
【日本〇〇ブス図鑑】モテたい科/いい女系ブス
「いつもどうもありがとうございます」
平たく言うと「モテたいブス」である今回のブスですが、他のブスと決定的に違うところは「以前は自分のことを絶世の美女だと思っていた」ところから始まります。
幼少時代、自分を絶世の美女だと思って過ごしてきた「いい女系ブス」は、思春期を越えたあたりに周囲の対応で、
「あれ?私ってもしかして絶世の美女ではないのか…?」
と気がつくのです。
そして「美人だけど絶世ではなかった」という結論になり、その後、さも自分は客観的に幼少期からわかってましたよ。という風に「見せ方のうまいブス」としての地位を築いていくのです。
では彼女の目指す「いい女」とはなんでしょう。
街中で「ヒュウ!いい女〜!」と酔っぱらったオッサンから言われるようないい女は目指していないはずです(いや目指せるなら目指したいだろうが、第一印象でそこまで持っていけるブスは少なかろう)。
そう、目指す「いい女」は「味」。
グッとくる何かをにじみだせるかどうかが勝負所。こだわりのラーメン屋と同じ。
いい味を出すために厳選した具材を2週間煮込み、研究に研究を重ねて睡眠時間も削って、透き通るのにコクのある不思議でクセになるラーメンをつくる店主。
同じく、アイライン、アイプチ、グロス、ハイライト、シェーディング、涙袋ラメで煮込んでやっとこさ出来上がるなんだかクセになる秘伝のブス。
「第一印象で素敵だなって思われるために努力は惜しみません」
「いい女系ブス」とラーメン屋、双方の目指すところも同じ。
「売りたいために作ってるんじゃない。自分の納得のいく味をみなさんに提供したい。それだけ」
なんというプロ根性。
こんな魂を持った人が作ってるなんて、双方いいダシな予感がする。
こだわりのラーメン屋は言う。
「俺のラーメンの良さをわかってくれる人に出したい」
こだわりの秘伝ブスは頷く。
「わかる、私の中身をちゃんとわかってくれる人と付き合いたい」
なぜ「いい女系ブス」と「ラーメン屋の店主」の思考はこんなにも似ているのでしょう。
「あれ?○○さん今日のネクタイ素敵ですね」
「いつもの私服のイメージと少し違いますね」
相手の「全然意識してなかったけど、かかれたらかゆかった箇所」を目ざとく見つけ、やんわりと褒めていい気持ちにさせる。自分がこだわっているぶん、他店の味に対して敏感なんですね。
普通のブスといい女系ブスを見分ける方法は、喫茶店でコーヒーを持って来てくれたアルバイト店員に対しての笑顔の「ありがとう」。
「いい女系ブス」の場合、この「ありがとう」には“ぺーぺーの学生アルバイト店員にも礼儀を忘れない、私”という視点が入っています。
さらにアパートの管理人に対しての笑顔での「いつもご苦労様です」。ここにも“私以外にもみんな頑張ってるって知っている、私”という視点が含まれています。
これぞ秘伝のスパイス、「いい女系ブス」を作るのにかかせません。
大人の女っぽいトーンで「あなたより上感」を醸し出しながら口では謙虚。
ありがとう、いつもご苦労様です。
たった2つの言葉ですが、「いい女系ブス」の全てが凝縮されています。
妄想上、常に20メートル頭上にドローンを配置し、モニターから自分の行動や発言をチェックしながら生きている彼女は、今日もさわやかな笑顔で相手に接します。
なぜか?
自分がご機嫌に生きるため。
「自分の納得のいく味をみなさんに提供したい」というプロだからです。
結果、「なんかそのへんにいないブス」として認識されるようになり、ちょっと良い男をゲットできてしまうのです。とれるものは完全にかっさらっていきます。
同じブスでも、付け焼き刃でスマートぶっても決まりませんから、毎日の研究を怠らない秘伝のブスこそ出来る技。
きっとチャンスが来るタイミングも頭上の妄想ドローンからチェックしているんでしょうね。