【フランス生活】旅行スタイルにみる日本との違い

【フランス生活】旅行スタイルにみる日本との違い



フランスの地方都市ナントで、フランス人パートナーと2人の子と家族4人で暮らしている大畑典子さん。
一級建築士の資格を持ち日本の建築事務所でバリバリと働いていた彼女が渡仏して約8年。
「シンプルな暮らし」を楽しむフランス生活で得たもの、捨てたものを、日々つれづれに綴っていただきます。


 

旅でもよく歩くフランス人

みなさん、いかがお過ごしでしょうか。
フランスの地方都市、ナント在住の大畑典子です。

最近日本に帰省した際に、観光スポットをいくつか巡ったのですが、そこで感じたフランスと日本の違いを今回はお話したいと思います。

まず、フランス人の旅行スタイルは日本とは全然違います。
この連載の中でも何度かお話していますが、フランス人は本当によく歩きます。単純な運動目的だけではなく、散歩が日常生活の一部になっており、家族とゆっくりと時間を共有するのがルーティンになっているんです。

休日はもちろん、平日でも仕事が終わると家族と一緒に歩きながら過ごす人が結構います。このスタイルは旅行のときでさえも変わりません。とにかく旅行先を歩いたり、自転車に乗ったりする人が多いです。

こういった、フランス人の旅スタイルを一言で表現するなら「その土地のことを知る旅」。たくさん歩くことで街の雰囲気を味わい、自転車に乗ってスポーツがてら景色を楽しむ、というのが基本的なフランス人の旅の楽しみ方です。


△ピレネー山脈でピクニック。

もちろん、地元のレストランで食を楽しみ、お土産を買うこともありますが、あくまでも旅の目的は、その土地や場所を楽しむ、知るということが一番なんです。

私も長期休みになると、フランスやスペインで過ごすことも多いのですが、そこで感じるのは、街を楽しむためのインフラが整っているということ。自転車専用の道路が色々なところに張りめぐらされていたり、街中のウォーキングルートがちゃんとガイドブックに載っていたりします。また、街から一歩外出るとぶどう畑や自然が広がっていて、そこでのハイキングコースなどもそれぞれの街でちゃんとあります。

 

日本の旅は消費行動?

フランス人の旅スタイルに対して、日本人はお店に行って何かを食べる、何かを買う、というのを旅の一番の目的にしている人が多いのではないでしょうか。

そのことを改めて感じたのは、旅行先の宿にその土地の旅行ガイドブックが置いていたのを見たときです。
たくさん歩いてその街のことを知りたいと思いながら、旅行ガイドを開いてみたのですが、載っているほとんどが消費行動を目的とした情報でした。もちろん、キレイなビーチや絶景スポットも載っていましたが、情報としては本当に10%にも満たなかったんです。

そのときに、フランスと日本の旅のスタイルはそもそも違うんだなと実感しました。

福岡の郊外で釣り堀に出かけた際も、旅の楽しみ方の違いを感じました。地元で有名な滝があり釣り堀もできるということで、私たちは滝の手前まで車で向かい、そこから遊歩道を通って、片道30分くらいの山道を登って向かいました。
ちょうど土曜日だったこともあり、とても賑わっていたのですが、ほとんどの人が滝の近くまで車で来ていたようです。そこには3~4時間ほど滞在していたのですが、私たちのように滝の手前で車を停めて山道を歩いてきた人は、他に2組ほどでした。

滝と釣り堀の近くには、流しそうめん屋さんもあり、釣り堀の後は流しそうめんを食べて、また車で帰るというスタイルの人が本当に多かったです。さらに、その釣り堀は自然なものではなく、川の水を貯めてそこに魚を離して、釣竿を借りて釣るというものでした。

日本にはこういった釣り堀は各所にありますが、パートナーは「人工的なもので遊んで何が楽しいの」と、違和感を覚えたようでした。せっかくの山なのに歩かず、車で近くまで来て、人工的に作られた所で遊んで、食べて、また車で帰るという消費行動が不思議だったようです。

どっちが良いか悪いかとかいうよりも、どっちが個人的に好きかということだと思いますが、私はフランススタイルの旅の楽しみ方が好きですね。


△夏のバカンス、フランスの家族と川遊び。

最後に、フランス語の動詞で「profiter(プロフィテ)」という単語があるのですが、これは日常的に「有効に使う、楽しむ」という意味でよく使います。

例えば「週末楽しんでね」と友人に言うときには「Profitez du week-end(プロフィテ・ドゥ・ウィーケン)」、夏の時期ですと「太陽を楽しんで」というフレーズをよく言うのですが、そのときは「Profitez du soleil(プロフィテ・ドゥ・ソレイユ)」と声をかけます。まさにフランス人の旅の楽しみ方が「profiter」なんです。

日本でもこの「profiter」な旅を楽しんでみても良いかもしれませんね。
それではまた次回。アビアント~!

*次回は12月4日(水)更新予定です。


Written by 大畑典子
大畑 典子

フランスでのリアルな生活を、日常ブログや実際に体験したエピソードなどを通してYouTube『Nolie France / のりふら』で紹介している。
フランスの食卓の様子や休日の過ごし方など日常のVLOGをアップし、その豊かでほのぼのとした空気が人気を博し、チャンネル登録者数は15万人を超える。
日本の大学を卒業後、設計建築事務所で経験を積み、27歳で一級建築士の資格を取得。「海外でシンプルな暮らしを体験してみたい」という思いから2016年に渡仏。フランスの建築学科の大学院に留学し、語学を学びながら研鑽を積む。大学院在学中にフランス人のパートナーと出会い、第一子を出産。育児のため途中休学を経て、2020年に卒業。休学期間中に『Nolieフランス三人暮らし』でYouTubeデビュー。2021年に第二子を出産し、現在の形にタイトルを改めた。YouTubeのほか、音声メディアSNS『Voicy』やInstagramでの発信も行っている。
YouTube: Nolie France / のりふら
Voicy:人生を「逞しく、軽やかに」生きる
Instagram:@nolie_a_nantes

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