【後編】一大ブームを巻き起こしている“ナゾトキ”の仕掛け人、松丸亮吾さんにインタビュー!


撮影/矢野寿明 
文/明道聡子

 

東京大学謎解き制作集団AnotherVisionの代表として団体を急成長させ、イベント、テレビ、書籍など、様々な分野で一大ブームを巻き起こしている“ナゾトキ”の仕掛け人、松丸亮吾さん。
そんな松丸さんが、今回、初の単独著書となる『東大 松丸式 数字ナゾトキ』を出版。
問題作りのこだわり、ナゾトキへの熱い想いからオフのときの過ごし方まで、伺いました!【前編はこちら

本の反響はありましたか?

はい! 「テレビの『東大ナゾトレ』とはまた違った楽しみ方ができました」という声がありました。テレビでやっているナゾトキは、その問題を目で見て解けないといけないですし、なんとなく番組を見ている人も楽しめるようなものがいいので、なるべくシンプルな問題を選ばなきゃいけないんです。それに対して、本で出すとなったら、ギミックを二重三重にしたりとか、あえて難易度を高くしたりというのを自由にできたんです。

それから、「子どもが“ぐぬぬ……”となりながら解いています」とか「小さい子どもが数字に対して親しみを持てた」とか「算数や数学が苦手な子に、一番最初に買ってあげたい本だ」といった声もあって嬉しかったです。
ママ友同士で勧め合ったりもしてくれているようです。

勉強嫌いのお子さんにも抵抗なく受け入れてもらえそうですよね。

そうですね。ナゾトキという言葉が、子どもにも楽しげに感じられるみたいです。算数っぽい問題も、算数の勉強っぽく見えないように工夫して問題を作っています。

松丸さんの普段について伺いたいのですが、問題を思いつくのはどんなときでしょうか?

ぼんやりしているときですね。ナゾトキの問題を作るのって2段階あって、「こんなことしたらおもしろいだろうな」という発案と、それを実際に実装する時間っていうのがあるんです。その発案の部分は、けっこう何もしていないときに思い浮かぶことが多いですね。

問題を作るときに、発案の部分が不足しているなと思ったら、あえて散歩に出かけたりとか、甘いものも好きなので喫茶店でくつろいだりとか、リラックスする時間を設けるようにしています。で、思いついたことを携帯とかにメモしています。

実装の時間は家でデスクワークですね。

実装するときはパソコンで作業されるのですか?

パソコンで作ることもあれば紙に書き出すこともあります。
あと、最近、部屋の壁を一面ホワイトボードにしたんです。机の上で紙に書いているときって、集中はできるけどリラックスはできないんですよ。だからひょんなことを思いつきにくいというか。実装しているときにもアイデアをひらめかなきゃいけない瞬間もあったりするので、ホワイトボードにしたらかなり効率が上がりました。

本の中にも、適度な休憩が大事だと書いてありますが、休憩のときはどんなことをされますか?

体を動かすことが好きなのでランニングをすることも多いです。あとはゲームセンターに行くこともあります。僕がよくやっている音楽ゲームは、体を動かす、ダンスのようなゲームなんです。

オンとオフを切り替えるコツってありますか? 何もしないようにしようと思っても、いろいろ考えてしまうという人も多いかと思います。

例えば僕の息抜きの場合、音楽ゲームをやっているときって「明日これをやらないと」なんて考える時間がないんですよ。目の前のものに対して全力で取り組まないといけないので。アクションゲームも好きなんですが、敵と対戦しているときに他のことを考えていたら負けちゃいますよね。ほかのことを考えなくてもいいような、ガッと集中して、全部を忘れられるような遊びを選ぶのがポイントかもしれません。

最近、ナゾトキのイベントなどには参加されましたか? 印象深かったものを教えてください。

宣伝になっちゃうかもしれないんですけど(笑)、東大謎解き制作集団AnotherVisionのイベントですね。
僕はずっと二代目代表として活動していたんですけど、今、四代目になっていて僕が一切関わらないイベントも増えてきたんです。今まではイベントの監修として関わることもあったんですが、この前、文化祭でやっていたイベントは、本当に僕が何も関わっていないイベントで。それがすごくおもしろくて、そろそろ僕も自立する時期だなと思いました。

イベント、テレビ、書籍などで活躍されていますが、今後はどんな活動をしていきたいですか?

僕には、ナゾトキというのを一過性のブームにしたくないという夢があるんです。
小さな子どもから老若男女誰もが楽しめる遊びって、もっともっと流行っていいと思うんですよ。映画を見に行くとか、ゲームセンターに遊びに行くとか、そのくらい気軽な感じで「時間あるならナゾトキに遊びに行こうぜ」ってみんなが行っちゃうくらい気軽に、ナゾトキという文化が定着したらいいなって思っています。

クイズとナゾトキを混合する人が多いのですが、クイズは知識が必要だから、誰もが楽しめるというよりは知識勝負な部分があったりするんですけど、ナゾトキはそういうことがないオープンなゲームなので、誰もが楽しめるものなんです。
そのナゾトキ文化を広めていく第一人者になれたらいいなと思っています。

最後に、この本をどのように楽しんでもらいたいかなど、読者へのメッセージをお願いします。

難しいことは考えなくてもいいので、問題を解いて、まずは楽しんでほしいなと思っています。どんな力が鍛えられたかとか、どんな意味があるかというのは、後から読み物として楽しんでいただけたら。

あと、友達とか家族に問題を出すこともできるので、ぜひ競い合ってみてください。お子さんと一緒に読む大人の方は、ぜひ負けないようにがんばっていただきたいですし、お子さんががんばっていたら、その考える力をちゃんと評価してあげてもらえたらうれしいです。「すごい!」とお子さんに肯定の言葉をかけられるきっかけになるのも、ナゾトキのいいところなのではないかなと思います。

 

【前編の問題の答え】

問題の図形を見てみると、正三角形と正方形の1辺は図1の通り、すべて同じ長さになります。
しかし、正方形の1辺の長さと正三角形の高さは微妙に異なることに注意が必要です。
ここで正方形の1辺の半分をⒶ、正三角形の高さをⒷとしましょう。

 この図形から左右の正三角形を切り離して2等分し、同じ長さの辺をくっつけるように組み合わせると、図2のように新しい大きな正方形ができあがります。
このとき、この正方形のそれぞれの1辺はⒶ+Ⓑとなり、これは図1にあるように10cmの半分の5cmであることがわかります。
正方形の面積は5cm×5cm25cm²
よって、答えは25cm²でした!

 

絶賛発売中!
東大 松丸式 数字ナゾトキ – 楽しみながら考える力がつく! –
松丸 亮吾:著

 

松丸亮吾
東京大学に入学後、謎解き制作集団AnotherVisionの代表として団体を急成長させ、イベント・放送・ゲーム・書籍・教育など、様々な分野で一大ブームを巻き起こしている“謎解き”の仕掛け人。AnotherVisionとしての著書『東大ナゾトレ』は、シリーズ累計100万部に迫る勢い(2018年9月時点)。現在ではクリエイターとしての個人活動も活発になり、その発想力を活かして謎解きのみならずドラマの脚本・トリック監修にも携わる。

Twitter @ryogomatsumaru
Instagram  @ryogomatsumaru