【タロット占い】芸人として迷い続けた日々「タロットが僕に新しい未来を見せてくれた」【前編】

【タロット占い】芸人として迷い続けた日々「タロットが僕に新しい未来を見せてくれた」【前編】


『ニノさん』(日本テレビ)への出演や、「ananweb」での連載などで注目を集めるタロット占い芸人・金城めくるくん。
その的中率の高さと前向きになれる鑑定スタイルは、芸人仲間や芸能人の間でも評判です。
占いのバトン【前編】では、そんな金城めくるくんの「占い師になるまでの道のり」に迫ります。

 

幼少期の記憶、ひいおばあちゃんと家族の不思議な儀式

沖縄で生まれた金城めくるくん。小学校時代にはすでに「クラスの人気者」として知られ、友達を笑わせることに夢中だったそう。中学・高校でも文化祭やイベントでは常に前に立ち、みんなを楽しませる役割を担っていました。ただし、その頃はまだ「芸人になる」と決めていたわけではありません。

「高校まではずっと野球をやっていて、大学も推薦で進学しました。でも、あるとき、“好きなことと、できることって違うんだ”って思ったんです。野球は好きだったし頑張っていたけど、本気でプロを目指せるほどの実力じゃないということに気づいて……。それで、別の道も考えるようになりました」

かつて、金城さんの実家では、幼い頃から曽祖母が中心となる特別な儀式が行われていました。儀式の最中は厳粛な雰囲気が漂い、家族も真剣な表情で耳を傾けました。

「うちでは、大切な決断をする前に、おばあ(曽祖母)が必ずお祈りをしてくれる習慣がありました。例えば、進学や就職、結婚など、人生の節目には必ず集まりました。おばあは頭にお米をのせて、祝詞を唱えながら祈るんです。幼い頃は意味がわからなかったけど、その空気感が特別で、子どもながらに“何か大切なことが行われている”と感じていました」

曽祖母は親族の進学先について「この学校が合っている」と助言し、実際にその進路を選ぶと大成功を収めるのだそうです。金城さん自身も助言に従って大学に進学しました。

 

司会、営業、そして芸人へ—すべての経験がつながった

 

大学時代は学業と並行して、地元沖縄のイベントで司会を務めたり、地元のテレビ番組に出演したりすることが増えていきます。

「人前に立つのがますます楽しくなっていったんです。台本通りに進めるだけじゃなく、場の空気を読んでアドリブを入れることに面白さを感じるようになりました」

しかし、まだ芸人になる決心ができていなかった金城さんは、大学卒業後、営業職に就き、たった1年でトップの成績を収めます。

「親戚にダメなやつだと思われたくなかったので、いったん就職しました。“ちゃんとしてる”ところを見せたかったんですよね。営業の現場では、ただ売るだけでなく、“ネタ”のように話を組み立てることを意識しました。そのおかげで、相手の心をつかむことができたのかなと思います」

そして、1年間働いて貯めたお金で、ついに吉本興業の養成所に入る決断をします。

 

お笑いの世界で苦戦する中、タロットが新たな道を開いた

吉本興業の養成所では本格的に漫才やコントの技術を学び、ライブにも出演。しかし、ライブの出番はなかなか増えず、焦りは募るばかり。そんな中、『占い芸人育成プロジェクト』が開催されることを知り、「爪痕を残したい」と応募することに。さまざまな占術コースがある中、選んだのはタロット。最終的には試験で1位が決まるシステムだったそう。

「なぜか惹かれたんですよね。直感で『これだ』と思いました。結果的に試験には落ちちゃったんですけど(笑)。タロットがすごく面白かったので、そのあとも同期や先輩を占っていました」

すると、「めっちゃ当たる!」と、口コミで評判に。

「占いの知識はゼロの状態から始めたんですが、不思議と“当たる感覚”がありました。何度も占ってみるとなんとなく未来が見えるような感じがして。どんどんのめりこんでいったんです」

そんなある日、金城さんは「曽祖母がユタ」であることを知ります。ユタとは、霊的な力を持ち、神仏や祖霊と交信するとされる沖縄の霊媒師のこと。今でも沖縄では、人生の節目や大切な決断を前に、ユタの助言を受ける風習が残っています。

「それまで、自分にそんなスピリチュアルな血が流れているなんて思っていませんでした。親に聞いたら、『あんたのおばあ(曽祖母)は、ずっと人の相談を受けてたんよ』と言われて、ようやく小さい頃の記憶とつながりました」

幼少期、家族が集まり、曽祖母が厳かに祈りを捧げていたあの場面。何度も目にした景色こそ「ユタの儀式」だったのです。

「そこから、タロット占いを本格的に勉強し始めました。精度を上げる方法を考えたときに、とにかく実践あるのみだなと。だから、楽屋や飲み会で、ひたすら占いました! 芸人仲間ってリアクションが大きいから、当たると『すげえ!』ってめっちゃ盛り上がるし、何がウケるのかもつかみやすい。分析を重ねるうちに、伝わりやすい言い方や相手が抱えている悩みを少しずつ読み取れるようになっていったんです」

そうして占いは、彼にとって「芸人として目立つための手段」から「人の悩みに寄り添うツール」へと変わっていきました。

後編では、タロット占いへの思い、そして2025年の過ごし方をタロットで占ってもらいました。
金城めくるくんインタビュー【後編】は、2025年3月11日(火)に公開予定です。お楽しみに!

取材・文/上村絵美
撮影/岡田直子

バナーアートワーク/浮須 恵

金城めくるくん(きんじょうめくるくん)

吉本興業所属。タロット占い芸人。お笑いコンビ「ポンゴ」として活動中。沖縄県出身。特技のタロットで芸人を占っていたところ、「めっちゃ当たる!」と話題になり、『ニノさん』(日本テレビ系)をはじめとするメディアに多数出演。SNS鑑定も行っており、依頼が殺到している。
Instagram @mekuru.kun29
YouTube 金城めくるくんスピちゃんねる