【フランス暮らし】キラキラしてない国際結婚
フランスの地方都市ナントで、フランス人パートナーと2人の子と家族4人で暮らしている大畑典子さん。
一級建築士の資格を持ち日本の建築事務所でバリバリと働いていた彼女が渡仏して約8年。
「シンプルな暮らし」を楽しむフランス生活で得たもの、捨てたものを、日々つれづれに綴っていただきます。
マイノリティをどう生きるか
みなさん、いかがお過ごしでしょうか。フランスの地方都市ナント在住の大畑典子です。
みなさんは国際結婚についてどのようなイメージをお持ちでしょうか。それぞれ違った国で育った人間が一緒になるということは、やはり困難も多く、実際に国際結婚の離婚率は51%と国内離婚率36.3%に対して高い割合になっています(厚生労働省「2021年度 人口動態調査」)。
私はフランス人パートナーと生活を共にしておよそ7年が経ちましたが、今回はその中で感じた国際結婚の難しさをご紹介したいと思います。
△日本旅行、お互いの国を知るために年に一度は一緒に一時帰国をしている。
国際結婚をする上でまず最初に立ちはだかる問題としては「どの国に住むか」ということです。
日仏夫婦を例にあげると、①日本に住む ②フランスに住む ③日本でもフランスでもない第三の国に住む、の3パターンがあります。私たち夫婦はパートナーの母国であるフランスに住んでいますが、これは私たちの出会いがフランスだったので、自然とそのまま住み続ける形となりました。
このように、どちらかの出身の国に住む場合「その国で生きていく力」はどうしてもフェアになりません。私たちの場合、私がこれからどんなに語学や文化を吸収したとしても、パートナーの「フランスで生きていく力」に勝ることはないのです。
そういう関係性になった時、母国に住む側がそうでない側をどれだけサポートできるかが夫婦関係を築く上で大事になってきます。マイノリティとして生きていくこと、現地語を話すこと、海外で経済力をつけること、どれをとっても現地の人と比べたら大変な努力をしないといけないことがたくさんあります。
しかし、その困難な状況に苦しむパートナーを気遣えることが出来ない人がいるのも事実で、そこで生じた溝が夫婦の危機につながることも多いのでしょう。
国際結婚ではお互いに海外在住経験があるとうまくいきやすい
マイノリティとして生きる外国人パートナーを気遣えるかどうかは、過去に海外に住んだ経験があるかどうかが大きく影響しています。外国人パートナーがいくら海外生活の苦しい胸のうちを訴えたところで、海外に住む大変さを知らない人は、自身は母国で生きていく大変さをパートナーほど感じないので、いくら言葉で伝えられても実感が湧かないのです。
私の周りでうまくいっている国際夫婦は、お互いがそれぞれ海外の滞在経験がある、もしくは外国人パートナーが現地の人並みの「生きていく力」を兼ね備えているパターンが多いです。例えば、10代、もしくは20代の早いうちから移住してその国である程度教育を受けた人が該当します。
残念なことに、海外在住経験がない人が国際結婚をすると、モラハラ関係になりやすい、ということがあります。つまり、自身は母国でパートナーほど大変な思いをすることなく生活ができているので、自分が当たり前にできることをパートナーができない状況をつい責めてしまうのです。なぜ、こんなに簡単なことも出来ないのかと。
外国に住んでいる方はその国に馴染むためにすでに大変な努力をしていることがほとんどなので、母国に住む側がいかに歩み寄るかが国際結婚の大切なポイントの一つです。
△日本のバス、公共交通機関は日本の文化を知るいい機会。
日本は空気を読んで場を察する文化が根付いていますが、フランスではそういった文化はありません。ですから、フランス人と生活を共にしていくには、日々の大変なこと、問題点、違和感を覚えた時は声に出して相手に伝えることが大切です。
とはいえ、日本で長らく生活していた身としては、思いを伝えようと言葉で伝えていく努力をしても、知らず知らずのうちにストレスが積み重なって心身に影響を及ぼすこともあります。そうした時にそっと手を差し伸べて自然とサポートしてくれるかどうかが国際夫婦にとって大切なプロセスなのです。
ということで、国際結婚の大変さを一部(まだまだあります……)を今日はご紹介させて頂きました。
では、また次回。アビアント〜!
*次回は9月4日(水)更新予定です。