキシブルなところが、おしゃれでもとっつきやすいんでしょうね。ぜひ包種茶と台湾のお茶周りクラフトを探しに行ってみてください。
今日の一杯。白茶(バイチャー)
緑茶も烏龍茶も紅茶も、揉捻(じゅうねん)というお茶を揉む工程があります。よって茶葉の形は捻れていたり、丸まっていたりしますが、白茶は摘んで日に干しただけ。刺身や白米のように茶葉の良さをストレートに伝えるため、特にいいお茶を小細工ナシの白茶にします。茶水(ちゃすい)の色は透明に近いですが、甘さがあります。
白茶にお湯を注いでいる時、ルビーさんが「濡れた落ち葉みたいで、綺麗だよね。」と呟いていました。なんとも言えない風情があって、ほんとその通りです。これを飲んでると、ちょっとツウっぽいイメージもつきます。
「清山寶珠」
住所 台北市信義區富陽街72巷19號
営業時間 13:00~18:00
定休日 日曜~火曜
TEL (+886)2-2737-3777
Instagram(TW) @honestea.tw
公式HP(TW) www.honestea.tw
*次回は3月3日(月)に公開予定です。
\青木さんのお店もチェック!/
『你好我好(ニーハオウォーハオ)』
https://www.nihaowohao.net/
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『暮らしの図鑑 台湾の日々』
著:青木由香
発行:翔泳社