旬を美味しく食べて整う食養生 早稲田【旧雨】

旬を美味しく食べて整う食養生 早稲田【旧雨】


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月一で通っている行きつけのお店、ハレの日のとっておきのお店、
ちょっとニッチで穴場的なお店……。
食いしん坊のファッションライター・arikoさんがつづる
新しい偏愛レストランガイド。
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薬膳の中国料理と聞いて、これまでなんだか特別なものだと思っていた。昔から良薬は口に苦しなどというくらいだから、初めてこちらを訪れた時は、変わった食材、個性の強い生薬……そんなイメージを持って、少し身構えながら恐る恐る足を踏み入れた。それが出された前菜をひと口食べただけで、杞憂であることがすぐにわかった。

どの料理も優しく身体に寄り添いながらも緩急のある構成で、目を丸くするほどの美味しさ。次に何が出るのかワクワクが止まらない。

初めて訪れたのは猛暑が続く夏の暑い日、出されたのは小ぶりの冬瓜を丸ごと蒸し上げたスープ。まず見た目の美しさに目を奪われ、ひと匙すくって口に含めばその滋味深さがすっと身体に染み渡る。まるで食べる点滴のような一皿だった。

次々に出てくる料理はどれも季節の食材を生かして、軽やかに仕上げられているが、恐ろしいほどに手間ひまがかかっているのは素人の私にでもわかる。

口に入れた途端にとろりととろける煮凝りもふわっふわのレバーもこれまで口にしたものとはまったく違う、ちょっと大袈裟に言えば異次元の食感なのだ。


ご主人は「高級営養薬膳師」を取得され、中国医学に通じ、生薬の使い方にも長けた薬膳の達人で、心身を優しく整える食養生を実践されている。薬膳の名店「古月 新宿」で腕を振るった後、西早稲田の穴八幡宮に近いこの場所に新たにお店をオープンされた。


通りから路地を入った場所にポッとあかりの灯る隠れ家のような空間はセンスあふれるシックなインテリアにも心躍る。

旬の食材を軽やかに仕上げたコースはあえて生薬を使うことなく、誰が食べても美味しく、それでいて季節ごとに出やすい不調が少しでも和らぐような料理を出しているそう。


臨場感のあるカウンターキッチンで作られる締めの一品は名物の自家製練り込み麺。パスタマシーンを使って目の前で麺が出来上がっていくのを眺められるのが楽しい。

お腹いっぱいなのに、アラカルトで頼める麻辣豆腐も追加して、さらに満腹満足。穏やかで優しい時間を過ごしつつ、美味しく食べながら食養生できるこの場所に季節ごとに通いたくなる。

DATA

旧雨(きゅうう)

住所 〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2-3-21 ケイビル1階
営業時間 17:00~19:30スタートでご予約いただけます。
※滞在時間は3時間程度を目安としております。
定休日 月曜・日曜
Instagram @kyuuu_waseda
※完全予約制です。ご予約はInstagramのDMにてお問い合わせください。

*次回は5月23日更新予定です。

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