【フランス生活】お客さまは神さまではありません

【フランス生活】お客さまは神さまではありません



フランスの地方都市ナントで、フランス人パートナーと2人の子と家族4人で暮らしている大畑典子さん。
一級建築士の資格を持ち日本の建築事務所でバリバリと働いていた彼女が渡仏して約8年。
「シンプルな暮らし」を楽しむフランス生活で得たもの、捨てたものを、日々つれづれに綴っていただきます。


 

みなさん、いかがお過ごしでしょうか。
フランスの地方都市ナント在住の大畑典子です。

フランスに住んで8年、いいことも大変なこともたくさんありました。中でも、フランスのカスタマーサービスには良くも悪くもびっくりすることが度々ありましたので、今日は日本とのカスタマーサービスの違いについてお話しします。

日本ではレジでの会計時、店員はにこやかな顔で丁寧に接客してくれることがほとんどですよね。日本で生まれ育った私は、それが当たり前の接客態度だと思って過ごしてきました。学生時代、アルバイトで接客サービスの仕事をしたことがあり、そのような接客態度を当たり前に意識して仕事をしてきました。

もちろん「カスタマーハラスメント」と言われるような、いき過ぎたサービスを求めることは間違いだと思いますが、最低限のサービスとしてこの「にこやかに丁寧に接客する」ことは、「当たり前」だと思っていたのです。

そんな常識は、フランスに来てすぐ、スーパーでの買い物の際に覆されました。

フランスではお店に入った時や、会計時に挨拶をするのが基本なのですが、ある日スーパーで会計時に「ボンジュール」と挨拶したのにも関わらず、店員に無視をされたのです。それに彼女は無表情で少しイラついているようにも見えました。
それまで、客の立場としてそのような対応を受けたことがなかった私にとって衝撃は大きく、何も言うことができませんでした。
翌日、知り合いのフランス人にその話をしたところ、無愛想で接客されることはフランスではよくあることだそう。私が今まで常識だと思っていた「客にはにこやかに丁寧に接する」というのはフランスでは標準ではなかったのです。


△フランススーパーのレジでは座って作業するのがスタンダード。

実はフランスでは、“求められている職務”以上のことはしなくても、問題はないのです。上記のケースで言うと、レジ係の仕事は「商品をスキャンして代金を徴収する」のが仕事であって「笑顔で接客する」ことは仕事内容に含まれていない、という認識のようです。

日本では昨今、スーパーのレジ係は立って仕事をする必要はないのではないか、座って作業しても問題ないのでは、という議論がされていますが、店員はお客さまをお迎えするために立って(もちろん笑顔で)接客するべきだ、と唱える人は少なくありません。
フランスではどうでしょうか。実はスーパーのレジではほとんどのケースで店員は座って作業をしています。フランスでは、立って作業したところで商品をスキャンすることに何の違いが発生するのか、ということなのです。それなら座って作業した方が疲れなくて済むでしょうと。客に対して必要以上のサービスをしないと言うのが、フランスではスタンダードなのです。


△レジの台にはローラーが付いていて座っても作業が出来るような合理的な作りになっている。

しかし、その最低限すぎるカスタマーサービスにがっかりしてしまうことも多いです。あるお店で買い物をした時に会員登録をしているか聞かれ、パートナーの名前で会員登録をしていたので彼の苗字を伝えたところ、うまく聞き取ってもらえませんでした(彼の苗字は長くて日本人には発音も難しいのです)。しかもコロナ禍だったのでマスクもしていて聞き取りづらく、数分の間「いえ、E(ウ)ではなくU(ウ)です!」(UはEよりももっと口を尖らせた発音)のようなやりとりをしていて、痺れを切らした店員にキレられると言うことがありました。

私が店員だったら紙を用意して書いてもらうとか他の方法を提案すると思うのですが、そこで客にキレてしまうのが残念なところです。それ以来、店員にキレられるのを回避するために彼の苗字が書かれた保険証などを持ち歩くようになりました。

アジア人で女性であることがどれだけ影響しているかはわかりませんが、私は半年に一度くらいのペースで「店員にキレられ」ています。
最近でいうと、レストランで水差しを提供された時にテーブルにまだグラスがなかったので「グラスももらえますか?」と聞いたところ、「いっぺんに全てのことが出来ないのわかりますよね?」とキレ気味に言われたことがありました。結局、5分ほど待ってもその店員からグラスをもらえなかったので、他の店員からグラスをもらいました。

「お客さまは神さまです」の考えは私も行き過ぎだと思いますが、なぜ客にこのような不躾な態度を取れるのか、私は未だに理解できません。
こんな嫌なことがあった時は「あぁ今日は運が悪かった」と思って考えを切り替えるのが一番です。そんな術もフランスに来て身につけられるようになりました。

では、また次回。アビアント〜!

*次回は7月10日(水)更新予定です。


Written by 大畑典子
大畑 典子

フランスでのリアルな生活を、日常ブログや実際に体験したエピソードなどを通してYouTube『Nolie France / のりふら』で紹介している。
フランスの食卓の様子や休日の過ごし方など日常のVLOGをアップし、その豊かでほのぼのとした空気が人気を博し、チャンネル登録者数は13万人を超える。
日本の大学を卒業後、設計建築事務所で経験を積み、27歳で一級建築士の資格を取得。「海外でシンプルな暮らしを体験してみたい」という思いから2016年に渡仏。フランスの建築学科の大学院に留学し、語学を学びながら研鑽を積む。大学院在学中にフランス人のパートナーと出会い、第一子を出産。育児のため途中休学を経て、2020年に卒業。休学期間中に『Nolieフランス三人暮らし』でYouTubeデビュー。2021年に第二子を出産し、現在の形にタイトルを改めた。YouTubeのほか、音声メディアSNS『Voicy』やInstagramでの発信も行っている。
YouTube: Nolie France / のりふら
Voicy:アラフォーフランス生活異文化交流記
Instagram:@nolie_a_nantes

»この連載の記事を見る