【ペルー日記】トラブルあり、美食あり、芸術ありの南米旅行

【ペルー日記】トラブルあり、美食あり、芸術ありの南米旅行



人生初の中南米一人旅の真っ最中に、新型コロナウイルスが蔓延。
国境は封鎖され、飛行機はキャンセルになり、異国の地でのロックダウン生活。
街中がパニック、一人心細く、早く帰国したいと願う毎日……になるかと思いきや、
彼女は「いっそのこと、ここに住もう!」と決め、ペルーで生活を始めた。

ペルーで暮らして、早4年。
現地からお届けする、予想外で刺激的な日々。


 

少し遡るが、コロナ直前の2020年2月。初の南米旅行でまず訪れたのが、ペルーの首都リマだった。
夜中の到着だったので空港近くの安宿をBooking.comで予約していたのだが、タクシーで周辺に到着しても看板が見当たらない。どうやら、私が予約した宿は存在しないらしい……。

これまでにいろんな国を旅してきたが、こんなことはもちろん初めて。タクシーの運転手に相談し、近くの宿に案内してもらえて事なきを得た。早速南米の洗礼を受け、不安でよく眠れなかった。

翌日、Uberに軽く遠回りされながら(南米ではタクシーのトラブルもよくある)、アートの街といわれるバランコ地区の宿に移動した。南国らしいカラフルな植物が至る所にあり、海が見えるロケーション。雰囲気のよさげなレストランもあり、温暖な気候で、滞在するには最高の場所かもしれない。

リマには、ペルーの 人口の1/3となる約1,000万人が住み、面積と人口は東京都とほぼ同じらしい。中華街もあるし、純正な和食が食べられる店や高層ビルもある。街の中心にあるKennedy Parkではたくさんの猫や野生のリス、ハチドリに出会えて、大都会にいながら癒やされることもできる。

リマは海岸沿いの街なので、魚介類のマリネ・セビーチェはぜひとも食べたいところ。レストランには、クスコとは比べ物にならないくらい豊富なセビーチェのメニューがある。

まず訪れたのは、大人気レストランCanta Rana。店主がサッカー好きなんだろうなというのがインテリアから伝わってきて、カジュアルな雰囲気。英語メニューもあるので、一人でも居心地がいい。
ここで食べて感動的だったのが、ウニのセビーチェ。ウニをさっぱりといただくのは初めてで、海外でこんなに繊細でおいしいシーフードに出会えるなんてと感激!


△左/ウニのセビーチェ。他にも魚介がゴロゴロ入っている。

Canta Rana

住所 GÉNOVA 101, BARRANCO
Instagram @cantaranaoficial
HP https://cantarana.pe/

 

ちなみに、どのセビーチェ専門店にも大抵ある一押しメニューが、レチェ・デ・ディグレというソースがかかったセビーチェ。レチェ・デ・ディグレは訳すと「虎のミルク」なのだが、このミルク感がある濃厚なソースが魚介に絡んで、とてもおいしい。

ライムの酸味が効いているので、食欲のない二日酔いのときでも食べたくなる、冷製スープのような軽さだ。食後はパワーがつき、おやつ感覚でも食べてしまう。暑い時期にはクールダウンできるので、おいしさが倍増する。


△スープのような見た目のレチェ・デ・ディグレ。

セビーチェのほかにおすすめなのが、リマ最古の居酒屋、ワイナリーAntigua Taberna Queirolo。

朝食に食べた自家製ハムのサンドイッチは、香ばしくて露天の物とは一線を画す味。1870年に建てられたビルがそのままの形で残っており、1963年にこの居酒屋を始めたそうだ。店がどのように成長していったかがわかる貴重な写真が壁に飾られており、じっくり見ていると写真美術館を一周し終えたかのような充足感を得られる。


Antigua Taberna Queirolo

住所 Estamos en Av San Martín 1090, Pueblo Libre.
Instagram @antiguatabernaqueirolo
HP https://antiguatabernaqueirolo.com/

 

お腹が満たされたところで、次におすすめしたいのが美術館巡り。私は旅に出るとき、いつも美術館に行くことを目的にしている。どの街でも有名どころは絶対に行き、細かいところまですべて見ておかないと気がすまないたちだ。

リマ市内には多数の美術館があり、8つ訪問した中で一番感動したのがラルコ博物館。
18世紀の副王領時代の邸宅跡が1926年から博物館として使われるようになり、花が咲き乱れた素敵な中庭やレストランがあり、猫もいる。水も無料で提供され、日本語の解説まであり、ここで一日過ごせるなと思わせるほどの楽園だ。

主にアンデス文化やプレコロンビアン時代の陶器が展示されており、ミイラまで保存されている。初めて見るプレコロンビアン時代の作品は、アウトサイダーアートのような素朴な味わいがありながらも、手数の多さに狂気を感じる模様もあり、可笑しみもある。
漫画のような描き方に子ども時代を思い出し、親近感すら湧いてくる。30年間以上、近代から現代の美術を浴びるように見てきた私には全くの別世界だったが、居心地がよかった。


ラルコ博物館(MUSEO LARCO)

住所 Av. Simón Bolívar 1515, Pueblo Libre, Lima 21 – Peru, Entrance on Navarra Street
Instagram @museolarco
HP https://www.museolarco.org/ja/

 

リマは「さすが首都!」というように文化や食が充実していて、興奮しっぱなしだった。
初めての南米旅行だったのでいろんなトラブルもあったが、新しい文化に触れられた貴重な旅になった。

 

今月のスペイン語


△写真は3種のセビーチェ。

*次回は12月6日(金)更新予定です。

イラスト・写真/ミユキ


Written by ミユキ
ミユキ

旅するグラフィックデザイナー、イラストレーター
広島出身、武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒、在学中よりフリーランスとして広告、ロゴ、エディトリアルデザインなどを手掛ける。
ロンドンに2年間の語学留学、オランダ・セントヨースト・マスターグラフィック卒業後、個人事業主ビザを取得しアムステルダムに12年居住。
ヨーロッパ全域を含む訪れた国は50カ国以上、旅先では美術と食を軸に、ダイビングや運転もする。
主な作品:ギリシャ・クレタ島の大壁画、ハイネケン Open Your World、モンスターズインク・コラボイラスト、豊島復興デザイン等、15年前からのリモートワークで、世界のあらゆる場所で制作。
HP:http://miyuki-okada.com
X(旧Twitter):@curucuruinc
Instagram:@curucuruinc

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