【INTERVIEW】山崎大輝/『宇宙戦隊キュウレンジャー』でナーガ/ヘビツカイシルバーを熱演! “感情”を捨てたヒーローをどう演じているのか?

【INTERVIEW】山崎大輝/『宇宙戦隊キュウレンジャー』でナーガ/ヘビツカイシルバーを熱演! “感情”を捨てたヒーローをどう演じているのか?


現在放送中のスーパー戦隊シリーズ第41作『宇宙戦隊キュウレンジャー』。史上初となるスタートから“9人組のヒーロー”という設定の中で、ヒーローのひとりであるヘビツカイシルバー/ナーガ・レイ役を演じるのが、山崎大輝だ。ナーガの属するヘビツカイ座の種族は争いを避けるために感情を捨てたのだが、その中でもナーガは捨てたはずの感情に興味を持っているという設定。この難しい役どころに、どう挑んでいるのか。

撮影/浦田大作 文/池上愛

 

――『宇宙戦隊キュウレンジャー』ナーガのビジュアルのせいか、テレビの雰囲気と全然違いますね。

「髪の毛、肌の色、コンタクトレンズもしていますからね。この格好が通常です(笑)」

――オーディションでナーガ役を射止められたということですが、どんなオーディションだったのか教えて下さい。

「スーパー戦隊のオーディションという以外、何もわからない状態でした。最初に台本をもらった時は、男のキャラクターは4人登場していて。もちろん役名は書かれていなかったんですけど、ラッキーのような役と、スティンガー(サソリオレンジ。クールで口数の少ない謎めいた男)のような役、あとスパーダ(カジキイエロー。料理人で、仲間から頼られている)っぽい役、ナーガっぽい役があって。それぞれの役をいくつか演じていく形でした。それでオーディションが進むに連れ、だんだんとスティンガーっぽい役を演じてと言われることが多くなったんです。心の中で“あ、この役がハマっているのかな? だったらしっかり演じてモノにしよう!”と思っていた矢先、その次のオーディションでは、違うキャラクターの役を演じてということになって(笑)。“うわ、もう全然わからない!”とやみくもに演じました。それが最終オーディション。で、『合格です。ヘビツカイシルバーのナーガ・レイに選ばれました』と言われたのですが、そもそもシルバーはどの役なんだ? と(笑)。そしたら無口でクールなキャラクターだと聞かされて、僕はこの役柄になるとは全く思ってなかったので、正直びっくりしました」

――自分でも驚くようなキャスティングだったんですね。シルバーに選ばれた理由など、プロデューサーや監督から聞きましたか?

「受かった5人のメンバーとスタッフさんとの顔合わせの時に言われたのは、“オーディションの時に伝わってくる情報量が圧倒的に多かった”というものでした。中でも僕は、“感受性が豊かで喜怒哀楽が激しいタイプだからこそ、その感情を抑える役をやってほしかった”と。“感情のないナーガが、徐々に怒ったり喜んだり、感情を覚えていく様子を演じてほしい”と仰って下さいました」

――ナーガの『感情がほしい』という夢を叶えた時に、山崎さんの持ち味が発揮されそうですね。

「そうだとしたら嬉しいです」

――そんな言葉を頂いて、改めてナーガに対する役作りはどのように臨みましたか。

「一番最初、ナーガはもっとクールなヤツだったんです。言ってしまえば、感情がないからこそ残虐な面を持つ男でした。ですが、脚本の毛利亘宏さんはあて書きをする方で、僕達が本読みをする様子を見て、少しずつ役のキャラを変化させていかれたんです。そこで徐々に今のナーガになりました。僕の中でナーガは、内には凄く熱いものを持っている、でもそれを感情表現出来ない、そしてその感情がなんなのかわからない、というような人物です」

――今の自分の“気持ち”が“感情”だとわからない。

「そうです。色んなものに対して感情が上手く湧かないからこそ、物事の真の部分を捉えるのが上手いというか。ほかの人とは違う部分を持ってる人なんじゃないかな。真面目だからこそ感情というものも欲しい、そこは一直線ですよね。恥もないですし、もしかしたら単純に恥の感情がないだけかも知れないですけど」

――感情のないセリフって、どう意識して声を出していますか?

