【新感覚ホラー短編】“消された1行”がわかるといきなり怖くなる話
夏といえばホラー!
テレビの特別番組やホラー映画を観て、ゾッと背筋が冷たくなる感覚はたまらないですよね。
最近は映像作品だけでなく、サクッと読める短編ホラー小説にも注目が集まっています。
そこで、累計40万部突破した「意味が分かると怖い話」シリーズ著者の最新作! 『消された1行がわかるといきなり怖くなる話』より、厳選した怖い話を5つご紹介。
1話につき1行、黒く塗りつぶされた箇所。そこに書いてあることがわかると本文の内容が一気に怖くなる……新感覚のホラー短編をお楽しみください。
霊感少年
弘毅は俺の相棒といっても過言ではない。
そんな彼には霊感がある。
あれは、弘毅と一緒に学校へ向かっていた時のことだ。
交差点の向こう側から、小さな女の子を肩に乗せた男性が歩いてきた。
何故か、二人とも無言でこちらをジーッと見てくる。
なんだか嫌な感じがする。
弘毅が俺を指さしながら、ポツリと呟く。
「ものすごく厄介な悪霊だから、無視したほうがいい」
弘毅の言葉に頷くと、親子はそのままスーッと真横を通り過ぎていった。
「答え」と「解説」はこちら。
金縛り
眠っていると、すすり泣くような声が聞こえて目が覚めた。
けれど、なぜか瞼が開かない。
それどころか、指一つ動かすことができない。
試しに声をだそうとするが、それも無理だった。
(これが金縛りってやつ? じゃあ、この泣き声は霊のもの?)
急に怖くなった俺は、心の中で念仏を唱え、霊が消え去るよう祈る。
すると、強い光が視界を覆いつくしたかと思えば、ピーッという音がした。
「死亡が確認されました」
ハッキリと聞こえた男の言葉に、俺は混乱する。
周囲に響く泣き声はより一層大きくなった。
「答え」と「解説」はこちら。
一方通行
新車を購入したので、彼女を連れてドライブに出かける。
山道を走っていると、だんだんと道が狭くなり、一方通行になった。
後ろから迫ってきたスポーツカーがパッシングする。
路肩に車を寄せ、スポーツカーを先に行かせた。
「こんな山道をあんなスピードで走って……危ないわね」
彼女の言葉に頷き、俺は安全運転を心掛けた。
道が険しくなり、視界も悪くなるが、一方通行なので引き返すこともできない。
どうしたものかと悩んだ時、彼女が叫んだ。
「危ない!」
急ブレーキを踏むと、目の前は行き止まりだった。
「答え」と「解説」はこちら。
悩み事
最近、同僚の様子がおかしい。
目の下のクマは日に日に濃くなり、やつれていく。
心配になり声をかけた。
「お前、最近、体調悪いのか? 顔色が悪いぞ」
「ああ……ちょっと睡眠不足でね」
弱弱しい声を出す同僚に、何か悩みでもあるのかと尋ねた。
「実は俺、先月引っ越したんだけど、部屋の下の人がうるさくて寝られないんだ」
「そういうことなら、大家さんか管理会社に言ったほうがいいぞ」
「うーん。でもさ、俺の部屋、一階なんだよね」
力なく笑う同僚に、俺は別のところを紹介した。
「答え」と「解説」はこちら。
サービスエリア
彼氏が新車を買ったのでドライブに連れて行ってもらう。
高速に乗り一時間ほど進んだところで、サービスエリアに入る。
平日の中途半端な時間のせいか、駐車場には車は一台もなかった。
「私、トイレ行って、飲み物買ってくるね」
「了解。じゃあ、先に車で待ってるよ」
彼氏とトイレの前でいったん別れる。
さっさとトイレと買い物を済ませて車に戻るが、彼氏がいない。
十五分ほど待って、ようやく彼氏が戻ってきた。
「ごめんごめん。トイレ、めっちゃ混んでたんだよ」
謝る彼氏に、私は思わず「噓でしょ?」と詰め寄った。
「答え」と「解説」はこちら。
このほかにも、『消された1行がわかるといきなり怖くなる話』では、答えをみたら0.01秒でゾッとする短編を90作収録! 黒く塗りつぶされた箇所に何が書いてあるか予想して楽しんでもよし。いきなり「答え」と「解説」を見てもよし。あなた次第の怖がり方でこの夏をゾッと楽しんでみませんか?
イラスト/まつもと俊介(シュガー)
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『消された1行がわかるといきなり怖くなる話』
著:藤白圭
藤白圭(ふじしろ けい)
愛知県出身。
童話や絵本ではなく怪談を読み聞かせられて育つ。その甲斐あってか、自他ともに認めるホラー・オカルト大好き人間に。累計40万部を突破した「意味が分かると怖い話」シリーズなど、ホラー作品を中心に作家として活動。
近年ではメディアへの作品提供やテレビ番組への構成参加など、活躍の場を広げている。。
X(旧Twitter) @yukainaousama
HP https://www.k-fujishiro.com/