仕事も生活もこなせているのに、なぜか満たされない――精神科医Tomyが『人生迷子』に贈るアドバイス
仕事もプライベートもそれなりに充実しているし、生活も回せている。それで十分はずなのに、ずっとどこか満たされない……。そんなときにふと、「わたしの人生、このままで大丈夫?」と、立ち止まってしまうことはありませんか?
精神科医Tomy先生は、こうして人生に迷い、立ち止まった人たちのことを「人生迷子」と呼びます。特に20代後半~30代に訪れる「クォーターライフクライシス」では、他人と比較して焦ったり、理想と現実のギャップに落ち込んだり、自分の進むべき道がわからなくなることも。
ここでは、そんな「人生迷子」に向けた、精神科医Tomy先生の新刊『人生迷子 立ち止まったときの処方箋』より一部抜粋して、「人生の停滞期」から抜け出すためのヒントをお伝えいたします。
「人生についてじっくり考えたいのに生活は止まってくれない。なんとなく時が過ぎることに焦る。」
人って、どうしても目先のことに反応してしまうんですよね。
しかも、日々の生活は忙しい。仕事では次々にやることが出てくるし、プライベートでも、細かい作業や用事が絶えません。毎日の家事やルーティンだけでも、結構な労力です。
そこに、トラブルやイレギュラーな出来事が重なる。それだけで、もう一日分のエネルギーを使い切ってしまいます。
「やらなきゃいけないこと」をこなすだけでグッタリするのは、あなたが弱いからでも、要領が悪いからでもありません。誰にでも起こることです。
むしろ、真面目な人ほど、「これでいいのかな」「あれは大丈夫だったかな」と、気になることが次々に浮かんできます。そうすると、ただでさえ忙しいのに、頭の中まで休まらない。
結果として、「考える時間が取れないまま、時間だけが過ぎていく」そんな感覚を抱くようになるのです。
じゃあ、どうすればいいのでしょうか。
まず、一つだけ立ち止まって考えてみてほしいことがあります。
人生って、そんなにじっくり考えなければいけないものなんでしょうか。
おそらくあなたが本当に求めているのは、「正しい答え」ではなく、「自分なりに納得できる人生」なのだと思います。
だからこそ、ちゃんと考えたい、間違えたくない、そう思っているのではないでしょうか。
でも、ここで少し視点を変えてみましょう。何も考える暇もなく、やることをやって一日が終わる。それは、考え方によっては、とても充実した一日でもあります。
私はよく「頭をお暇にしてはいけない」という話をします。
ここで言う「頭がお暇」とは、目の前の状況から離れて、あれこれと別のことを考え始める状態のことです。
たとえば、掃除をしているとき。本当は掃除をしているはずなのに、ふと、会社の人間関係のことを考え始めたり、将来の不安が浮かんだりする。そんな経験、ありませんか。
掃除をしているなら、掃除のことだけを考えればいいんです。
「ここをこうすると、もっときれいになるな」
「どうしたら効率よく終わるかな」
あるいは、何も考えずに、ただ手を動かすことに没頭する。こういう状態では、余計な考え事は入り込んできません。
実は、これには医学的な背景もあるのです。
慢性的なストレスや疲労が続くと、脳の前頭前野(ぜんとうぜんや/考えをまとめたり、長期的な視点で物事を見る部分)の働きが低下しやすくなります。すると人は、目の前の作業から離れた「答えの出ない考え」を反芻(はんすう)しやすくなるのです。
これは意志の弱さではなく、脳の自然な反応です。
だから一度「頭がお暇」になってしまうと、人は考え事モードに入り、答えの出ない問題を、延々と考え続けてしまいます。
答えが出ることなら、答えが出た時点で考える必要はなくなります。でも、人生や将来の不安は、そう簡単に答えが出ません。
そうやって考え続ける時間は、残念ながらほとんどの場合、ネガティブな方向に傾いていきます。
この視点で見ると、「日々のことに追われて、考える時間がない」という状態は、実はそれほど悪いものではないのです。
「じゃあ、このままでいいんですね」
そう言いたくなるかもしれません。でも、そう簡単には割り切れませんよね。
もし本当にこのままでいいと思えているなら、そもそも、こんなふうに悩んではいないはずです。ここまで読んで、「理屈はわかるけど、それでもモヤモヤする」と感じている人もいるでしょう。
このモヤモヤの正体は、「人生についてじっくり考える時間がない」ことではありません。本当の原因は、「自分が納得できるように行動できていない」という感覚なのです。
忙しいかどうかよりも、考えているかどうかよりも、「これは自分が選んだ行動だ」と感じられていないことが、心を落ち着かなくさせるのです。
ではどうすればいいのでしょうか?
大切なことは「じっくり考えること」より、短い時間でも良いから、「動きながら考えること」です。
考えごとだけをし続けると、頭がお暇になって良くない。だから、考える時間はむしろ短いほうがいいのです。その代わり、こまめに動きながら考えましょう。
または「何かを考える」のではなく、「何をするのか決める」。
それなら、考え事は「何をするのか」だけになります。
決めてしまえば、あとは行動するだけ。そう考えれば、「答えの出ない考え」を防止することができますよね。
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『人生迷子 立ち止まったときの処方箋』
著:精神科医Tomy
精神科医Tomy
1978年生まれ。東海中学・東海高校を経て、名古屋大学医学部卒業。医師免許取得後、名古屋大学精神科医局に入局する。3 9万フォロワー突破のX(旧・Twitter)が人気で、テレビ・ラジオなどマスコミ出演多数。著書『精神科医Tomy が教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)に始まる「1 秒シリーズ」は、累計36万部を超えるベストセラーに。『精神科医Tomy の気にしない力』(だいわ文庫)、『精神科医Tomy が教える30代を悩まず生きる言葉』(ダイヤモンド社)、『うつ未満 。 「大丈夫」と言えない日の相談室』(秀和システム新社)ほか著書多数。
X(旧Twitter) @PdoctorTomy
Instagram @pdoctortomy
オフィシャルサイト https://pdoctortomy.com/