「ナーガって感情はないけど、相手にこのことを伝えたいとは思っているはずなんです。だから、ちゃんと相手に伝えられるように、ということを意識して喋るようにしていたら、結果的に喋るのが遅くなってしまいました(笑)。抑揚に関して言うと、感情があるからこそ出てくるものだと思うのでなるべく付けないようにしています。抑揚をつけず相手に思いを伝えることを表現しようと思ったら、今の喋り方になりました」

――人物像は台本を読みながら膨らませているんですか?

「基本はそうです。あとは相方でもあるバランス(テンビンゴールド。絵に描いたような八方美人)というキャラクターがいるので、バランスと一緒にいることで生まれるものもあります」

―なるほど。

「でも、まだまだ謎が多いので、これからわかってくる要素もあるかもしれないですね」

――バランスを演じられているスーツアクターさんとのコミュニケーションも重要になってきそうですね。

「そうですね。コミュニケーションは凄くとっていると思います。バランスとナーガはふたりでひとつだと思っています。セリフがないようなシーンでも『ここはどう動く? これやっちゃう?』と話し合っていますね」

―やっちゃうっていうのは?

「話の大筋を別のキャラが進めている時に、例えば、画面の端っこで『こう動いてみる?』ということをやったり。バランスのスーツアクターさんは凄く話しやすい気さくな方なんです。バランスのこと凄く考えてらっしゃいますし、僕のナーガのことも考えて下さっていて。だからこれはちゃんと僕も真剣に向き合わないと、という気持ちで臨んでいます」

――ナーガのスーツアクターさんとのコミュニケーションはいかがですか?

「ナーガという人物像を初めてみたのは、スーツアクターさんの演技なんです。というのも、映画『ニンニンジャーVSジュウオウジャー』で初めてお披露目になっているので、僕が演じるよりも前にキュウレンジャーの姿というのはあって。その動きに合わせてアフレコするのが、最初の演技でした。それでいざ映像を見ていたら、ナーガがダンスをしていたんです(笑)。僕は勝手に、感情がないから無駄のない動きで闘うのかなと思っていたので、びっくりしました。そこでちょっと戸惑った部分もあるんですが、ダンスしながら闘うその映像を見たことで、戦闘シーンではない素面のシーンでの居方というのは想像しやすかったですね。だから僕とスーツアクターさんの中で、ナーガという人物像のズレは少ない。わりと同じベクトルで考えられていると思います。僕がお芝居の中で見せた仕草を、戦闘シーンで使って下さったりもしました」

―そうなんですね。

「早速使ってくれていました。だから僕も演技は参考にします。話し合いをやるぞ! といってやることはないかもしれません。ただ、バランスのスーツアクターさんとヘビツカイシルバーのスーツアクターさんと3人で話をすることはあります。監督もローテーションで変わり、その監督によっても見せ方が変わっていきます。なのでこの3人で、どういう風にキャラを見せていきたいのかを摺り合わせしている感じです」

――現時点で、山崎さんはどう見せたいですか?

「ナーガは凄く可能性に溢れていると思っているので、かっこよくも出来るし、面白くも出来る。そこのバランスを保っていたいと思います。これが面白いだけになっちゃったら、それはヒーローじゃないので。かっこいいんだけど、でもちょっと面白い。でも真面目…でもやっぱりかっこいい! みたいな(笑)」

――わかる気がします(笑)。ところで、初めてスーパー戦隊に出演して、びっくりしたことはありますか?

「最初にびっくりしたのは、スーツアクターさんも喋ってるんだ、ということですね」

――あぁ、実際には声は放送されないけれど、喋っていると。

「特に今までは考えたことなかったんですけど、今思えば喋りながら闘いますよね。無言で闘う訳はないか、と今ならわかります(笑)。視野も狭い中凄く動いているし、本当に凄い。スーツアクターさんの演技や動きに一番ビックリしました。あと、変身する時のポーズも、素面の僕らと全く同じ立ち方で立って頂くんです。『変身』と言ってポーズをとる、その次にスーツアクターさんの動きになる訳ですが、その立ち位置や形も、監督から『重心をもうちょっと右。行き過ぎたから戻して』と細かい指示を受けてポージングされているんです。いやぁ…本当に凄い! だから僕も変身する時のポーズは、綺麗にお渡ししたいなと意識しています」

――話を聞けば聞くほど、プロのなせる業ですね。

「本当に尊敬します」

――素面でのアクションも多いと思いますが、運動神経はいいほうですか?

「運動神経はあると思うんですけど、運動不足です」

――運動不足(笑)。やろうと思ったら動ける訳ですね?

