【フランス暮らし】心を潤すフランスのバカンス文化

【フランス暮らし】心を潤すフランスのバカンス文化



フランスの地方都市ナントで、フランス人パートナーと2人の子と家族4人で暮らしている大畑典子さん。
一級建築士の資格を持ち日本の建築事務所でバリバリと働いていた彼女が渡仏して約8年。
「シンプルな暮らし」を楽しむフランス生活で得たもの、捨てたものを、日々つれづれに綴っていただきます。


 

長期休暇を取得できるフランス社会の仕組み

みなさん、いかがお過ごしでしょうか。フランスの地方都市ナント在住の大畑典子です。
今年のフランスはまだ7月になっても肌寒い日が続いています。しかし、多くのフランス人の胸は高鳴っていることでしょう。それは夏のバカンスを間近に控えているからです。このバカンス文化はフランス生活を語るうえで避けては通れません。

フランス人はバカンスの準備をとても早くから始めます。クリスマス休暇が終わった1〜2月ごろから滞在先の手配を始める人もいるくらいです。そして4月ごろになると「今年のバカンスはどこにいく?」と言った会話が友人との間で聞こえてくるようになります。そして休暇を終えた9月頃は「今年はどこに行ったの? どうだった?」という会話でひとしきり盛り上がるのです。
一年の約半分はバカンスのことに思いを巡らせているフランス人は、バカンスのために生きていると言っても過言ではないでしょう。


△シュノーケリングを楽しむ義父。

フランスでは夏のバカンスとして平均して2〜3週間の休みをとります。日本ではそもそも1週間以上の長期休暇を取得することすら難しい状況ですが、なぜフランスでは毎年何週間も休みが取れるのでしょうか。

それは、フランスでは法律で“年間5週間”の有給休暇取得が義務付けられているからです。さらにフランスでは2002年以降、国策として週35時間労働制を導入しています。仕事の都合上、35時間で調整できない企業は週39時間労働としているのですが、、毎週超過する4時間分は、年間15.2日(3週間)としてまとめて休暇を取ることが可能になります。つまり、働き方によっては年間で8週間の休暇取得が可能になるのです。

私のパートナーも年間で約8週間の有給休暇があるので、夏休み3週間、秋休み1週間、クリスマス休暇2週間、春休み1週間、ちょこちょこした平日の休み5日分、のような割り振り方をしています。

日本のような長期休暇の取りづらい生活をしていると、このような“働かない”フランスの働き方では社会は回らないのではないか、と思うかもしれません。しかし、これでもフランス経済は概ね問題なく回っています。むしろ、一人当たりのGDPは日本よりも高いのが現実(2024年現在)なのです。

 

大人も思いっきり楽しむ夏休み

もちろん、日本のようなきめ細やかなサービスはフランスでは期待できないことが多いし、日曜に空いているお店もほとんどありません。しかし、働く立場としての幸福度は日本よりも高いように感じます。

その秘訣は、やはりフランスのバカンス文化にあります。もうすぐ夏休みがやってくる、とわくわくした気持ちで働くことが出来れば、仕事とのメリハリがついて、働く時はしっかり働いて、休み時にしっかり休む、という気持ちのリズムが作りやすくなり、仕事の生産性も向上します。

日本では、無駄なく働いて短い労働時間の中で生産性を向上させるよりも、長時間働き、会社に貢献している姿を見せる方が重要だと考えている人も少なくありません。また、社会人になると引退するまで働き詰めになるので、遊ぶなら学生のうちにしておかないと、という意識があるように感じます。一度社会人になると長期的な休暇はほとんど取れないため、働くモチベーションが上がらず、生産性の低さに繋がってしまうことも要因にあるでしょう。


△地中海クルーズの様子。

夏休みは子ども達だけのものではないので、大人も思いっきり楽しみます。山ではハイキングを楽しみ、海や湖ではボートを借りて自由気ままなひと時を過ごします。子連れのハイキングでは、まだ山道を登るには厳しい子どもを登山用ベビーキャリーに入れて、長時間のハイキングを楽しみます。子どもと大人のアクティビティを分け隔てるのではなく、子どもが大人の楽しみに付き合えるような装備や施設がフランスには充実しています。

こんな夏休みを楽しむ大人の姿を子どもは小さい頃から間近で見て、自分の将来もこんな楽しい日々が待っているんだと日々感じているのです。
生きるエネルギーをバカンスでチャージして、また日常を励む。
このような心の潤いを与えてくれる習慣があるからこそ、フランス人の内から溢れるあの溌剌とした笑顔が生まれるのでしょう。

みなさんは、どんな夏を過ごしますか?
ではまた次回、アビアント〜!

*次回は7月24日(水)更新予定です。