【前編】映画『サブイボマスク』ファンキー加藤&一雫ライオン

【前編】映画『サブイボマスク』ファンキー加藤&一雫ライオン


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映画『サブイボマスク』は、寂れた田舎町の商店街を歌の力で復活させる青年・春雄の奮闘を描くハートフルなドラマ。
熱いハートを持つ主人公・春雄を演じるのは、ソロアーティスト、ファンキー加藤さん。
この作品で映画初主演を果たします。そして脚本を手掛けるのは、俳優として活動後、35歳から脚本家に転身した気鋭の脚本家・一雫ライオンさん。
俳優として第一歩を歩みだしたばかりのアーティストと、遅咲きの人気脚本家。歩んできた道は違えど“熱い男”という共通項がある両者だけに、対談は大いに盛り上がりました。そんなおふたりのロングインタビューを前後編でお届けします。

2013年に、3人組の音楽グループ、FUNKY MONKEY BABYS が解散。以降、ソロアーティストとしてファンキー加藤は、武道館公演などを成功させてきた。そんな彼が満を持して映画初主演することで話題になっているのが、この『サブイボマスク』だ。
台本を執筆した一雫ライオンは、門馬直人監督の長編デビュー作でもコンビを組んだ監督の盟友。11年に映画『前橋ヴィジュアル系』で頭角を現して以来、意欲的に映画やドラマの数々を生み出している。

実は「この日が初の顔合わせ」というふたり。
この映画に音楽畑一筋でやってきた加藤が抜擢された経緯とは? 

 

ファンキー加藤、主演大抜擢も一度はお断りに
制作陣の熱意がプロジェクトを大きく動かす

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ライオン「最初は、プロデューサーから『スパイダーマンみたいなヒーローじゃなくて、地方の小さい町を救う地元民のヒーローってどうですかね?』という企画の話を聞きまして。それは面白いじゃないかと。当初は普通に俳優さんの主演を想定していたんですが、企画会議の段階で“熱血漢の青年が歌う”という設定が出てきて、その時に主演はミュージシャンの方がいいんじゃないかという話になったんです。で、台本の第2稿ぐらいの時に『ファンキー加藤さんでオファーしてみる』という話を聞いたんですよ」 

「企画の初期から、春雄役としてファンキー加藤さんの名前が挙がっていた」という制作陣に対して、加藤にとっては俳優初挑戦の話は、自身からの希望ではなく降って湧いたオファー。
「あまりにも主演というものにびっくりしまして。オファーは一度、お断りさせて頂いたんです」と加藤は話す。
そのリアクションに制作陣は、静まり返ってしまったという。

ライオン「正直申せば、オリジナル映画なので、主演の方が決まらないと企画が終わっちゃうんですよ。だから、一度、断られた時にはプロデューサー、監督、僕とでかなりシーンとした状態になりました(笑)」

加藤「やっぱり、いきなり主演で主題歌も、ということになると未知の世界ですし、そんなビッグプロジェクトを背負うほどの勇気はなかった。恐れ多いというか、荷が重いというか。びっくりしちゃったんです」

マイナスに傾いていた加藤の心をひっくり返したのは、制作陣の熱意だった。

加藤「監督やプロデューサーさんの説得と、ライオンさんも人づてに沢山の愛を持って説得してくれたのに加え、事務所の後押しもありました。社長からも『誰かに必要とされてるということは、凄く幸せなことじゃないか?』という話をされて……。それで決断しました。『やる!』ってなったらスイッチ入れなきゃってなるんですけど、いつも決断に時間がかかっちゃうんですよね。毎回そうなんです。

例えば、ソロになって初めてのワンマンライブが武道館だったんですけど、それも僕、一度断ってるんですよ。FUNKY MONKEY BABYSを10年間やってたんで、ひとりで歌うなんていうのは久しくなかったですし。でも、僕にデカい仕事を持って行くと一度は断るということを事務所はわかってるんですよ。だから、事務所も一度は持ち帰るんです。それでまた説得すると、僕がOKを出すという。ニンジンのぶら下げ方が上手いんです(笑)」

 


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