「そうです。敢えてしないスタンス。まだ本気出してない系です(笑)」

――本気が見られる日を期待しています(笑)。ではアフレコに関してはいかがですか?

「初めてアフレコに入る前に、声優さんの見学をさせて頂いたんですよ」

――神谷浩史さん、大塚明夫さんら豪華声優陣ですね。

「めちゃめちゃ豪華です。そんなアフレコを見学させて頂いたんですが、テスト映像を見ただけですぐ本番。そのスピードにびっくりしました。と同時に不安も…。最初は本当に無理で、何回か繰り返し映像を見ないと本番が出来ないこともありました。今、ようやく慣れてきたところです」

――難しいセリフはあるんですか?

「みんなでセリフを合わせるところですね。『宇宙戦隊キュウレンジャー』という決めゼリフを合わせて言う時、どうやって揃えるかという」

――どうしているんですか?

「最近みんなで話していたのは、“宇宙戦隊”と“キュウレンジャー”のセリフの間の映像に、ガル(オオカミブルー)の前足が動くことを発見したんです! 前足が動いた時が“キュウレンジャー”の“キ”の合図(笑)。ガルの前足を基準にセリフを言うとピッタリなんですよ。でもガルが必ず戦闘シーンにいるとは限らないので、ガル以外の頼りを探さなくちゃ(笑)」

――いい発見ですね(笑)。お話を聞いていると、本当に感情豊かな性格なんだな~と思いました。ファンの方々にとっては、新しい山崎さんが見られている貴重な役なんでしょうね。

「これまで舞台を何度かやらせて頂いていますが、その都度色々な顔が見せられているかなと思います」

――自分の性格と違うキャラクターを演じるのは魅力に感じますか?

「そうですね。最近特にそう思います」

――最近、ですか?

「何かきっかけがあった訳ではないんですが、色んな役を重ねていくことで、ファンの方から『この作品が良かった』『このキャラが好き』という言葉をもらえるようになって。そこで色んな役を演じてきてよかったなと思うようになりました。特にナーガを演じて思うことは、イチからキャラクターを作り上げることが出来るということ。これまでは原作があるキャラクターを演じることが多かったので、しっかりとした性格が出来ているものを演じていました。それはそれでやり甲斐があって楽しんですけど、このナーガに関してはゴールが決まっていないので、自分の演じ方次第で変わっていく。そこが面白いです」

――ゴールがわからないからこその難しさはないですか?

「めちゃめちゃあります。僕はこう思って演じていたけど、話が進むに連れて違った! ってこともありますから。ナーガは2話から登場しましたけど、その時点で、随分あとに公開される映画の撮影もやっていたんです。物語の最後の最後までからんでくるようなものを。でもテレビではまだまだ序盤なので、どうやってこの映画の話になっていくんだろうという過程はわかっていません。そこは難しいですけど、答え合わせが出来ていくので面白くもあります。おお、辻褄があってきたぞ! という発見があったりもして」

――山崎さんはナーガを1年演じることで、この先どうなっていたいですか?

「今の時点でも結構成長している実感があります。それはスーツアクターさんやスタッフの方々に色んなことを教わっているからです。だからその成長を越えて……役を本当に自分のものにしていきたい。今この現場で演じきったあと、ほかの現場に行った時に、ちゃんと自分のものになっていれば嬉しいです」

 

・ 作品情報
『宇宙戦隊キュウレンジャー』
監督/柴﨑貴行
出演/岐洲匠 岸洋佑 山崎大輝 大久保桜子 榊原徹士 ほか
制作/テレビ朝日 東映 東映エージエンシー
テレビ朝日系にて毎週日曜あさ7:30~放送中

(C)2017 テレビ朝日・東映AG・東映
公式サイト:http://www.tv-asahi.co.jp/kyuranger/
Twitter:https://twitter.com/kyuranger_toei


・プロフィール
山崎大輝/やまざき・たいき

1995年10月3日生まれ静岡県出身。2010年に第23回ジュノンスーパーボーイコンテストで審査員特別賞を受賞。11年に俳優デビュー。ミュージカル「忍たま乱太郎 第三弾~山賊砦に潜入せよ~」、ミュージカル「AMNESIA~re:again~」、2.5 次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージなど舞台で活躍。『宇宙戦隊キュウレンジャー』が連続ドラマ初出演となる。


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